
クレームは決してなくなりません。これはあらゆる業界を通じて共通しています。
日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情を理解し、冷静に対応すれば、必要以上にあわてる必要のないものです。
それどころか、しっかりしたクレームの「作法」を身につければ、クレームを自分の味方にすることもできます。
クレームの種類には、対面や電話のほかに、手紙やファクスなどの文書によるクレームもあります。
文書によるクレームは、その内容が文字として書かれているので、お客さまの主張が汲み取りやすいという特徴があります。
しかし、文面からお客さまのお怒りの原因とお怒りの大きさを正しくつかむことは難しいものです。
最初の「読み取り」が甘いと、そのあとの「解決策」や「代替案」が的外れになってしまい、クレーム対応どころか、お客さまのお怒りを増大させる原因にもなります。
そのため、文書によるクレームがきた場合には、一度、お客さまのところに直接お電話を入れたり、訪問したりして、クレームを出された心情や内容の確認を行ってから対応するのが基本です。
上記のような対応をしてもなお、お客さまから「書面で回答してほしい」という強いご要望があるときや、クレームがメールで寄せられて、お客さまのご連絡先が分からないときには、やはり書面で回答する必要があります。
文書の場合、対面や電話でのクレーム対応と違い、即座に応対する必要がないため、同僚や上司、時にはほかの部署などの関係者と十分協議して内容を決めることができます。
文書の形式や文字の間違いなどがないよう推こうを重ねて、準備万端に整えて対応しましょう。
ただし、内容や文書が稚拙でクレームが激化することも非常に多いので、くれぐれも自分の判断だけで作成して、お客さまに送付してしまうことだけは謹んでください。
クレームメールには、接客能力だけでは対応できない文書読解力やビジネス文書作成能力が要求されます。すなわち、対面や電話でのクレーム対応とは別の特有なスキルが求められます。
メールでの対応ポイントは次の4つです。
トラブル発生後、何日も音沙汰なしでは、お客さまの不満は倍増していきます。お客さまから寄せられたクレームに対して迅速に対応している、という態度を示すことが大切です。
とくにメールでは、お客さまが要求する対応速度が速いため、遅くとも24時間以内に、できれば数時間以内に、第一レスポンスを返すのが望ましいでしょう。
クレームメールが埋もれてしまうと、さらなるクレーム・トラブルを招きます。組織対応も含め、クレームメールの対応もれがないかを確認することが必要です。
お客さまからのクレームに対してすぐに解決策を提示できない場合でも、まずは、「承りました。回答は後日させていただきます」というようなメールを1本、必ず返すようにしましょう。
それだけでも、お客さまはメール(苦情)が相手に届いていることがわかるので、とても安心されます。
その際に、返信期限の目安も連絡できるとなお親切です。メールは常にチェックしている人もいれば、1日に数回という人もいます。あるいは出張などで見られない場合もあるかもしれません。
ですから余裕をもって送るべきです。相手の利用頻度を踏まえた対応を心がけ、緊急時には電話でも連絡を行います。
メールでクレームが寄せられる場合、面と向かってはおっしゃらないような激しい文章を書いてくるお客さまがいらっしゃいます。文字だけで読むと、口頭や対面のときよりも内容が厳しく伝わることがあります。
そういうときは「大変お困りになられたんだな」ととらえて、ひと呼吸置いて返信をしましょう。万一、ムッとしてしまったら、すぐに返信せず、しばらく時間を置いて気分を落ち着かせてからお電話を入れます。
