株式会社インソース
代表取締役 舟橋孝之
On the Job Training、つまり「仕事の中で仕事を覚える」ということです。OJTは現場でいかに効率的に的確に教えるかということが、教育の要になります。
弊社ではOJTについて、やはりテクニックは必要だと考えています。「テクニック」という言葉はあまりいい響きではありませんが、教える人が一定のスキルを持っているのと、そうでないのとでは、結果が全然違ってきます。
まずOJT研修で一番大事なことは、まずOJTとはどういうものかを理解することです。それから指導者の心構えが要ります。OJT研修の大前提は、「いまの新人はどういうものか」という認識が、まず必要だと思います。どこかの会社が「発光ダイオード型新人」という単語を使っていました。つまり熱がない。光っても熱くならない。ただパキパキと光ったり消えたりする、ということです。
OJT研修は企業の中の新人や、新しく入ってきた人が仕事を覚えていく最もいい方法です。ではそれをどうやれば一番いいのか。まずは指導者とはどういうものなのかということを認識してもらいます。
育成担当者は、会社から選ばれた人です。大切な新人を預かることになった人ですから、基本的にはエリートです。エリート、もしくは選ばれた大切な人だという自覚をまず持つこと。ということはつまり、育成については片手間ではなく、計画をきちんと立てて、仕事の中心に据えるということを強く認識してもらいます。ですから自分の仕事ができるのは当然で、その次の仕事として、部下を育てるということを意識することがポイントです。
次に考えなければいけないことは、新人とはどういうものかということです。彼らは何が不安か、何がわからないのかということ自体がわからないのです。
価値観とか、動き方が全然違うから、何がわからないのか、何をしなければいけないのか、こちらが当然と思っていることが全然わからない。普通の職場においてはそこまで下りてあげる必要はないと思いますが、顔色を見て判断をしなければいけない。わかっているのか、わかっていないのか。つらいのか、つらくないのか。そういうことをやってあげなければいけない状態だということを認識していただきます。
具体的には、私どもで過去に実施した新人の方へのアンケートで、「いまどんなことを不安に思っているか」ということなどを読みながら考えていきます。新人の方が主に不安に思うのは、ひとつはパソコン操作など、ビジネスマンにとっての基本スキルです。あとは人間関係が挙げられます。つまり、なじめるか、いじめられないか、ということです。学校ではないので基本的にそういうことはないのですが、そういったことを不安に思ったりします。
そういう状態を知るということと、育成担当者としてどうすべきかということで、質問への答え方や、不平不満の受け止め方、指示の仕方、援助、助言の仕方、報告のさせ方等を、グループワークを中心に考えていただきます。
それから、ほめて、叱ってということですが、基本的に新人を叱ることはありません。危ないことや間違ったことをしたときは当然叱らなければいけませんが、基本的には「ほめて育てる」ということがポイントです。そこでここではほめ言葉の練習をします。「ほめ言葉30選」という大変楽しいワークで、自分が言われて嬉しいほめ言葉をたくさん書いていただきます。
ほめられて嬉しい言葉がたくさんある人は、実は人もほめていることが多いのです。それを自覚してもらうようなワークをします。ここでできなかった人は罰ゲームをしたりして、楽しく研修をします。
そして最後に、実際に育成担当者が困ったことについて、ケーススタディをグループ討議を含めて検討し、発表します。育成担当者は、実際にいろいろな場面に直面します。たとえば採用後まもなく辞めたいと言われたらどうするか、などです。こういう問題については当然、人事部や職員部の監督下にあると思いますが、一次的な対応はOJT担当者が行います。これについても私どもの解答としては、事前にこういう問題が起こったらどうしようかと、解答を考えておく。それについてよくよく議論をして準備をしておけば、もしそういうことが起きたとしても、基本的な考え方の枠組みができていますので、対応が容易になると考えています。
たとえば具体的には、30分で1問くらいのケーススタディを解いていただくことをしています。採用まもなく辞めたいと言ったらどうするか。これを具体的に頭で考えてもらって、紙に落として議論します。そこで自分の職場におけるベストの解答をつくってもらいます。あとは、新人が正しくて、上司が理不尽なことを言ってきたらどうするかなど、ちょっと考えて解答が出ないようなことを、みんなで考えていきます。これらをベースに、社内でのものの考え方をブラッシュアップしていくこともしていきたいと考えています。以上がOJT研修の概要です。