謙虚さを持ちつつ攻めて「価値」を発揮する:02- らしく

謙虚さを持ちつつ
攻めて「価値」を発揮する

周逸飛ZHOU YIFEI

02

今回は、周さん(仮名)にインタビューを受けていただきました。「スピード感を大切にする」という周さんは、中国出身。日本のビジネスについて、どのように見ているのか、 どのように考えているのかについて、率直な思いをお伺いしました。「仕事のうえでの自分の強みを常に考えることが大事」と語る周さんのビジネス観とはーー
インタビュー実施日:2017年4月21日(らしくインタビュアー渡辺)

■日々、意識して実施していることは、情報の収集と発信

ーー簡単に、今、担当しているお仕事を教えていただけますか?

仕事は、部署としては、会社のホームページを作っています。自分で手を動かす、というよりは、社内で必要な情報を仕入れて、必要だと感じたら全体像を把握して、 そこからどうやってホームページという形のあるものに落とし込んでいくかを考えて、適任な担当者に作業を依頼する、という一連の流れを管理しています。発信元の人に質問して回答を得たり、データを集めたりもしています。

私が日々、意識して実施していることは、情報の収集と発信です。会社には色々な部署があるので、そこを横断的に行き来して、営業部や新規事業部などの部署から様々な情報を収集しては、 それを広報やマーケティングなど別の部署に提供して、どう活用してもらうかを考え、そのうえで必要に応じて指示を出したり、依頼をかけたりする立場にいます。

ーーそういった一連の仕事は、組織から指示されてやっていることですか? それとも、自分で「これは、こうした方がいいな」って考えて、動いている感じですか?

後者です。情報が沢山ある中で、「どの情報をどう活用するのがいいのか」を考えることが多いです。 皆が当たり前に共有できている情報ならいいんですけど、「これは多分、抜け漏れが生じそうだな」と感じたら、突っ込んで行って、情報を共有してもらい、展開していくことを心がけています。

例えば、新商品や新サービスに関する情報は、どうしても漏れがちです。置いていかれやすいんです。 起案者や企画者が頑張って発信していても、他のメンバーはまだアンテナが立っていないし、一部の人しかきちんと理解していないことも多いので、組織全体として後回しになります。 そういう時こそ、「そろそろ、こういう情報が流れますよ」というのを私から強く発信しています。各部署のメンバーに心の準備をしておいてもらおう、という目論見です。

世の中にちゃんとしたセールスをするためには、しかるべきタイミングを逃さずに、例えばメールを流すとか、WEBをアップするとか、各部署・担当者に作業をしておいてもらう必要があると思っています。 情報は「鮮度」が大事ですよね。タイミングを逃してしまうと価値がなくなってしまいます。

■一番の目的は「売上」。企業なので「売上」はとても大事

ーーその主体的というか積極的な情報収集と共有は、優しさから来るものですか? それとも、売上のためにやっていることですか?

単純に、一番の目的は「売上」です。企業なので、とても大事です。
もうひとつは、自分自身、後から言われることが好きではないんですね。「これやっておいてくださいね」って言われると、 「遅かったな」「言われる前にやれたらよかったな」って後悔することもあります。早め早めの対応が大切です。

ーーなるほど。ありがとうございます。ちなみに、以前は「システム開発部」という部署にもいらしたんですよね? その頃はどんな風に働いていましたか?

システム開発部にいた頃を思い返せば、人って困った時に頼ってくるのが当時の仕事だったんです。なので、いかに人が困らないようにするかを考えるのが大切でした。 システムを整えたり、操作方法をマニュアル化しておいたりとか。ヘルプデスクに問い合わせが来ない状態が、社員が望む環境。 そんな時も、率先して、社内の営業職の事務作業を減らしてあげたりすることを心がけていました。うちの会社の営業職は事務作業が多いんです。 作業を軽減してあげることが大事だと思って、働きかけていました。そうすることで、仕事も効率的に早く進むし、売上向上にもつながりますよね。 結局、「売上」にならないと意味がないですから。「売上」の妨げになるものは、解消してあげよう、と。

■海外では自分の価値は自分のお金で投資して上げていくもの。一方、日本は企業が社員に教育の機会を提供するもの。日本人はとても恵まれていると思う

ーーシステム部で働くさらにその前は、営業部にもいたんですよね。そういった経験も活きたのではないでしょうか?

そうです、入社した当初は、営業をしていました。当時は国際部というグローバル営業部隊があって、そこに所属していたんです。海外の人たち、海外出身の人たちに向けた研修やトレーニングサービスを考えていました。
私自身もそうでしたが、外国から来た人が日本で働くと、色々な壁にぶつかることがあると思います。 なので、なるべく壁にぶつからずに仕事ができるように、様々な手段を教えてあげることをしたいと思っていました。 どうしても生じてしまう精神的なストレスを減らして、仕事で悩まずに、違う国や文化で働いてもらえるようにと願って、営業していました。

ーーもともとは、何をしたくて、今の会社に入ったんですか?

