お金の動きが分かると営業の仕事が楽になる!

お金の動きが分かると営業の仕事が楽になる!

1.営業担当者のコストは意外と高い

営業担当者のコストは意外と高い
~できる営業パーソンはコーヒーショップに立ち寄らない

■商談のコストを考える~営業担当者は本当に稼いでいるか?

居酒屋などで、「俺はあんなに売り上げているのに、これだけしか給料をもらっていない」とこぼす営業パーソンの姿を見かけたことはないでしょうか。

実は営業担当者は会社から見ればコストの塊です。自分のコストを検証してみましょう。

■商談1回あたりのコストを考える

まず、商談のコストを計算してみます。年収600万円の人が訪問を1回行った場合、どのくらいのコストがかかるでしょうか?

(1)時間あたりの人件費を計算する

600万円 × 1.5倍(社会保険料、オフィスコスト等) ÷ 12ヶ月 ÷ 20日 ÷ 10時間(2時間残業を想定) = 3,750円/時間

となります。

(2)商談1回あたりの費用を計算する

商談時間を1時間、往復にかかる時間を2時間、提案書作成に2時間とすると

3,750円×5時間+1,000円(交通費) = 19,750円( = 約2万円)/訪問

となります。

思ったよりも高額ではないでしょうか?

■現実には商談コストの何倍も獲得しないと会社は持ちこたえられない

今度は、この2万円のコストに見合う、売上を考えてみましょう。会社の収益構造は以下の式で表されます。

売上高 = 売上原価 + 販売費(営業担当者のコスト) + 一般管理費 + 営業利益

この式にあてはめて考えてみましょう。

売上(100万円) = 売上原価(30万円) + 営業担当者コスト + 一般管理費(50万円) + 利益(10万円)

こんな場合には、営業担当者のコストは売上げの10万円(売上げの10%)しか許されません。よって、1回の訪問で2万円のコストがかかるなら、20万円の売上げが必要になります。(具体的なみなさんの会社の収益構造は、経理の方や上司に聞いてください)

どうでしょうか?こんなに売り上げていますか?

これを知ると、仕事中にコーヒーショップで毎日、毎日、気分転換するのは、会社に対する大きな背任行為と行っても過言ではないでしょう。

できる営業担当者になるには、厳に慎んだ方がいいと思います。
営業担当者にとって、常々営業コストをできるだけかけない方法を考えるのは、最も大切な仕事だと言えます。

2.経理・財務に喜ばれる営業になる

経理・財務に喜ばれる営業になる
~営業の「縁の下の力持ち」に対する気遣いを忘れない

■できる営業はバックオフィスのこともよく考えて行動している

営業担当者は普段、会社の外でお客様の矢面に立っているので、なかなか経理がどんな仕事をしているのか分からないものです。
しかし、ダメな営業担当者のお世話で、経理部門などのバックオフィスが多忙を極めている会社はよくあります。
代金の回収ができない、伝票に間違いがある、などの理由で事務作業が増えるせいです。
営業担当者は、「事務作業が増える」ということを「事務コスト」が増えるという意味でも把握する必要があります。
コストがかかれば、せっかく売り上げを上げても、利益は減ってしまいます。
会社全体の収益を考えると、代金の回収が早い、伝票に間違いがない、というのは、すごく重要なのです。
一歩進んだ、デキル営業担当者というのは、バックオフィスの内情を理解しながら仕事をしているものです。

■面倒な仕事を増やさない営業担当者は優秀

「お客様に請求書を持って行くのを1ヶ月も忘れてた・・・」

営業担当の方なら一度や二度ぐらい必ずこんな事があると思います。こんな場合、上司だけでなく、経理担当者に小言を言われることになります。理由は、経理で面倒な事務作業が増えるからです。

例えば、請求書を渡し忘れてしまった場合、どのぐらいの事務コストが発生するのでしょうか。経理担当者からお客様に速達やバイク便で再送付して、支払いのお願いの電話を入れてもらう。これだけで、大体2千円~4千円ぐらいのコストが掛かります。

