2025年6月20日
内閣府の令和6年度年次経済財政白書によると、上記2022年のデータから現在わが国では失業のリスクは低い一方、失業した場合には状態が長期化しやすい構造にあるとしている。
人手不足感が拡大する中、限られた労働力を就業に結び付けること、すなわち労働移動によって効率的な資源配分を実現することが重要であり、円滑な労働移動を実現するようなマッチング・メカニズムが機能する必要がある。
失業中の労働者が求人に対して応募しても、職種、業種、経験や技能等の違いから、企業側のニーズと労働者側のニーズが合わないこと(ミスマッチ要因)、また転職や職探しのプロセスには一定の時間を要すること(摩擦的要因)等から、欠員と失業とが同時に生じている。
例えば、マッチング効率性の水準をアメリカ・ドイツ・日本で比較すると、アメリカが最も高く、次いでドイツ、日本の順となっている。失業者と同数の求人がある場合、アメリカでは1か月の間に失業者の8割程度が新規雇用に結びついているのに対し、日本は3割強に過ぎず、失業状態から新たな就業への労働移動の円滑度に差がある様子がうかがえる。
2015年以前からみても、各国のマッチング効率性はほとんど変化しておらず、日本は恒常的に低い水準に位置している。
労働市場における需給ミスマッチの主な発生要因は都市部における職種間ミスマッチであることが指摘されている。コロナ禍の2022年度には若干低下したものの、我が国のミスマッチ率は11%を上回る高い水準にある。これは、新規雇用の11%以上が労働市場のミスマッチによって失われていることを示唆しており、ミスマッチ解消による効率的な資源配分の重要性を物語っている。
ミスマッチ率を、職種間での求人と求職に差異があることで生じている「職種間要因」と、都道府県をまたいだ労働の移動や求人と求職の調整が困難なことで生じている「都道府県間要因」をみると、コロナ禍の2020年を境にそれまで職種間要因が約7%前後と大きかったのが減少し、2022年では都道府県間要因が約7%と大きくなって逆転している。
職種間ミスマッチ率の水準は、大都市圏において高い。抜きん出て高いのは東京圏であるが、政令市のある地域の多くで全国平均を上回った水準であり、職種間ミスマッチの程度には人口規模が影響している可能性が示唆される。 結果、都市部を中心に事務や販売職は供給過剰、その他職種は広く供給過少となっている。
労働移動は同一職種内がほとんどであり、職種をまたぐ移動には課題がある。労働需給のミスマッチとの関係でみると、事務や販売など労働力の供給過剰である職種から、建設・生産・輸送など供給が過少である職種への移動は、相対的に行われにくいのが実態である。
しかし、労働市場の活性化のためには、ミスマッチを改善し過剰供給となっている職種から、過少供給となっている職種へと、職種をまたいだ労働移動を円滑化することが重要である。今後はさらに、職業訓練や教育訓練などに関する各種給付制度を通じたリ・スキリングによる能力向上支援・AI等による省力化投資などが、最も重要な取組になる。
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