激しい文章を書いていらっしゃるお客さまでも、実際にお電話を差し上げてみると、とても穏やかな方であったりします。
メールでのクレーム対応も、対面の場合と原則は同じです。その点を理解していないと、クレームは拡大してしまいます。
クレームを激化させてしまう人のパターンとして、次の3つが挙げられます。
① 相手への感謝の念がない
「いつもご利用いただきまして、ありがとうございます」など、お客さまへの感謝の念を示す挨拶なしに、いきなり説明から入ってしまう。
② 相手の困っている事実がつかめていない
対面のときと同様、相手が何に困っているかを理解する(していることを示す)ことができていない。
③ 相手の期待を超えていない
「申し訳ございません」の一言もなく、自社の事情やできない理由ばかりを書き連ねるなど、誠意を尽くしていることが感じられない、もしくは調査し尽くしていないことがうかがえる文章になっている。
メールでの文章は、冷たかったり、ともすれば激しく怒っていたりするように感じられるものです。対面やお電話の場合より、感謝や誠意の気持ちも伝わりにくくなります。
メールでクレーム対応をする場合には、お客さまの心情を理解していることや、こちらの誠意が伝わるように言葉を尽くしているかどうかを確認しましょう。
少し過剰と思われるぐらいでちょうどいいのです。もちろんお客さまに、事実は事実として確実に伝える必要があります。
事実については、次のように、合理的・客観的に表現し、個人の解釈が入らないような表現にします。
メールを出す前に、自分の書いた文章で本当に読み手が誤解しないかどうか、上司などにチェックしてもらうことを心がけます。
1回ぐらいは声に出して読む努力をしてみましょう。声に出して、自分で聞いてみて、一方的な話になっていないか、こちらの主張が強すぎないか、責任を回避するような文章になっていないかをチェックします。
また、書いた文章を印刷して自分で文面を読み、さらに「このお客さまに、この文面を送るのでチェックしてほしい」と上司などにダブルチェックをお願いするのも手です。
きちんとしたチェックをすれば、対応を間違える確率は下がります。当然、書面で出すことを重く受け止めなければなりません。
安易に出さずに、法務担当部署で書面・内容のチェックを受けてから出すようにしましょう。裁判の証拠にもなる書類です。
メールを書く場合に大切なことは、「必要な情報が正確に伝達されること」です。メールの場合も、対面時の対応と同じ手順で書きます。
次の4つの手順です。
必要十分な検証を加え、トラブルに至った事実関係と、当方の落ち度や責任の所在を把握します。
その上で謝罪すべき点について、ことの経緯を含めて、はっきりとお詫びします。
さらに、二度と同じミスを犯さないため、社内体制の整備やチェック体制など、今後の対処方法や再発防止策を盛り込みます。
メールアドレスを間違えないよう複数回チェックすることはもちろん、CcとBccの使い方を誤らないようにしましょう。
Cc:メールのコピーをCc欄に入れた先の人に送ることができます。
Toの受信者がCcで送られた人のアドレスを見ることができるため、個人情報の取り扱いに注意します。
Bcc:Ccと同様にメールのコピーを送ることができます。
受信者には、コピーを送った相手のアドレスが見えないので、上司に回覧するときなどに使用するとよいでしょう。
件名については、日時(曜日まで書く)や用件などを20~30字で具体的に書きましょう。
例えば、「○○についてのお詫びの件」「××についてのご報告」といった感じです。
お客さまのお名前、お客さまが会社の場合には社名、所属、役職、氏名を省略せずに書きます。
社名は前株か後株かに注意しましょう。
(株)(有)などの省略記号は失礼にあたるため、使わないようにします。
お名前の漢字間違いを絶対にしないようにしましょう!