今お話しした「国際部」という部署があったので、そこで働いて、自分が出身の中国とのつながりの中で仕事ができたらいいな、と思っていました。 海外で、語学力を生かして、日本と違う国との間で商品やサービスを展開するなどのビジネスができれば、それが自分らしい活躍になるかなって思って入社しました。 ただ実際のところ、海外に進出してみたものの、弊社がメインにしている「研修」のサービスはうまくいかなかったんです。

ーーそれは、「外国人」である周さんは最初から感じていたことですか?

正直に言えば、研修サービスをアジアに展開していこうという話があった段階で、「難しいだろうな」っていうのは、前から感じていました。
海外では、自分の価値は自分のお金で投資して上げていくもの。そして自分で自分を売り出していく文化があるんです。 だから日本式の「企業が研修会社にお金を払って、社員に受けさせに行く」というのは、ちょっと馴染まないかなと。 日本は企業に入社させてから、企業が社員に教育の機会を提供するものですよね。日本人はとても恵まれていると思います。 その一方で、会社のお金で与えられる機会だと、社員は自分のお金を使うのとは違って、研修受講の意欲やモチべーションがあがらない部分もあるんじゃないかなって思っていますがどうでしょうか。

■グローバルで本格的に稼ぐためには、ローカル企業に進出していかないと大きな売り上げにはならない

とにかく、この文化の違いと研修への企業の取り組みの違いは、海外でビジネス展開するうえでは大きかったと思います。 とは言っても、全然仕事にならなかったわけではないんです。海外に拠点を置く日系企業であれば、日本のやり方をそのままやればいいので、そういったお客さまといくつかの案件を実施したことはあります。
ただ、グローバルで本格的に稼ぐためには、ローカル企業に進出していかないと大きな売り上げにはならない。 でも、お伝えしたとおり、ローカル企業は「人材は自分で投資して付加価値をつけること」を前提としていたので、そういう理由で、ローカルでの成功を実現していくことは難しかったです。

■日本人は物事を複雑にするのが得意。空気を読み合うばかりで、なかなか結論にたどり着けないことがある

ーー海外で仕事をする中で、すなわちグローバルで働く中で、「自分の強み」に気づいたことはありますか?

例えば、今の会社では「研修講師」という仕事があるのですが、私は日本の感覚と中国の感覚を両方持っているので、 講師として仕事をする際に2つの文化に合わせて伝えられるというのは自分の特権かなと思いました。表現の仕方を変えて、それぞれの言語で教えることができるのは自分の強みだと思います。

あとは、これは日本で働くうえでの話ですが、日本人は物事を複雑にするのが得意だと思うんですね。 本当はシンプルにまっすぐ物事を進められるはずなのに、何故か、ぐるっと遠回りにしてみたりとか。しますよね? そういった複雑化してしまった物事を整理して、 なるべくシンプルに直線でいけるように調整する時は、私の外国人としての性格、考え方、仕事の進め方が適している部分があるんじゃないかな、と思います。 物事を前に進める、という時にも、外国人としての推進力が活きていることもありますね。

ーーなるほど(笑) それって中国人だからというより、周さんの個人の力量ではないんですか?

半分半分ですかね。事実、私が育った環境による影響はあると思います。中国で育った中では、はっきりとすることが良い、ストレートでシンプルにすることが良い、とされるんですね。日本みたいに複雑にはしない。
一方で、日本に来てから学んだのは、すべてストレートだと人を傷つけてしまったりする、ということでした。結果としてうまくいかないこともある。だから、婉曲に伝えつつ、うまく調整していくことも必要なんだな、と学びました。

ーー外国人ならではのストレートに物事を進める面と、日本の優しさかつ遠まわしな進め方の両方を身につけた、ということですね。他にも「外国人」として意識していることはありますか?

ちょっと意地悪ですけど、求めている意見や回答を引き出すために、キャラクターを使っているというのもあります。「とぼける」というか。短時間で本質にいかなければいけない時に、日本人同士は空気を読み合うばかりで、なかなか結論にたどり着けないことがあります。 そういう時に「外国人」という立場を戦略的につかって、話を早くさせていることもあります。そういうのも自分の強みかなと思います。

■大切にしているのは「スピード」

ーー仕事における「自分らしさ」ってなんだと思いますか?

