実践的「働き方改革」に対応するために

実践的「働き方改革」に対応するために

マネージャーに求められる役割

マネージャーに求められる役割は、リーダーシップを発揮して全体最適化のための資源配分を采配することです。

経営側から求められることは2つ。1つ目は、高い目標を掲げ、達成できること。2つ目は、全体最適化のためのマイクロマネジメントができることです。後者が「働き方改革」で求められる、重要なポイントになってきます。

働き方改革のテキスト

上図の通り、今までは一人の男性社員にすべての仕事を"まるっと投げる"のが、業務の振り方でした。これからは長時間働ける人はまずいなくなるでしょうし、どんな大企業でも人が採れなくなってきます。ですから、シニア、若手、育ママなど多様な人材に仕事を細かく分けることが必要です。そして、マネージャーはそれができているか常に確認し、できていない時には他の人に手伝ってもらったり、担当を変えたりするなど、きめ細かくマネジメントしながら仕事をすることが求められます。

マネージャーが業績拡大するための2STEP ~①業務改善

マネージャーが業績を上げるためには、業務改善と変革という2つのステップが大事です。

まずは、業務改善し、生産性を向上させることです。

特に日本で大事だと考えられているのは、業務の廃止でしょう。そもそもこの仕事は必要なのか、仕事が丁寧すぎないか、品質が過剰すぎないかという視点から課題となるのが業務の廃止です。

そして、業務のモジュール化(標準化)。これは特に大事な点だと思います。例えば、日本の製造業における技術者の設計業務の7割は微妙な修正、いわゆるすり合わせでできていると言われています。一方、特にヨーロッパや北欧の企業などが徹底しているのは、同じ部品をできるだけ使い回す、同じ仕事を2回しない、微修正をしないということ。これで、生産性は2倍にも3倍にもアップするそうです。日本もそういう発想に変えていかなければいけません。これがモジュール化(標準化)です。

それから、AIを使った業務の自動化も叫ばれています。

さらには、業務の集約化です。分業が多すぎるとコミュニケーションコストが発生します。他の人に業務を頼むとき、必要となる説明などがコミュニケーションコストです。これを削減し改善することで生産性は上がっていきます。

業務改善における廃止やモジュール化は、日本的に言えば、トヨタ自動車の有名な生産方式である「かんばん方式」による仕事です。上司は部下に業務を書面で発注し、それを管理しながら、部下の完成物を上司が取りに行きます。下から上へではなく、上から下への仕事というのが業務改善では有効になってくるでしょう。

業績拡大のための2STEP ~②変革

次に、業績を上げるために必要なのは変革です。

先述の業務改善で生産性を向上させ、10人でやっていた仕事を8人でできるようにします。すると、2割の資源を捻出できたことになり、その2人でチームを作って新しいことができるようになるのです。ここが業績を拡大するためのポイントになります。

働き方改革のテキスト

リーダーはまず変革の目標、PDCAのP(Plan)を決めます。そしてここからが大事なのですが、「働き方改革」の中での生産性向上で、最重視するべきはD(Do)です。できるだけ計画時間を短くして、実行とチェックを繰り返していきます。小さなP→DC→DC→DC→Aのように行っていかなければ、労働時間が短いわけですから、一体いつ働くんだということになってしまいます。つまり、実際に働いている時間をいかに増やすか。これが変革の最も重要なところです。

全体を通じて、業績拡大していくために何が大事かといえば、現実に収益を上げる労働時間と、それを担う人をいかに増やすか。それに尽きると思います。

マネージャーに求められる人材育成スキル

「働き方改革」の中でまず課題になるのは、多様な人材が入ってくることです。当然ながら仕事に熟練した人はまずいないと考えた方がよく、特に若年層や中途採用の人材を戦力化しなければなりません。昔のように新卒一括採用で、勤続数十年という社員ばかりという状況はもうないでしょう。だからこそ、即戦力になる人材をどうやって見出していくかが課題となります。性別・年齢・学歴・国籍など関係なく、能力を見抜く力が大事です。

採用についても、人事による一括採用より、部署単位での採用が一般的になってくるため、人を雇う能力や採用した人を戦力化するスキルもマネージャーには必要です。最初からできる人をくれというのは無理な注文でしょう。ですから、今やっている仕事を細分化して、できるところからどんどん熟練させていくスキルが求められるわけですね。それには当社のOJT研修などがおすすめです。

それから、メンバーのメンタルサポートも大事です。労働時間が短縮することでメンタルはよくなると思われているようですが、実は大きな落とし穴があります。短時間で今までと同じ量の仕事をしなければいけないので、その時間にかかる負荷はこれまでより何倍も大きくなります。つまり、会社にいる時間がしんどくなる、きつくなるということなので、むしろメンタル的には厳しくなることを理解しておく必要があるのです。メンタルの状況を踏まえながら、部下をケアして働いてもらうのも、マネージャーに求められる大事な人材育成スキルです。

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