株式会社インソース
講師 土井富雄
新入社員向けビジネス文書研修の進め方としては、最初に、「あなたが配属になって、まず行なう仕事は何だと思いますか?」と最初に尋ねます。そして、意見を聞いた後に、「最初の仕事は、同じ部署内のほかの人にかかってきた電話をとることです」と言います。 その理由としては、「先輩は忙しい、課長も忙しい、なので机にいない。でも、みなさんは暇。机にいる。だから『最初の仕事は他人宛の電話を取ること』という場合が多いんですよ」と説明します。 次に、「でも、電話を取ったときに、ちゃんとメモを書けますか?」と尋ねます。 新人向けの文書研修は、こういう話から入ります。 その後、最初の課題として、「それでは、私がこれからみなさんに電話をしますので、白紙にその電話のメモを書いて下さい」と言って、書かせます。 課題の内容としては、例えば、「明日の会議の場所が、303号室に変更になりました」という電話が課長宛てにあり、その電話を課長の代わりに新入社員のあなたが受けるという設定を行ないます。 そして、「明日の会議の場所が、303号室に変更になりました」という内容をメモさせると、「明日の会議は・・・」とそのままメモを書く人が出てきます。
そこで私は、「明日っていつ?課長が出張から帰ってきたときに夜中の12時を越していたら、
『明日』だけではわからないよね」と言います。
ただ、「今日の日付がメモにあれば、かろうじてわかるでしょ。
だから今日の日付、いつ電話があったかを、書いておかないとだめでしょ」というと、
受講者が「あっ、そうか」となるわけです。
そういうところを、チクチクと刺していきます。
他には、例えば、303号室という言葉が出てきた時に、ひょっとしてビルが2つあったら、どちらのビルの303号室か分かりません。例えば、『A館』など、ビルの名前まで、場所は正確に書く必要があります。
あるいは、会議の内容がどういうものなのか、ということも聞かなければわかりません。
また、会議がどこの場所で、いつから始まるのかが分からない場合、
「場所と時間と、2つありますが、どちらを聞きますか」と言って、考えさせます。
そうすると、「場所でも時間でもいい」と思う方は?と尋ねて挙手させると、
手を挙げる人:まあ、ぱらぱら。
「場所でわかる」という方:ぱらぱら。
「時間がやっぱり必要」という方:ぱらぱら。
ここまで、ヒントを与えつつ、手を挙げさせて、「やっぱり、時間だよね。なぜだと思う?」
と言います。
その理由としては、「一日のうちにミーティングが3つ入っていた場合、そのうち2つが同じ場所だったらどうする?場所では区別がつかないでしょ?
だけど、自分のスケジュールを立てるときに、同じ時間の会議を二つ自分のスケジュールに入れる人なんて、どこにもいないよね。だったら、時間でしょ」と説明すると、「あー、そうか、そうか」となります。
時間というのはそういう意味で非常にいいパラメータなんですよね。だから、これをきちんとおさえておかなければなりません。
新入社員のときは、電話で実際に話しながらメモを取る際には、なかなか要領よく取れません。
メモを一生懸命、消したり書き直したりして、かなり時間がかかってしまいます。
そこで、次に「それじゃあ、工夫して、自分が電話メモで使いやすいテンプレート(雛形)を作って下さい」という課題を出します。
ただ、テンプレートを作らせても、実際にそれを使わせてみるとあらが出ます。
テンプレートを作る際に重要な要素はいろいろあって、例えば、「時間」とか「日付」などの数字や誰宛かという「企業名」と「人名」、そして、よく忘れるのが「部署の名前」。
この3点をセットで聞いておかないと、誰が電話してきたのか、わかりません。
また、「私の名前は、土井といいます。みなさんは、それを漢字で書いていますが、その漢字が間違っていたらどうするの?」と聞きます。電話だと、音しかわからない。そうすると、「あー、カタカナで書けばよいのか」と受講生が気付きます。
敬称も、『さん』でもいいですが、その方が上の役職の方の場合、『さん』では少し失礼です。
『様』にすれば間違いありません」ということも教えます。
電話のメモだけで、これだけのことを言うことができますが、 ここにビジネス文書の要素は全部入っています。 電話メモは、1分以内にすばやく書かなければいけないので、 時間の制約という面では、普通の社内文書を書くより、さらに厳しくなります。
という理由で、私はビジネス文書研修で電話メモの練習を最初にします。