「スピード感を大切にする」っていうことですかね。これは上司にも話したんですけど、仕事ってどうしても溜まっていくものですよね。 でも、早く処理して、リラックスして帰って、次の日を迎えたい。そうじゃないですか? ならば、仕事は確かに山ほどあるけれど、少しでも前に進むことが大切だと思うんですよね。仕事をするうえでは、「スピード感」っていうのが自分の中では重要だと思います。

仕事をする人って、2パターンいると思うんです。貯めて貯めて、その仕事を忘れていってしまう人と、来た仕事をすぐ片づけて、どんどんこなしていって、次から次にまた仕事を任される人。 自分は後者でありたいと思っています。どんどん仕事がきても、仕事のスピード感があれば、なんとか調整がつくと思うんです。 早め早めで片づけておいて、余裕を最初に作っておけば、何か突発的な依頼があった時にも柔軟に対応できる。それは心がけています。

ーー多くの日本人が、精神的にいっぱいいっぱいになってしまうと思うんです。私もそうですが、仕事が山積みになってくると「どうしよう、どうしよう」って焦ったりして。そういうのは、ありますか?

勿論、誰でもいっぱいいっぱいになることはあります。でも、仕事は一人でするなんて無理。「さばく」という能力も必要だと思います。
この期間だったら自分の部下はさばけるな、と状況を読む必要があります。そういう見込みがあるなら、部として仕事を引き受ければいいと思うんです。 でも、皆、ぱんぱんだったら、交渉して調整すればいい。例えば納期を伸ばすとか。いっぱいいっぱいにならないためには、そういうことが大切だと思います。
ただ、これは作業的な仕事に限りますけどね。考えるタイプの仕事や、新規事業などのクリエイティブな仕事や先が見えにくい仕事は別です。
今私がやっているWEBの仕事は、原稿やWEBに載せるものさえあれば、そんなに難しい仕事ではないんです。ルーティンワークにもできます。 そうすると、いかに「原稿」を書いてもらうのか。どうやってそのクリエイティブなところを、スピーディーに担当者にやってもらうのか。それを考えることが大事だと思います。それは周りを見ていて分かったことですね。

ーー聞けば聞くほど、いわゆる「マネジメント」をなさっているんだと思うんですが、もともと自分の意志で、管理職になろうと思ったんですか?

うちの会社では、管理職って、いきなりなるんです。いきなりマネジメントのポジションについて、部下を持つ。マネジメントをやらなければいけなくなるんです。私もそうでした。
ただ、自分自身は、仕事を配分したり、振り分けたり、環境を整えたりすることは、得意かどうかは分からないけれど、好き。だから、無理やりやらされている感はないです。

ーー自分が好きなものとポジションが一致したな、っていう感じですか。

そうですね。さらに上に行けるかどうか、行きたいかどうかを考えると、「今よりも高い給料を稼ぐために、さらに上を目指す」というのはあります。
ただ単に責任だけが重くなって、それに報酬が比例して上がらないのであれば、今のままでいいかな、と思います。

ーー人によっては、肩書にプライドを持ったり、人の上に立つということにステータスを見出す人もいますが、モチベーションは「お金」ですか?

そうですね。やっぱりお金は大事ですよね。そこははっきりしています。

ーー周さんにとっての、理想の仕事の仕方や働き方ってありますか?

今は結構、理想の働き方、理想の環境に近いです。相談する上司・同僚もいる。手を動かす部下・後輩もいる。 自分はその真ん中にいて、皆がやりたがらない「調整」は自分がやって、部署全体の成果をあげていく。今のポジションはやりやすいです。
社歴もある程度長いし、周りのメンバーも、「周さんはこういう人、キャラクター」って理解しているから、やりやすいんだと思います。うまく「中国人だから」というのを、周りも自分も使えている部分もあると思います。

■日本に働きにくる外国人へのアドバイスは「仕事のうえでの自分の強みを常に考えること」

ーー「中国人だから、外国人だから」というのを周りもうまく使えているし、本人も戦略的につかえている。それって賢いやり方かもしれませんね。
先ほどの物事を前に進める、事態を複雑化させない、というのも、日本人同士だとなかなかメスを入れられないですが、外国人の視点や切り口であれば、皆が納得する、というのは、やはりあるんじゃないかなと思います。
よくある話だと思うんですが、周囲も本人も過敏になっていて、「外国人だからって言うのは差別じゃないですか!」って言っていたら、きっと仕事だってうまく進まない。だから、周さんと周りの方々の関係性は素敵だな、と思います。
それでも、そういう関係性を築くには、結構時間がかかったんじゃないですか?

