Episode1. 上海市の企業と合弁会社をつくった話

インタビュー

HONGKONG DAY BOOK

Episode1.
上海市の企業と合弁会社をつくった話

当時の中国は規制が厳しく、ソニー単独では会社を設立することができませんでした。中国では、国が何かプロジェクトをやろうと言ったらいろんな市町村が手を挙げ、その市の有力企業と合弁会社を創ることになります。私たちのときは、上海市が手を挙げてくれました。

そこで一番苦労したのは、私たちと上海市、両者がうんといっても、中央政府がうんといってくれなければ、話を進めることができないこと。その中で、どうやって上海市とプロジェクトをすることをうまくまとめるかというところで、苦労しました。

僕の場合は幸いなことに、当時中央政府の責任者とものすごく気が合ったんです。相談に乗ってもらったり、協力してもらって乗り切りました。ここで、きちんと話をしていけば、話をわかってくれる人がいるんだな、ということがわかりました。そういう人を、中国でどうやって見つけるか、というのはポイントですよね。

中国は中央集権なので、物事を決めてくれるのが誰か、というのがすごく大事です。仮に目の前にいるAさんが「大丈夫ですよ。これならOK出ますよ。」と言っても、上の人が良しと言ってくれるかというのはまったくの別問題。ひっくり返ってしまうこともよくあるんです。

そのため、1つの情報を鵜呑みにするのではなく、自分で情報を集め、現地の人に確認を取るなどして、きちんと納得してから動くことが大切です。その時に、「上層部の人はどういう考えを持っているのか」「専門家はどのように考えるのか」ということを知っておくとスムーズに運びやすいことが多いのです。自分と同じレベルではなく、常々一段上のレベルでの情報を持っている人を、見つけておくという努力が必要です。