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令和流の営業マネジメントの「要」とは~"個を見る"部下育成で最大の成果を出す

目次

「人的資本」の重要性が叫ばれる現代、ビジネスにおける仕事の実績や目標達成そのものを管理するのではなく、モチベーションやキャリア観など従業員一人ひとりと向き合い、その成長を促すことにより成果アップを目指す「ピープルマネジメント」が注目されています。

営業部門においても、一昔前の「売上(数字)至上主義」から脱却し、ピープルマネジメント、つまり個を見る部下育成でチームの成果につなげることを模索する組織が増えてきています。しかし、昭和~平成時代のマネジメントで鍛えられてきた現代のマネージャーにとって、令和流へのシフトは容易ではありません。

そこで今回は、弊社の営業部門を統括するマネージャーが実践する、"個を見る"部下育成で成果を出す3つの手法をお伝えします。多様な価値観を持つイマドキ世代の部下たちをどのように導けば売上目標を達成することができるのか、参考にしていただければ幸いです。

トップ営業だった人がやりがちな「間違いだらけの部下育成」とは

トップ営業だった人がマネージャーになるとよくありがちなのが、「自分の営業スタイルを伝承すれば必ず業績が上がる」と思い込み、メンバーに押し付けてしまうことです。一昔前なら部下たちも納得してついてきたかもしれませんが、多様な価値観が尊重される時代に育った部下たちに対してはあまり効果的ではありません。「営業とはこうあるべきだ」と決めつけず、メンバーの得意・不得意を見極めて個性を活かした形の育成をすることが、現代の営業マネージャーに求められています。

「今月あともうちょっとで予達だから、メンバーにもっと頑張ってもらいたい......」という思うことも、マネージャーにはあるでしょう。しかし、"数字"だけを見て指示を出してもメンバーには響きません。"部下"のことをしっかりと見て、今頑張ることはメンバーにとってどんなメリットがあるのかをしっかり説明できれば、信頼や納得感を持って仕事に取り組んでもらえます。

<手法その1>メンバー一人ひとりをよく「観察」する

メンバーを知るためによく取られる手法が1対1の個別面談です。得意なことは何か、何が成長のボトルネックになっているのか、さらに一人ひとりが大事にしている価値観やキャリアアンカーなどについても、定期的な対話を通じて確認していきます。

しかし、注意しなければならないのは、本音では「できない」と思っても、上司の前ではつい「できます」と言ってしまう人がいることです。また、自分では得意だと言っていても成果につながっていなかったり、逆に苦手だと言っていたのに周りから見ると上手くいっていたりするなど、本人が自分の特性に気づいていない可能性もあります。
そこで、日常の行動や話すときの仕草などを観察して、面談での発言がどこまで実態の伴うものなのか判断したうえで、メンバーの本当の得意・不得意を見極めることを、面談と並行して行う必要があります。

<手法その2>同じ業務でもメンバーによって声のかけ方を変える

いつの時代においても、営業は自分やチームの予算目標を達成することが必至です。そのためにやらなくてはならない業務として、テレアポ、提案書の作成、在庫管理システムの入力、など様々ありますが、イマドキ世代のメンバーに対して「とにかく明日までに●●やっておいて!」と指示するだけでは不十分です。仕事にも合理性を求める傾向が強いため、なぜ今この業務をやらなくてはならないのか、その目的や意味を十分納得させなくてはなりません。一昔前なら「あともうひと頑張りで予達できる」という共通の目標で奮起を促すことができましたが、現代ではもっと一人ひとりのメリットに直結した声がけが必要です。

例えば、本人のワークライフバランスが現状"ライフ寄り"であるメンバーには、「この仕事を早くこなせるようになれば、その分早く帰って家族との時間も大切にできるよ」などという風に、プライベートを充実させるという側面から伝えてみます。逆に出世願望が強いメンバーには「これができれば出世できるんじゃない?」とストレートに言うのが最も効果的です。どうしたら部下の心に響くのか、やってもらいたい仕事は同じでもメンバーの価値観やキャリアアンカーに合わせて声のかけ方を変えてモチベートしていくことが、ピープルマネジメントの時代におけるマネージャーの大事な仕事です。