したがって、渡すものを渡して、貰うものはきちんと貰ってくる人、余計な仕事を増やさない人、そういう営業担当者は、会社全体のトータルコストが低くなるので、会社全体で歓迎されます。

■入金が早い営業担当者は会社全体から喜ばれる

また、経理はお客さまが「いつ入金をしてくれるか?」ということを非常に気にしていますが、営業担当者としては、お客さまが気を悪くするのではと、なかなか聞けません。
しかし、会社は銀行などからお金を借り入れて事業をしています。もし、入金が遅くなると、入金処理が遅れ、資金繰りが悪くなり、余計な金利を支払うなど、会社は損失を被ります。

営業担当の方なら一度や二度ぐらい必ずこんな事があると思います。こんな場合、上司だけでなく、経理担当者に小言を言われることになります。
理由は、経理で面倒な事務作業が増えるからです。
※次章(『入金は早く』は営業担当者の常識)で詳しく説明いたします。

ですので、入金を出来るだけ早くしてくれる営業担当者は、経理・財務にとってすごく頼もしいとともに、社内の評価も上がります。
同じように、在庫担当者の場合、過剰に余っている商品を、高く売ってくれる営業担当者は非常に頼もしいです。

■経理の流れを知ることで、一段レベルの高い営業ができる

ベテランになってくると、一歩進んで、そうした経理の知識を踏まえて営業しているものです。たとえば、お客様が「商品を買いたい。支払いを早めにしたい」という場合、ベテラン営業担当者はこう考えます。

「もしかしたら、予算が余ったのかも知れない。他にも売れるかもしれない」

また、「商品を買いたいが、支払いを延ばして欲しい」という場合、経理・財務知識のある営業担当者はこう考えます。「金利負担分、コスト負担が大きくなってしまう。お客様にも都合があるのだろう。でも、代わりにこちらのお願いも何か聞いてもらおう」このように、お金の流れを知ると、売上げアップ、粗利アップも可能になります。

3.「『入金は早く』は営業担当者の常識」

EPISODE

私はよく経理担当者と喧嘩してしまいます。せっかく購入してくれたお客様が大変困っているのに、やたらと入金を急がせます。お客様は、大企業でつぶれる心配はないのに、営業の足を引っ張る経理のやり方に怒りを覚えることも再三です。(商社・営業)

HINT

入金は早く!が大きな利益を生む。入金が遅れると、値引きと同じ

みなさんは、上司や経理の担当者と代金回収の件でもめた事はありませんか?こちらの苦労も知らずに叱られて、怒りに似た気持ちが起こってきますよね。

経理担当者:

  • 「君はなかなか請求書を持って行ってくれないね」
  • 「代金の回収が遅れているがどうしたのか?」

営業担当者:

  • 「なんでこんなささいな事を言うのか!」
  • 「苦労して売っているのに、ささいな事をがたがた言わないで欲しい」
  • 「お客さんも大手で潰れる心配はないし、うるさく言って嫌われたら終わりだよ!」
  • 「なにより新規先開拓の営業で忙しいんだ!」・・・などなど。

実は、経理担当者の指摘は極めて重要で、販売代金回収の遅れは会社の利益と資金繰りという2つの大きな問題を生みます。

(1)代金回収が遅れると会社の利益が大きく違ってくる

会社の運転資金は銀行から借りていますが、その支払利息額が大きく変わってきます。売り上げは変わらないとしても、利益は大幅に減ってしまいます。

ここで一つ、例を挙げてお話しします。

前提

  • 本日 9月10日
  • 支払い条件:月末締め翌月末払い 販売額100万円(利益率10%)
  • 銀行からの借入金利:年利5%

請求書をお客様に9月30日までに持参した場合

  • 納品日 9月1日
  • 請求書作成 9月25日
  • 請求書発送 9月28日
  • お客様到着 9月30日
  • お客様支払い 10月31日
  • <販売日から入金日までの負担金利額>

    100万円 × 5% × 61日 / 365日 = 8,356円

請求書をお客様に10月1日に持参した場合

  • 販売 9月1日
  • 請求書作成 9月26日
  • 請求書発送 9月29日
  • お客様到着 10月1日
  • お客様支払い 11月30日
  • <販売日から入金日までの負担金利額>

