管理職

【管理のツボ公開(Ⅳ.リスク管理編)】リスク管理のツボ~リスクは必ず表面化する

全4回シリーズで管理のツボについて綴ります。今回は「Ⅳ.リスク管理編」です。


是非、【管理のツボ公開(Ⅰ.自己採点編)】からお読みください。

目次

リスク管理のツボ

皆さんは、Ⅰ.自己採点編の問い「リスク管理(リスクの発生防止)を効果的に行うための要件を2つ挙げて下さい」にスムーズに答えることができましたか。

答えは、

①会社やチームに起こり得る悪影響(リスク)が何かを認識できる
②認識したリスクについて、OMSを使って、その軽減策を策定・展開できる

多くの方が「悪いことは起きない、起きるはずがない」、「問題があっても、大事に至らない」と考えています。リスクに対して日本人は総じて楽観的です。「戦後教育が危機やリスクに対して正面から向き合うことを避けて来たからだ」と指摘する人もいます。

会社の研修体系からもこの点が垣間見えます。新任管理者研修において「管理者の心得」、「労働基準法」、「人事評価の方法」は必須科目です。しかし、「リスク管理」を必須科目としている会社はほとんどありません。

会社活動とは、リスクをしっかりと管理して、収益の最大化を目指すものと言われます。会社は、攻めにも強く守りにも強い管理者を養成する必要があります。

リスクを認識する

リスク管理においては、上記①が示すとおり、リスクを認識できなければ、リスク管理は一歩も前に進みません。対処方法として、下記のものなどが挙げられます。


  • 年1回、「当社を取り巻くリスクとは何か」を全員で議論し、リスクをリストアップする


  • 日頃の業務活動においてヒヤリとすること、ハッとすることを記録し、リスク担当者への報告を制度化する


  • 定期的にお客様センターに入る苦情を分析し、リスクを浮き彫りにする

重ねてになりますが、重要なことは、リスクが何かを認識し特定できなければ、リスク管理は一歩も前に進まない、ということです。リスクを洗い出したあと、その発生可能性や想定損害の大きさに照らして、管理すべきリスクを選定します。そして、上記の②にあるように、リスク軽減策を策定し展開します。

この策定・展開に活用される手法がOMS(オペレーションズ マネジメントシステム)です。

OMSを使った具体例

OMSを具体的に言うと、「リスク軽減のためのルール化→教育→実施→点検」の展開です。

例えば、品質不良ゼロを実現するために、サンプルチェックから全数チェックへとチェック体制を変更するとします。この変更が、リスク軽減のためのルール化にあたります。この新ルールに基づく詳細手続きを関係者全員に教育し、実施してもらいます。そして、折に触れて、手続きがルール通り実施されているかどうかを点検し、問題があれば、ルールや教育の見直しを実施します。

これがOMSです。OMSとはリスク軽減のための定番ツールです。リスク管理と言えば、「OMS」と反応できることが大切です。

リスク管理は、併せて、業務の効率化を促進します。以下は、ある会社の顧客注文受付センターでの出来事です。

このセンターでは、ある時を境に、お客様からのクレームが多発するようになりました。「今回も遅配だ。これでは当社の業務に支障を来す」と多くのお客様がお怒りです。この原因は、商品の注文急増に適切に対応できなかったことにあります。

以上の問題を受けて、会社は、早速、同センターに"顧客注文管理システム"を導入しました。リスク管理の手法に則って、誰が何をチェックするのか、問題が発生したとき、どのように対処するのかをルール化し、このための研修を実施し、新システムに移行しました。定期的に業務が正しく行われているかをチェックし、是正した結果、お客様からのクレームを見事に皆無にすることができました。

実は、新システムの導入効果はこれだけではなかったのです。

同センターの係員が忙しさから開放された結果、残業時間は皆無となり、係員の定着率も大幅に向上しました。新人の採用・教育負担も軽減し、その上、センター人員を2割削減することにも成功したのです。

リスク管理が疎かになると、リスクが表面化し、その修復に多大な時間とコストが掛かります。社員も疲弊します。一方、リスク管理がしっかりしていると、業務が効率化し、社員が前向きな仕事に専念できます。リスク管理とは、会社に活気をもたらす重要ツールでもあるわけです。

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