<手法その3>成長のための「壁」をプロデュースする

一昔前は「量は質を凌駕する」という信念のもと、部下の仕事の量を増やして成長を促すマネージャーも多かったと思います。しかし、ワークライフバランスの浸透や働き方改革推進の機運により、今は残業を前提とした差配は難しくなっています。
そこで有効となるのが、成長のための「壁」のバリエーションを増やすことです。担当業務や顧客を固定せず、定期的に変更して様々な経験をしてもらうことで、多角的に視野を広げて気づきを増やすことが、成長の最短ルートとなります。そこでマネージャーには、「メンバーにとっての壁(経験)を、自分の権限の中でプロデュースする」という視点が求められます。

例えば、「新規開拓」「テレアポ推進」などの担当をいつも同じメンバーに振っているとしたら、別のメンバーにもあたらせてみましょう。向き不向きはあるでしょうが、定期的に担当変更を行い「壁」を与え続けることで、成長機会を増やします。
また、お客さまを熟知しているマネージャーが、若手にいろいろなタイプのお客さまを意図的に担当させるようにします。人柄重視の方、理詰めの方、いわゆる"根回し"を期待している方、広く情報収集をしたい方など、様々なタイプを「壁」として対峙させることで成長を促す、これもイマドキ世代の育成には効果的です。

断られても懲りずに「また来ちゃいました」と言える営業の強み

コロナ禍を経て、若い人のリモート営業のスキルは確実に上がりました。事前に用意したアジェンダを画面共有して効率よく説明するのは大得意です。その一方で、お客さまの理解のスピードに合わせて臨機応変に対応したり、深い課題を突っ込んで聞き出したりするコツは、上手くつかめていないかもしれません。一度関係性ができてしまえば対面でもリモートでも臆せず話せるようになるものですが、イマドキ世代はお客さまとの関係性が深まる前にあきらめてしまうことも多いようです。

昔の営業は「断られてからが勝負!」と粘ったものですが、今は一度断られると「わかりました」と素直に受け取ってしまう。断られても懲りずに「また来ちゃいました~」と言える営業を、実は気に入っているというお客さまも多く、これは大変もったいないことです。

イマドキ世代を「お客さまからかわいがられる営業」に育てる

お客さまとの関係性づくりが上手になる近道は、経験するコミュニケーションの「質」を変えてみることです。例えば、ちょっと昔気質だけど、営業のことを気にかけ構ってくれるタイプの方をイマドキ世代に担当してもらいます。若い人にとってこういうタイプは最初苦手に感じるかもしれませんが、こちらが何を言ってもドンと構えていてくださる方だと分かれば、安心して心を開き、一歩踏み込んだ関係性を築くことができます。その中で、会話のキャッチボールがうまくできるコツもつかめるかもしれません。

この先営業スタイルがどんなにデジタル化されても、お客さまの存在ありきの営業にとって"人たらし"であることは最強のスキルです。チームの成果を最大限にするためには、お客さまからかわいがられ、課題や悩みに寄り添える営業を一人でも多く育てることが大切です。

チームとして安定した成果を出し続けるためには、ベテランに既存顧客や大型案件を任せることが必然と考えるマネージャーも多いでしょう。しかし、メンバー一人ひとりの成長機会の創出を第一に考えるなら、若手にあえてチャレンジングな案件を任せ、ベテランに若手のフォローや新規案件の獲得をさせることも戦略的に行う必要があります。

これまでの画一的なスタイルに捉われず、ピープルマネジメントで一人ひとりの課題にマッチした育成方針を個別に考えていくことが、令和流の営業マネジメントの「要」となります。

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