クレーム対応

あなたの判断、ほんとに会社の判断?クレーム対応テクニック「判断力」(後編)

目次

あなたの判断、ほんとに会社の判断?

クレーム対応テクニック「判断力」前編「「急いで交換して!」...優先すべきは本当にスピード?」では、複数の対応策・選択肢の良し悪しを評価(=判断)するための「ものさし」となる、「判断軸」についてお話しました。その「判断軸」を使ってクレーム対応を成功させるために、注意しなければならないことがあります。

あなたの判断、それ本当に正しい?
~適切な判断をゆがめる心理的要素

適切な判断を行うにあたっては、人の判断をゆがめる心理的要素があることを認識し、極力排除しなければなりません。以下に代表的な例を示します。

・二分割思考~白黒をはっきりつけ、どちらかに決め付けてしまう
(例)「○○に決まっている」「そんなのムリに決まっている」

・完全主義思考~100点でなければ、0点と同じという考えのため、落としどころを見つけられない。
(例)「この値段でないと購入できない」

・自動思考~自分勝手な思い込みが悪循環を引き起こす
(例)「あの人はクレーマーに違いない」という思い込みが態度に表れる

・スキーマ~決まった思考パターンで、思考のショートカットを行う
(例)「この○○は他でもやっているので、大丈夫」など、前例主義の典型的思考パターン

・属人主義~誰が発言したかという情報が判断に影響を与える
(例)「○○課長がこう言っているから間違いない」

組織が掲げる理念・方針に基づいたものさしを活用する

クレーム対応には、その組織のお客さまに対する姿勢が如実に現れます。どのような判断軸を重視して対応するのかは、その組織が掲げる理念や方針とも関連しており、また、同じ組織内の人によって対応にばらつきがないことが望ましいといえます。

▼【例】オーダーメイドを承る洋品店にて

「(怒りと焦りを見せつつ)娘用の特注ドレスが、メーカー側のミスで発送が間に合わないって......、
発表会はあさってなんです。いったい、どうしてくれるっていうんです? 当然、全額返金してくれるんですよね?」

【組織例1】組織が掲げる理念が「お子さまの成長の記録をオーダードレスで忘れられないものに」である場合
上記のような企業理念を掲げている企業であれば、お子さまの成長の節目にドレスが間に合わないことは絶対にあってはならないことです。それを踏まえた上で考えられる判断軸を考えてみましょう。

「満足度」
・お子さまのイベントに間に合うことが第一
・万一のことが起こった場合、お子さまとご家族の思いを最重要課題として最高レベルを目指す

「コストとリスク」
・確認作業、代替案などを手厚く考える
・企業としてのダメージを最小限に抑えつつ、可能な限りの返品・返金に応じる

「客観性」
・確認作業、代替案などを手厚く考える
・お客さまの思い出を残すことを「業界一考える組織」として対応する

【組織例2】組織が掲げる理念が「お子さまのオーダードレスをできるだけ安いものに」である場合
上記のような企業理念を掲げている企業であれば、お子さまのドレスを安価なものにすることが組織として第一優先の目標です。それを踏まえた上での判断軸を考えてみましょう。

「満足度」
・安価なドレスの在庫を数多く持ち、希望のドレスが手に入らない場合でも選択肢を広げる

「コストとリスク」
・商品交換には応じるが、今後同様のことが発生した際のために、納期などやむを得ないと判断した場合の返金はできない旨を契約書に明記しておく

「客観性」
・安さ第一。法律・条例をギリギリクリアしたレベルで対応する

上の2つの企業の例のように、組織が掲げる理念・方針によっても判断軸のトレードオフの関係(一方を優先させると他方が犠牲になる)は変わってきます。

その業界でどんな理念や方針を掲げているかが明らかであるほど、判断軸がぶれることはありません。明確な判断軸を組織内の人間が共有することでクレームが宝になり、転じてファンを増やしたりご紹介を頂く場合もあります。もっとも避けたいことは、担当者によって対応にばらつきがあること、担当者が変わったら対応が変わることです。判断をゆがめる思い込みを避け、クレーム会議などでその組織ならではの判断軸を共有することも重要です。

【合わせて読みたい】クレーム対応テクニック「判断力」前編「急いで交換して!」......優先すべきは本当にスピード?

次回更新【こんなとき、あなたならどうする】では、「判断軸」を使ったクレーム対応についてご紹介します。お楽しみに!

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