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株式会社インソース
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講師 岡野知穂
実はビジネスの現場では新しいことではなく、たとえば昔ながらのQC活動に「整理・整頓」というのが含まれていました。これが単独で取り上げられるようになってきたのは、ごく最近の傾向です。そういえば、日常生活の場面でも『思考の整理力(外山滋比古著)』がミリオンセラーになったり、「片付けられない症候群」という言葉が出てくるなど、整理する力が注目を浴びてきています。それだけ世の中が複雑になり、きちんと整理しないままではうまく運べないことが増えてきたのかもしれません。同時にビジネスの現場でも、ものごとが整理されていることがいかに大切かがいっそう着目されてきました。たとえばQC活動という特定の分野で役立つだけでなく、日常業務の全般にかかわることであると認識が深まってきたのです。実際に、片付いていないオフィスでは仕事もはかどりませんし、時間の使い方が下手では生産性が上がりません。ひとくちに生産性といっても、仕事の量である場合も質である場合もあります。質のいい仕事をするには、やはり頭の中で重要事項や優先順位が整理されている必要があります。加えて、いろんなことがすっきりしていると心理的にも気持ちのいいものです。片付いたきれいなオフィスで、ムダな時間もなく、すっきりした気持ちで働けることを、経営層も現場も切に求める時代になったのだと思います。今後ますますニーズの高まっていく研修のひとつには違いありません。
すっきり整理された状態がどういうものか深くわかり、それをいかにして実現するかというさまざまな手法が身につきます。これは足元からの業務改善につながる観点も手に入るということでもあります。意外に日常業務の中で、むだな時間や不便なことがあっても、「現実的にはこんなものかな」「これは仕方がない手間だから」と受け入れてしまっていることは多いものです。まず「これが片付いていないからうまくいっていない」と把握することが重要です。実際に整理するには、「整理できたらこうなるんだ」という、いわば理想的な状態をイメージすることも大事です。具体的なイメージがなければ、そこを目指すのは難しいからです。ゴールが見えた上で、個々のスキルを身につけます。
この研修で身につけるのは、「身の回りの整理力」「仕事の整理力」「頭の整理力」です。最初は、身の回りにあふれかえっているもの、たとえば書類をどうやって整理するのかということです。名刺の整理やカバンの中の整理など、やったほうがいいとわかっていてもなかなか手の回らないものを含んでいます。次に、仕事の整理ということでは、特に時間の管理を扱います。タイムマネジメントの基本や、IT化による省力化を行おうということです。最後に、頭の整理については、論理的なものの考え方、すっきりとアイディアを整理するフレームワークを身につけます。これらモノ、トキ、アタマが整理できるようになったところで、総合的に明日から何をすっきりさせていこうか、というところまでつなげます。
内容が業務のどの部分にも横断的に関わっていて、仕事を離れた日常生活にも役立つ内容である、というのがひとつの特徴です。たとえばクレーム応対スキル向上や部下指導力形成の研修のように、明確にこの業務のこの部分に役立つ、といったタイプの研修ではありません。そういう意味では少しめずらしい、しかし誰でもどこにでも役立てられる研修です。
そして、うまくいっていないはずなのになんとなく受け入れてしまっているという、悪い意味での現状肯定を打破するきっかけになるというのがもうひとつの特徴です。これは、ものごとがすっきり整理されていると起こるはずの効果を、研修の中で明確化するためです。たとえばわかりやすいところでは、仕事の方針が明確になってはかどる、必要なものがすぐみつかって苦労しない、ということがあります。皆さんの意見のなかにはもっと具体的に、すがすがしく片付いた環境だと気持ちよく働ける、残業は減るがアイディアは増やせる、コミュニケーションが充実するなど、いろんな観点の「整理の効果」が出てきます。ちょっと面白いのがコミュニケーションの充実で、ごちゃごちゃした業務に追われる時間が減ってコミュニケーションが増やせる、言いたいことがすっきりまとめられて誤解が少なくて済むなど、いろいろな角度からアイディアが出てくることです。このように、上手く整理できればいろんな面で楽になり、うまくすれば楽しくイキイキ働けるんだ、ということを各自で強くイメージしてもらいます。そうすることで、整理もちょっと頑張ってみよう、意識して整理してみよう、というモチベーションが上がります。また理想的な状態と現状とのギャップが見えてきますから、どうやってそのギャップを埋めようかと、具体的な場面ごとに考えられるようになります。こうした個人でできる小さな改善が、積み重なって組織全体では大きな効果となるはずです。
ギブアンドテイク・ワークに重点的に取り組みます。実は、身の回りも仕事も頭の中も、まったく整理しないままで働いている人というのはいないものです。もちろん得意不得意があり手の回らない部分もありますが、これだけはできる、ここは既にやっている、ということは誰にでもあります。それは、普通なら個人的に持っているスキルのままでとどまり、周りに波及はしません。業務の中でそういうきっかけはほぼないし、そもそも「こうしてみれば」と気軽に言い合えるかというと、ちょっとしたことであればあるほど難しいからです。ところが、業務の中で編み出して個人で保有しているそういうスキルも、組織にとっては宝物です。これを埋もれたままにせず、みんなで共有し活かしていく、それがギブアンドテイク・ワークです。もちろん講師からも整理スキルの解説はあります。それを聞くだけでなく、実際に誰かがそれを実践している、そういう例として聞くことが重要なのです。聞いた話がいっそう身近になり、やってみようという気が起こります。もちろん講師が示した例以外に、豊富な工夫を共有できるという点が、非常に役に立つのです。
