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vol.53

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マテリアルズ・インフォマティクスとは?データ分析で開発を推進させる手法をご紹介!

今回のテーマは「マテリアルズ・インフォマティクス」です。

(約5分で読めます)

~~~~~~~~~目次~~~~~~~~~
1、マテリアルズ・インフォマティクスとはなにか?
2、マテリアルズ・インフォマティクスの企業事例3選をご紹介!
3、マテリアルズ・インフォマティクスの進め方
4、おわりに
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1. マテリアルズ・インフォマティクスとはなにか?

■マテリアルズ・インフォマティクスとは
膨大なデータを解析し、適切な材料選定や品質管理を行う取り組みのことを言います。
従来の、仮説をもとに開発を進めていく手法では、
長期間かつ高額の費用がかかってしまうことが課題でした。
上記の課題を解決するためにデータ分析を開発に活かす手法として、
マテリアルズ・インフォマティクスが生まれました。

■マテリアルズ・インフォマティクスを行うメリット
(1)開発時間の削減
仮説を立てる必要がなく、誤った仮説を立てて時間を無駄にする可能性を減らせます。
そのため、少ない作業時間で開発が可能になります。
(2)費用・コストの削減
(1)と同様に、仮説の検証にかかる研究の材料費や機械稼働費などのコストも、減らすことができます。
加えて、人件費も減らせます。
(3) 競争優位に立つことができる
(1)、(2)より、早く安く開発を行えるようになるため、同業他社よりも優位に立つことができます。
上記のメリットに注目が集まるようになり、
現在は、徐々にマテリアルズ・インフォマティクスを導入する企業が増えています。


2. マテリアルズ・インフォマティクスの企業事例3選をご紹介!

■総合化学メーカー(従業員数:約19,000人・連結)
■総合化学メーカー(従業員数:約10,000人・連結)
■タイヤ・ゴム業界(従業員数:約28,000人・連結)


■総合化学メーカー(従業員数:約19,000人・連結)
過去の有機材料の材料開発データを用いて、
従来の技術と比べ、高性能な新材料の開発に必要な実験の試行回数を
4分の1に削減できることを確認しました。

■総合化学メーカー(従業員数:約10,000人・連結)
半導体材料において目標性能を満たす新素材探索の精度が約50%向上することに加え、
新素材探索に必要な実験時間が30~50%短縮すると確認ができました。

■タイヤ・ゴム業界(従業員数:約28,000人・連結)
この企業様では、AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自に開発し、
タイヤ用ゴムの配合設計において実用化を開始しました。
この予測システムにより膨大な仮想実験が可能となりました。
結果として、開発のスピードアップやコスト削減、高性能な商品の開発に加え、
経験の浅い技術者による配合設計が容易になりました。

出典:日本化学会 第102春季年会(2022)内シンポジウム
「デジタルトランスフォーメーションがもたらす化学・材料領域のイノベーション」
https://www.jst.go.jp/crds/sympo/20220325/(最終アクセス:2023/04/13)

1、2社目の企業様は、まだ取り組みの途中でしたが、
時間の削減や精度の向上が可能になることが明らかになりました。
3社目の企業様では、実際にマテリアルズ・インフォマティクスを導入し、
成果も挙げていることが分かります。


3. マテリアルズ・インフォマティクスの進め方

2章でご紹介した事例のように、
マテリアルズ・インフォマティクスを推進している企業様もございますが、
「思うように推進できていない...」というお話もよく伺います。
そこで今回は、マテリアルズ・インフォマティクスを推進する7つの手順もご紹介します。

①プログラミング言語の知識をつけ、選定する
②①で選んだプログラミング言語の基本知識を理解する
③データ分析を学習する
④AIを学習する
⑤新しく開発したいものを明確にする
⑥必要なデータをそろえて分析する
⑦分析したデータを開発に役立てる

①プログラミング言語の知識をつけ、プログラミング言語を選定する
データ分析やAI開発を行う場合は、専用のツールを活用する方法もございますが、
ツールを使用するための費用が必要な点や応用が利く点から、
弊社ではプログラミング言語を使用し、データ分析やAI開発を行っています。
プログラミング言語は多くの種類がありますが、
その中でもPython、R言語、Juliaなどがデータ分析やAI開発に向いています。

②①で選んだプログラミング言語の基本知識を理解する
データ分析・AI開発を行うためには、
選定した言語の基本文法を習得することが必要です。
以下の研修はPythonの基礎を1日かけてゆっくりと学べますので、
プログラミング未経験の方に特におすすめです。
・Python学院~基本文法編/プログラミング未経験から業務への活用方法を学ぶ(1日間)
https://www.insource.co.jp/bup/bup_python_programming_basic.html
③データ分析を学習する
データ分析を行う手順や方法などを学習します。
また、取得したデータから考察や結論を出すためには、
データの見方なども理解しておく必要があります。
・Python学院~データ分析編/統計の基礎とPandasライブラリの活用(1日間)
https://www.insource.co.jp/bup/python_business_data_analysis.html
・ビジネスデータの分析研修~既存データの活用に向けてデータを加工する編
https://www.insource.co.jp/bup/bup_business_analysis.html
④AIを学習する
AIの種類や開発手法を学習します。
AI開発が可能になれば、マテリアルズ・インフォマティクスの、
「どのような材料をどのように加工すれば良いか」
といった考え方も身につけることができます。
・Python学院~AI・機械学習入門編/機械学習の基礎を学び分析モデルを作成する(2日間)
https://www.insource.co.jp/bup/bup-python-deep-learning-3days.html
⑤新しく開発したいものを明確にする
AIへの理解を深めたら、実際にマテリアルズ・インフォマティクスを導入します。
まず、新たに開発したいものを明確にすることで、
どのようなデータや分析が必要かを明らかにします。
⑥必要なデータをそろえて分析する
どのようなデータが必要かを考え、データを収集します。
収集したデータは、③で学んだことを活かし、加工などを行います。
その後、プログラムを作成し分析します。

⑦分析したデータを開発に役立てる
⑥で分析した結果をもとに、考察を行ったり結論を導き出したりします。
さらに状況に応じて、プログラムに予測を立ててもらいます。

上記の①~⑦の順番でマテリアルズ・インフォマティクスを導入していきます。

4. おわりに

今回は、「マテリアルズ・インフォマティクス」についてお伝えしました。
次回は、Pythonを使った画像処理についてご紹介します。
私も学習したことがありますが、思ったよりも簡単にでき驚きました。
方法などもご紹介しますので、次回もぜひご覧ください。

今回も画像生成AIに、ある言葉を入れて以下の画像を作成しました!
解答は、この記事の右下に記載しております。


本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
それでは、次回もお楽しみに!

A. オリーブ(olive)


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