    100万円 × 5% × 91日 / 365日 = 12,465円

ご覧いただいた様に、わずか1日の違いで、4000円も損をしているのです。売上げと比べると、0.4%でしかありませんが、利益と比べると、4%減となります。実に、大きな損失となります。

より、明確になるようにご説明すると、会社全体で、100億円の売り上げの回収が1ヶ月遅れたとすると、4000万円の利益減となります。恐ろしい事です。

(2)手元の現金が減ってしまうと、最悪、黒字倒産になってしまう!

もう一つ重要な事は回収が遅れた売り上げと同額の現金が会社から減ることです。現金が減るとそのために、場合によっては、新規事業ができなかったり、販促が打てなかったり、給与を減らしたりするしかなくなってしまいます。(これは重要です!)

なぜなら、現金がないから、払えないのです。

これがさらに悪化すると「黒字倒産」になります。売掛金(回収していない販売代金)はあるが、いろいろな支払代金がない場合、会社は「資金繰りに窮して」倒産となってしまいます。

営業担当者としても是非、覚えておいてください。

4.「営業先を見極める財務知識~どうせ攻めるなら優良企業・財務諸表の見方」

EPISODE

私は今、旅行会社に絞って営業活動をしていますが、規模の大きい会社から小さい会社まで旅行会社は数多いです。この中から闇雲にテレアポするのはなんだか非効率な気がしています。何かうまく優先順位をつける方法はないですか。

HINT

選べるなら、まずは優良企業をターゲットにしよう!


「良い会社」の定義は多々あります。営業担当者の立場で考えると、自分の商品を選んでいただける会社様は「全て優良企業」と言いたいところです。
ただ、商品やサービスを売り込むためには、先方に買う「余裕」があり、購入した後、代金を確実に「回収」する事ができないと営業としては完結しません。
よって、「良い会社」を見分ける方法は、営業担当者の基礎スキルと言ってもよいでしょう。
今回は、「良い会社」の財務面からの見分け方をご説明いたします。

◇良い会社とは、「規模が大きいとか」、「業界順位」だけでは分からない

私は銀行員の端くれでした。その経験から申し上げれば、「良い会社」とは、規模や業界順位だけで考えると大きな間違いと考えてよいと思います。

以下、良い会社の条件を銀行員に伝わる話も含めて列挙します。(あくまで私見ですが)

財務諸表や会社の雰囲気が美しい
※「美しい」とは、多々、見方がありますが、以下が特徴だと思います。

  • ・売上が年々着実にのびている
  • ・利益が確実に出ている(売上げと比べて利益が大きい)
  • ・現金が潤沢(キャッシュがある)
  • ・負債(借金)が少ない
  • ・会社の雰囲気が明るい、お客様に挨拶をする
     ~社員の皆さんが生き生きと働いている。
  • ・玄関がきれい、傘立てがきれい(個人宅にもあてはまると思いますが)
     ~これは、銀行員伝説ですが、みなさんはどう考えますか?
  • ・違和感ある華美さがない
     ~伝統企業なのに二流立地のビルにこだわったり、派手さのないビルに本社があったりすると
     「お金の匂いがする」と言ってとても金融担当者は評価します。
     逆に会社規模は大きくないのに、すごい豪華なビルに入っていたり、内装が豪華だったりすると
     警戒します。
  • ・違和感を感じない普通さがある
     ~何もおかしな印象がなく、普通な感じを受ける企業

上記は自戒を込めて書いています。
恥ずかしながら、この鉄則に反したお客様とお仕事をさせていただいて損をした事もあります。

5.「営業先を見極める財務知識~どうせ攻めるなら優良企業・財務諸表の見方」(2)

■お客様の決算書が入手できれば、いろいろな事が分かる!

