モンスタークレーマーから学ぶ管理者のリスクマネジメント

クレーム対応テクニック

「お客さまは神様」ではない?

お客さまである限り、定型通りのクレーム対応を真摯に行うことはもちろんのことですが、悪質なクレームだと感じた場合はこちらも毅然とした対応を心がけなければなりません。管理者である場合、不当な要求を突き付けられた従業員を守ることは、クレーム対応者の心を守り、やる気を保つために避けられません。では、組織にとって「お客さま」なのか、「招かれざる客」なのかを見極めるポイントはどこでしょうか。
大きく分けて下記2点があります。

1. 問題解決を目的としていない
2. こちらを困らせることを目的としている

上記2点は似ているようで異なります。

1.  問題解決はお互いの歩み寄りですが、そういった解決を望んでいない場合
2.  損失を与えようとしているとハッキリわかる場合

どちらかあてはまった時点で対応の仕方を考え、リスクと断定して行動しなければなりません。

悪質クレームに備える~部下を守るために管理者ができること

1. 組織には従業員を守る責任があると覚悟する

管理する立場の人は、労務管理上の責任はもちろんのこと、大事な資産である人材の毀損(きそん)を防ぐためにも、従業員の心のケアに細心の注意を払う必要があります。
毅然とした態度で従業員の名誉を守ることは従業員の組織への信頼度を深め、ES(従業員満足度)を高めます。

2. もうひとつの顧客対応マニュアルを作る

「ある一線を越えたお客さま」に対応するための顧客対応マニュアルを用意しましょう。
お客さまがどういう言動を取った場合に、会社として対応を切り替えるのか、具体的にどんな回答をし、行動を取ればよいのかを事前に考えておきます。それぞれの業種の特性を踏まえてきちんと文書化し、手順化しておくことが、いざという時に迷いなく行動することにつながります。ロールプレイなどで実際に手や口を動かしてみることも非常に有効です。クレーム対応の基本は事前準備です。

3. 事例共有を通じた免疫力の向上

マニュアルを整備すると同時に、実際に「招かざるお客さま」との間で起きたクレームの内容を、従業員が共有することも重要です。お客さまから言われた暴言を打ちあけ合ったり、互いにフォローするといった事例共有を通じて、同じ仲間と苦労を分かち合うことはストレスケアになります。
クレームの疑似体験は、未経験者にとって類似ケースに遭遇した時の応対シミュレーションができると同時に、精神的な免疫力を付けておくことができます。

4. エスカレーションフローの体制を作る

最初は丁寧だったお客さまが、途中からモンスタークレーマーだとわかる場合もあります。どんな状態になったら担当者を代えるのか、一定の対応時間を決めるなど、エスカレーションの仕組みも考えておきましょう。

5. 悪意のある要求・不当な要求の場合は、法的措置に出る

クレームの内容が悪質で、会社側に実害を及ぼすレベルであれば、法的な手段を取ることが必要です。
法律を味方につけ毅然とした対応ができるように、予想できる悪質クレームについて準備しておきましょう。

「モラルハラスメント」型クレームに遭遇したら~管理者として対応するテクニック

※あくまで、モラハラタイプのお客さまであることが疑われる際の応対テクニックです。
通常のお客さまには、真摯な態度で適切な応対をしてください。

①相手の言葉をオウム返しする
相 手: 「おたくの○○という従業員、待たせておいて呼びにも来ないんだぞ。
      一体客をなんだと思ってるんだ?」
あなた: 「〇〇が、お待たせしていて、お呼びする時もお声をかけなかった、ということでしょうか?」
相 手: 「・・・そ、そうだよ」

「大変申し訳ございません!」と当然返って来るだろうと思っていたところに、確認のオウム返しをされると、相手は不意を突かれた気持ちになり、怒りを爆発させるタイミングを失ってしまいます。
事実確認のためにも復唱は有効です。

②質問には質問で返す
相 手: 「そんな回答で納得できるわけないだろ。
      あの従業員にどう責任を取らせるつもりなのかはっきり聞かせてくれ!」
あなた: 「では、お客さまはどのように責任を取れとお考えなのでしょうか?」

ここで不用意に「土下座させろ」とか「辞めさせろ」などと口走れば、強要罪にもなりかねないため、相手は慎重になります。「そんなことはあんたらが決めることだろ」と返ってくれば、「それでは、責任者である私からの謝罪をもってお許し願います」と終わらせます。

③貸しを作るような言い方には過剰反応しない
相 手: 「今回は至らない一従業員の問題ということで目をつぶってやるが、今度同じようなことがあったら、今回のようには済まないからな」
あなた: 「はい。本日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
相 手: 「……」

「モンスター」以外のお客さまからのクレームは「宝」

今の時代、管理者が中心となって「モンスタークレーマー」の対応の事前準備をすることは組織にとって避けられません。ただ、「モンスタークレーマー」は本当に一部です。それ以外のお客さまが口にするクレームは、企業が喉から手が出るほど欲しい「宝」と言われています。

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