仕事上のミスで取引先やお客さまにご迷惑をおかけした場合、ミスを犯した担当者は、こちらの誠意を示し、相手先との関係悪化を最小限に抑えるために、「お詫び状」を出します。 そのトラブルに対して相手先は強い不快感や不信感をもっているわけですから、お詫び状の書き方には細心の注意を払う必要があります。
書面で出すことを重く受け止め、間違った書き方をしてしまった場合、さらに大きなトラブルに発展してしまうおそれがあることを、しっかりと肝に銘じておきましょう。
お詫び状を書くときの重要なポイントは下記の5つです。
① ポイント1 『すぐに』
クレーム発生後は迅速に対応することが必要です。
お詫び状は正式な文書であるという特性があるため、常識的に2日以内に送付するのが望ましいでしょう。
組織内の連絡体制や意思決定システムを普段から整備しておくことも必要です。
② ポイント2 『しかるべき立場の人が』
お詫び状を実際に書くのは、ミスを犯した担当者の仕事です。
ただし、お詫び状は組織を代表して相手先に謝罪の意を表するもの。謝罪の差出人としては、しかるべき立場にある責任者の氏名を記さなければなりません。
自分が責任者である場合は、自分の氏名を記します。
③ ポイント3 『先方のしかるべき立場の人に』
お詫び状は、組織を代表してお客さまや相手先の組織へ誠意を示すという意味をもっています。
宛名は、お客さまや相手先のしかるべき立場にある人の氏名を記します。
④ ポイント4 『こちらの落ち度をきちんと認め』
必要十分な検証を加え、トラブルに至った事実関係と、当方の落ち度や責任の所在を把握します。
そのうえで、謝罪するべき点について、ことの経緯を含めてはっきりとお詫びします。
誰がどのようなミスをしたか、具体的な事実経過を書きます。
この部分であいまいな書き方をしてしまうと、受け取った側も納得できませんので、気をつけましょう。ただし、くどくどと言い訳がましい書き方をしてはいけません。
冷静に事実関係を見つめ、ミスの原因を把握しているという態度を示すことが必要です。
⑤ ポイント5 『再発防止の具体策を入れる』
二度と同じミスを犯さないため、今後の対処方法や再発防止策を盛り込みます。
社内体制の整備やチェック体制など、現時点で固まっている対応策を具体的に書きます。
日付は右上、宛て名(左上)は差出人(右上)より少し大きめに書きます。
お詫びの件名は、本文より大きい字ではっきりと「○○のお詫び」と書きます。
さまざまな人に回覧されることも想定し、本件に関係ない人にも内容が一目でわかるような表題にします。内容については、原因等事実経過について述べるとともに、今後の予定を必ず明記するようにしましょう。
(お詫び状の文例)
「△△」納期遅延のお詫び
謹啓 貴社ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。日ごろはひとかたならぬお引き立てにあずかり、深く感謝申し上げます。
さて、貴社よりご注文いただきました「△△」につきましては、製造の最終工程において急遽不具合が生じ、ご指定の納期○月○日に間に合わせることができませんでした。 貴社に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
このほどようやくシステム変更等の整備が整い、○月○日にお納めできる見通しでございます。
今後はこのような不手際のないよう、社内管理体制を抜本的に見直し、十分に注意してまいる所存でございます。
どうか今後とも変わらぬご愛顧のほどを、心よりお願い申し上げます。
謹白
何十通と簡単に複製でき、文例集から簡単につくることができる、文書作成ソフトで作成したお詫び状を好意的に受け取らない方もいます。
そのような場合は、手書きで一文字ずつ丁寧に書いたお詫び状で誠意を伝える方法もあります。
すばらしいクレーム対応に対するお礼のメール
クレームが転じてファンになった事例です。
この文例を参考にして、お客さまの感謝の意をくみ取り、このようないい返信メールを作成できるように心がけてください。
(1)お礼のメール
○○コンタクトレンズ 神田店長 様
私は、貴店でコンタクトレンズを購入しました池内と申します。
説明書の通り使用しているものの、初めてコンタクトを使用したせいか、着け心地が悪く、いつもゴロゴロとした感じがありました。
先日貴店に伺い、購入時の販売員である山下様にその旨お話したところ、山下様は「使用上の説明が足りなかった」と自分の非を認め、今度は丁寧に説明してくださいました。
また、その後貴店に伺う度に、「あ、こんにちは!いつもありがとうございます」と近寄ってきてくれ、「どうしましたか?」「いつでもお手伝い致します」と親身になって声を掛けてくれます。
私はすっかり山下様のファンになってしまいました。この事実を店長にも知ってもらいたくメールいたしました。
私の友人にも貴店を是非紹介したいと思っています。
以上、池内より
(2)お礼のメールへの回答例
当店へのご支援の件
池内様
平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
○○コンタクト・神田店長の河上と申します。
この度は弊社へご連絡いただきまして、誠にありがとうございます。
本来、弊社販売員の説明不足により、池内様には大変ご不便をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
しかしながら、このようなご厚情を承り、感激至極でございます。また、池内様のご友人を紹介していただけるとのこと、有難く存じます。本件、早速店内の社員一同へ知らせ、また本部へも報告し、社員一同の励みにしたいと思っております。
メールで恐縮でございますが、ご挨拶かたがた御礼申し上げます。
今後とも引き続き当店をお引き立ていただけますようお願い致します。
以下署名
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