(1)営業ターゲットを見つける早道は、損益計算書をまず見る

会社を見るときの見方にはいろいろな角度があり、業界別のほかにも、売上高や損益から見る方法もあります。

特に企業が商品やサービスを購入しよう!と考えるのは、「お金ができた(=キャッシュが増えた)」時なので、売上げがのびた調子の良い企業を選ぶと良いでしょう。

◇損益計算書のポイント

まず、損益計算書(P/L)の私の見方をご披露させていただきます。

P/Lとは、企業の売上高、損益などが書かれたものです。自社のP/Lでは、自分の営業としての売上げが直接反映してくるものがこれです。

営業として、見るポイントは2点です。売上高と利益額です。

◇損益計算書の見方~売上高が伸びていれば、利益は大きく伸びるのが普通!

まずは、売上高です。
この金額が前年比10%以上伸びている(増収)と、セールスチャンスです。


何か新しい商品サービスを買いたくなっています。実は、売上高が10%増えれば、利益額は50%増える場合すらあります。
利益額は売上高の変動以上に大きくブレる理由は、おおまかに言うと、

利益=売上高-経費(仕入れ原材料+人件費+広告宣伝費+金利負担)

という事になりますが、一般的に経費(式の右の項目)は売上高の上昇ほどには増えません。


では、この会社の例で具体的に見てみましょう。


例)2019年度 :売上高を100億円、もろもろ経費を90億円の場合

  • 売上(100億円)-経費(90億円)=利益(10億円)となります。

2020年度:売上高を110億円、経費は95億円となっている場合

  • 売上(110億円)-経費(95億円)=利益(15億円)

となり、利益は50%増となっています。これを狙うのです。

◇企業はできれば税金を抑え、それを何か役に立つ事に回したいと考えている。

企業がお金を使いたい理由はまず、税金対策です。
企業には、大変重い負担なんですが、利益の約40% が税として課せられます。
よって、これを回避するために税金で出て行くくらいなら、「何か会社や社員の役に立つ事に使おう!」と考えるのです。

感覚的には、利益が出てる企業では、100万円経費として使っても、税金分を差し引くと、60万円しか使ってない感覚になります。
ですから、高収益企業には決算対策に1~3月に商品・サービスの購入を増やす企業が多いのです。

◇増加利益額の半分は費用として使ってしまう?

あくまで仮定ですが、この利益額である5億円を企業はどうお金をつかうのでしょうか?
最大半分の2億5千万円は買いたかった、商品・サービスの購入に使う可能性が高いと思います。
セールスチャンスです!

6.「営業先を見極める財務知識~どうせ攻めるなら優良企業・財務諸表の見方」(3)

貸借対照表(B/S)は、ご存知の通り、企業がいくら資産を持っているかを記載したものです。


■現預金の額を同業他社、昨年と比べて見る

営業担当者が見るべきなのはまず、現預金と借入金です。
特に短期で代金回収する商品を売っている方は、現預金の額を見るだけでも良いです。

同業他社、できれば上位企業と比較してみるのが分かりやすいです。
3社ぐらい比較して見るといろいろと見えてきます。
業界トップの企業と比べても、現預金の額が大きい会社は購入余力が大きく、お金を使いたがっている可能性は高いと思います。


また、特に注目ポイントは昨年と比較して、現預金が大幅に増えている場合は絶好のチャンスです。

「儲かってますね、お金持ちですね」と言われて、いやな顔をする企業はまずありません。まず、ここを見ましょう。


■負債の額を同業他社、昨年と比べて見る

B/Sでは、負債の額を見てみましょう。
負債が大きい企業は当然、倒産しやすいものです。
絶対値として、借り入れが大きな場合は注意しましょう。
特に大幅に借り入れが増えている場合には、要注意です。


■決算書の見方に対する注意~例外はたくさんあります

お客様から「君の考え方は違うね」と言われた時は、「是非、正しい見方を教えてください」と切り替えしてください。


当然、例外も多々あります。
これは、お客様の収益構造を教えていただく良い機会になります。
是非、お話をお聞きして、勉強しましょう。
それをチャンスとして、より、お客様と親密になりましょう。


また、企業与信(代金が支払われるかどうか?)に関しては、もっと多様な情報から慎重に検討しましょう。
これはあくまでスタートラインでしかありません。


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