そうですね。かかりました。時間は大事です。日本に来たばかりの外国人が、すぐにそうなれるわけではありません。 やっぱり母国の考え方ややり方が強い内は、日本の文化の中では浮いてしまいがちです。
あとは、日本に来た外国人の周りに誰がいるのかも大事です。自分の周りが母国出身の人ばかりだと、やっぱりマインドを切り替えるのは難しい。日本人に囲まれている方が、早く馴染むし、溶け込めるようになると思います。

ーー今後、もっと外国人が増えると思いますが、何かアドバイスはありますか。

溶け込むまでに時間がかかることは、今お伝えしたとおりです。
あとは、自分の強みを常に考えること。「自分の強みは何だろう」って考えることは大事です。 外国人に「強みは何ですか?」と訊くと、「明るいこと」「笑顔」って言う人が多い。 それはそれで必要で大事です。でも、さらに仕事上の強み、例えば、調整力とか知識量とかを身につける必要があると思います。 だって、壁ぶつかった時に、「明るい」「笑顔」は続くかどうかわからない。そういう強みだけでは、ずっと日本で長く活躍するには難しいと思います。だから、仕事のうえでの自分なりの強みを見つけないと、厳しいんじゃないかな、と思います。

ーー周さんは、いつ、そういった強みに気づいたんですか?

自分に気づいたのは、システム部にいた時、ヘルプデスクにいた時でした。営業から相談を受けた時、社内に「周ちゃんに相談してみよう」という人が増えてきた時に、感じました。 「他の人に相談してもいいのに、私に来るっていうのは、なんでかな」「私に訊きに来るってことは、好かれているのかな」 「相談しやすいっていうのは、他の部署に行っても、強みになるだろうな」って思いました。お願いしたり、されたり、依頼したり、されたりするって、どこでも通用する「人としての強み」だと思うんですよね。

あと、これは外国人とか日本人とか関係ないんですけど、「本当に大変な時に、困っている時に、助けてあげる」。 そういう時に助けてあげたって相手の印象に残りやすいじゃないですか。将来的なやりとりをしていく時には、そういうイメージとか、恩とかってとても大事です。 助けて、助け合う関係性を築くというのも、意識していれば、強みになると思います。

■謙虚さを持ちながらも、時に鋭い指摘をして、「この人とは仕事ができるな」と思わせることが大事

外国出身なので、やっぱり、どこか遠慮する側、遠慮するサイドにいます。日本はどうしても「自分の国」ではないから。だから謙虚さを持つことは大事だと思います。
でも、攻めていくことも大事。謙虚になりすぎると、下に見られてしまうこともあります。いじめられたり、舐められたりしてしまう。 そうなってくると、人としての価値が下がってしまう恐れがあります。謙虚だけど、時によっては鋭い指摘をする。「この人は物事、分かっているんだな」 「この人とは仕事ができるな」と思わせることができる方が自分にとっては得になると思っています。

「この人は話にならないな」と思われてしまうと、雑な仕事とか、どうでもいい仕事とかを任されてばかりになってしまう。そういう外国人は多いと思うんです。 プログラマーだったら「プログラミングだけしておけばいい」みたいな扱いになってしまうことは、世の中にあると思います。

ーー自分には価値がある、ということを、きちんと伝えていく、示していくことは、とても大切ですよね。

例えば、うちの会社の内定者を見ていても、そうです。皆、同じくらいの年齢で、社会人経験がなくても、なんとなく「自分はできるぞ」っていう自己主張が強かったり、 自分の知識や能力をある程度魅せていける人が、一目置かれ注目されます。例えば、内定式や入社式の挨拶を任されるのは、そういう人です。そういうアピールは大事だと思います。

逆に言えば、すごく性格がいい人でも、弱そうで頼りなさそうなイメージがついちゃうと、雑な仕事や損な仕事しか任されない。それが世の常です。 それはそれで本人が楽しくやっているならいいと思うんだけど、きっと辛い人もいると思います。 本人の能力があるかないかとは別に、「これくらいしかできないんだろう」と思われてしまって、それだけの仕事しか任されないのは、損だと思うんです。

ーーセルフマネジメント、セルフプロデュースの話ですね。

「バランス」が大事ですよね。口だけでもいけない。どんなに偉そうに言っても、結局は「成果」を提供できる人なのか、を周りの人は見ています。 営業部に対して口は出すけど、結局、提案書は作ってくれない、とか。何かしら「成果」を出さないと、認められません。だから、ビジネスをするうえでは、それを意識して働かないといけないと思うんです。

ーー積極的に「価値」を出していかないといけない、ってことですよね。それは外国人も日本人も、新人も若手も中堅も、皆、必要な意識ですね。 周さんと話していると、仕事をするうえで大切なことに改めて気づかされます。もっと色々とお話しを伺いたいのですが、あっという間に30分が経ってしまいました。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

周逸飛さんが勤務するのは・・・
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