まず、「整理できていないために困っていること」を改めて考えていただきます。個人とグループで意見を出し合って、自分たちの職場や業務を振り返るのです。ここは「必要なものがすぐ見つからない」など定番のものもあれば、「書類を回すルートがわからずいつも立ち止まって悩む」など組織ごとに特徴的なものもあります。研修という場で改めて考えることで、意外に「やむをえない」「どこでもそんなものだ」と受け入れてしまっている不便さが身近にあることを浮き彫りにします。その上で、「十分に整理できればどんな効果があるか」を考えていきます。やはり個々に考えて、グループでその理想的な状態を共有します。もちろん講師から、コスト削減や業務の効率化につながる話も具体的に解説します。ごちゃごちゃしてしまっている現実と、すっきり整理された理想的な状態とのギャップをありありと感じることが大切なのです。
それから、「ではどうすればいいのか」ということで、整理の基礎を説明します。そして「身の回りの整理力」「仕事の整理力」「頭の整理力」について、それぞれノウハウを交えながら解説します。講師から解説するだけでなく、ギブアンドテイク・ワークを行います。それぞれの受講者の方が既に身につけている「整理力」を、明らかにして共有するのです。誰にでもある「そういえば、いつもやっているけれど人には教えていないこと」を、みんなが使えるスキルとして浮かび上がらせるということです。最後に「明日からの目標を立てる」というところまでやっていただきます。研修を受けて「なるほどと思った」というところで終わらせてしまってはいけません。即座に取り掛かる、研修で身につけたことを職場に戻って実践できるための流れをつくって終了です。
たとえば「十分に整理できればどんな効果があるか」では、最初に個人的に考えていただきます。ここは「ものすごく理想的な状態を想像してください」など、お願いしています。現実の制限やしがらみからいかに離れて、素晴らしく整理された状態がイメージできるかがミソだからです。これは日頃の業務のあいまでは、自由に発想しにくいものです。そもそもそんな想像にゆだねるような暇もありません。研修の場だからこそ、映画やドラマの中でしか見ないような整理された様子を自分の職場に重ねて具体的に思い浮かべられます。ここは人によって、発想できる深さや広さの度合いが違います。そのためグループワークで、グループの他の人の考えたことを共有します。自分では思い浮かべにくかった人も、グループの仲間が思い描く様子を聞くと、だんだんイメージがわいてきます。感心したようにうなずいたり、思わぬ発想に笑って同意したりする光景がよくみられます。グループで理想的なイメージが共有できたら、教室内で発表していただきます。自分たちの職場や業務が、そうなればいいなぁ、という理想を強く思い描いて整理のモチベーションを高めるのです。
ギブアンドテイク・ワークで特に盛り上がるのは、「ちりも積もれば」のワークです。これは「仕事の整理力」ということで、タイムマネジメントに関するワークです。効率的な時間の使い方として、たとえば1分の空き時間があったら何をするか、何ができるかを考えていただきます。自分の業務を振り返って、細切れの時間をいかに活用しているかを振り返るいい機会でもあります。そして、ちょっとした時間に、いつもやっている以外にできることはないかということも考えられます。
ここもグループワークで何ができるかを共有していきます。意外に、1分なり3分なりで、できると思っていることには差があります。そこで、「確かにそれもできるなあ」「あれはもっと早く済ませられるのかも」といったことを発見できます。どこの組織でも、みんなでやるような大きなことなら、効率化を業務の一環として図っています。ところが案外こうした小さなこと、細かいことは、個人の工夫という段階でとどまってしまっています。あえてそこに光を当てて、全体でうまく時間を使うことにつなげるというわけです。もちろん全体でも発表します。「朝礼で発表することを1分でまとめておきます」といった真面目で役に立つものが多い中に、たまに「1分あったらお茶を入れます」などあってちょっと笑ったりする、面白くてためになるワークです。
研修の所要時間と受講者層などにもよりますが、最後に「明日からの目標を立てる」というのを行うことがあります。もちろん整理の考え方と実際の整理するスキル、つまり総合的な整理力を身につけると、職場に帰ってからもいろんな局面で役立ちます。それだけでなく、研修の成果として、うまく整理できていないことをひとつ具体的にまず着手してもらうためのワークです。これは実際に「何が整理できていないか」「整理できればどうなるか」をふまえて、3ヶ月のアクションプランを作成するものです。これはちょっとした個人的なことでも、組織内に波及するようなことでもよしとしています。忙しい中で何かを一気に片付けてしまおうとするから、時間が取れなかったり億劫だったりします。しかも「これで整理できた」という基準がないと、どこまでやればいいのかもわからないものです。たとえば「全力で充実させる」などは、気合は入っていますが具体性がありません。視覚的にあるいは数値的に、成果が見えるような具体的なプランを考えることがポイントです。
このプランには「実現の工夫」をまじえてもらいます。最初の掛け声だけ威勢がよくて後が続かない、というのを防ぐためです。なしくずしに消えてしまわないような「歯止め」を合わせて、しっかり考えておくのです。そしてグループワークでこれも共有します。「基準」や「歯止め」について、流用できる工夫がよくあります。他の人に発表すること自体が「やらざるをえない工夫」のひとつでもあります。また同じ組織で受講いただいている場合には、特にその効果が高まります。「歯止め」として「周りの人に声かけをしてもらう」というのを考えて、その場でお願いしておく方もいます。もちろん発表するだけでなく意見交換も行います。計画の甘い部分など他の人の目で見てもらうことで、ブラッシュアップできるからです。
初めて民間のお客さまで実施して以来、大学・自治体のお客さまでの実施が増加傾向にあります。「整理力」は業界・業種の違いばかりではなく、仕事を離れた場面でも力を発揮する研修となっていおり、受け入れられる幅が広い内容となっています。
「整理力」を完全に身につけるためには研修だけではなく、現場での日々の実践が重要なスキルです。自然と整理ができる社員・職員へと成長する、その良いきっかけをつかんでもらいたいと思っております。