連載コラム

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THE WORLD OF CHINA

尾崎久矩

中国人の方と親しい関係になると、会話の中で「北京人英明、上海人精明、広東人聡明」といった表現に出会う事があるかもしれません。

この「英明」「精明」「聡明」はいずれも「賢明さ」を表しますが、それぞれニュアンスが少しずつ異なります。

「英明」は、視点が高く英知にあふれた賢明さ、「精明」は機を見るに敏な賢明さ=適応力の高さを示し、「聡明」は発想が鋭い、戦略的な賢明さといった意味を含んでおり、中国を代表する3地域の中国人気質をよく表しているのです。

地図上で整理してみましたのでご覧下さい。

中国人の地域別特性

東北人はハルピン・長春・瀋陽・大連といった寒冷地域に住んでおり、忍耐強くて裏表がないと言われています。また、教育に関心が高いのもその特徴といえます。 地理的にも日本から近く、日本に関心を抱き日本語教育レベルも高いのが特徴です。

北京人は、北京が中央政府のお膝元であり、悠久の歴史・文化を誇る首都であることから、伝統を重んじ保守的な性格と言われています。一般的に、物事を考えるスケールが大きく、小さい事でくよくよしない傾向があります。

上海人は古くから上海という対外貿易が盛んで国際的な都市に住み馴染んでいることから、常時海外を見据え、流行に敏感でありセンスに富んでいると言われています。

広東人は、広東省が中央政府から離れているため目立った産業がなかったことが早くから海外に出るきっかけとなり、アジアを中心とした全世界で活躍しています。広東人、潮州人、福建人等を主とするこういった中国人は「華僑」と呼ばれ、その数は約6000万人に及びます。

深圳人は海外思考が強く学歴が高い傾向があると言われています。深圳は、香港に隣接する代表的都市として1980年に経済特区に指定されて以来、急速な発展を遂げ、現在の人口は1400万人を越えています。中国国内で一人当たりのGDPが1万ドルを突破した最初の都市でもあり、その高い生活レベルに憧れて全国各地の人々が移り住んでいます。

四川人は成都や重慶など、西南部の自然美に恵まれた地域で素朴な生活を送っており、一般の中国人と比べて穏やかな性格で秩序を守る人が比較的多いと言われています。

日本でも「県民性」といって地域ごとに異なる傾向がありますが、それと同じです。中国と一言で言っても、その地域固有の歴史や文化的背景に根ざした価値観、人柄の特徴がありますので、それを予め知っておくことで、ぐっと働きやすくなります。

尾崎 久矩 (オザキ ヒサノリ)

総合商社出身。
日系企業第一号の「中国語研修生」として、国立台湾大学商学部に留学。1972年の日中国交回復以降、文化大革命、改革開放、天安門事件、世界経済の牽引役たる現在の中国に到る迄、一貫して中国ビジネスに携わり、その変遷を体験している貴重な存在である。1976年の北京プラント商談では、No.1となる成約実績を達成。1979年、日系企業第一号となる北京事務所の設立に参画後、同じく日系企業初の家族帯同駐在員として、3年半北京事務所機械・プラント部門統括責任者となる。
北京・上海・成都・重慶・シンセンの代表を歴任。中国滞在は伸べ17年間に及び、中国大陸各地の要所に足を踏み入れた実績を持つ文字通りの「中国通」である。 香港・台湾・東南アジアの事情にも精通。「現場を熟知した上での論議展開が重要であり、体験に基づかない主張は<卓上の空論>に過ぎない」が持論。