事例で学ぶハードクレーム対応の心構え・注意点

事例で学ぶハードクレーム対応の心構え・注意点

あらゆる業界に共通していることですが、クレームが無くなることはありません。 日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情をしっかりと理解し冷静に対応すれば、必要以上に慌てることはないのです。

それどころかうまく対応できることで、クレームを自分の味方にすることも可能になります。 このページでは、ハードクレーム・困難クレームへの向き合い方や対応のコツをお伝えします。

1.「下っ端じゃ話にならない」と言われたら

次のように応対者が相手にしてもらえないときにはどうすべきでしょうか。

【ある自治体窓口でのケース】

書類上の手続きミスがあった場合など、窓口で住民の方から激しく苦情を言われたり、苦情のお電話を頂戴したりすることがあります。 女性の私が応対しようとすると、「職員が女じゃ話にならない。男を呼べ」「下っ端じゃダメだ。上司に代われ」などと言われることも少なくありません。

こうした場合には、相手に安心して話をしていただけるよう「責任をもって業務を担当しています」「上司より私のほうが実務に明るいので、詳しくお話できます」とお伝えするのですが、それでも話をしていただけないことがしばしばあり、困っています。

(1)熱意・プロ感を出して対応する

性別や年齢に関係なく、責任をもって仕事をしていることを伝えるのは大切です。 言葉にするだけでなく、態度・表情・口調などを総動員して、仕事に対する熱意やプロ感を前面に出す話し方を心がけましょう。 上記の事例では、この点が不十分かもしれません。鏡を見て話す、応対を録音して自分の声を聞いてみるなど、自身の応対をもう一度客観的に再確認しましょう。

(2)上位者に代わることも考え、メモを取る

明らかにこちらがミスをし、お客さまが強硬に上司に対応を代わるよう要求されやむを得ない場合は上位者に対応してもらいます。 電話でのクレームであれば、折り返し上司から電話をさせる旨を伝えたうえで、お客さまにクレームとなった事柄を詳細にお聞かせいただくように求めましょう。

後々「言った・言わない」の水かけ論にならないためにも、相手の話を復唱しながら、しっかりとメモを取ってください。上司には、そのメモを見せながら事情を説明して、折り返しお客さまに電話してもらいます。

対面応対の場合、いきなりメモを取り始めると失礼ですから、最初に「メモを取りながらお話をおうかがいしてもよろしいでしょうか」と許可を得ます。 そして、あとから読んでもわかるよう丁寧にメモを取り、きちんと話を聞いているという姿勢を相手に見せましょう。

お客さまに「この人はちゃんと自分の話を聞いてくれている」と感じてもらえれば、それだけで怒りをおさめられることもあります。 クレームの核心部分については、メモした文章をご覧いただき、お客さまと問題点を共有しましょう。

(3)メモを取るときの注意点

メモを取る場合の注意点は以下のとおりです。

  •  ・小さなことでも正確に記録する
  •  ・日時・原因を必ず聞く
  •  ・お客さまが答えやすいように質問は簡潔にする
  •  ・その場で感じたことも記録する
  •  ・お客さまの「生の言葉」も記録する
  •  ・メモを取ったらその日のうちに内容を整理しておく

2.一方的に激しい口調で怒られたら

次のように、お客さまから一方的に感情をぶつけられ話し合いができない場合にはどうすべきでしょうか。

【あるマンション管理会社でのケース】

当社で管理しているマンションの住人の方から、「自室の上階から毎晩遅い時間に足音がして眠れない」とのお電話がありました。 その方は、ご自分がどれだけ迷惑を被っているかを一方的にまくし立て、当社が派遣している管理人がいかに不誠実であるかにまで話が及び、全く話し合うことができませんでした。

(1)3分間、相手の話を真剣に聞く

お怒りやご不満が大きい場合、一方的に激しい口調でお怒りの言葉を発する方がいます。 こういう場合、お客さまは興奮して感情的になっている状態ですので、お客さまの心の内にあるものをすべて出し切っていただきます。 ひたすら話を聞くといっても、お怒りの言葉は普通、3分と続きません。3分間我慢してください。

途中でお客さまの言葉を遮ると、気分を害されてさらにお怒りが激しくなり、余計に長い時間、お話を聞くことになります。 お話をうかがう間は、決して否定的な言葉を使わないで、話の合間に肯定的なあいづちを打って共感を示し、話をしっかり聞き理解している姿勢を表します。

(2)お客さまに落ち着いてもらうのが先決

お客さまが言いたいことを言い終えたら、「何が起きたのか、そのことでお客さまがどんなお気持ちになったか」を十分理解したことをお伝えし、あらためて心情理解の言葉をかけます。 「どうしてくれるんだ!なんでこうなったんだよ!」というふうにお客さまが感情的になっている状態では、どんな説明も提案も受け入れてはもらえません。 何もかもが言い訳に聞こえて、お客さまはさらにそのお怒りを深めるだけです。

クレームの解決に向けて話を進めるのは、お客さまが冷静になり、応対者とお客さまとの間にそれなりの信頼関係ができたあとなのです。

(3)話の間に少しずつこちら側の主張を入れていく

3分間お客さまの話を聞いたら、少しずつ事実やこちら側の主張をお伝えする「ジャブ」を打っていくのも、テクニックの一つです。 お客さまをまた怒らせるかもしれませんが、それにめげずに何度もジャブを繰り出します。そうこうするうちに、お客さまの頭の中に本当の事実やこちら側の主張などがゆっくりと入っていきます。

徐々にお客さまに納得感を覚えていただき、後の解決策の話し合いに入りやすくする効果があります。 お客さまのお怒りがおさまらない場合には、冷静な状況で話をするために、あらためて後日お会いしてお話をうかがうよう提案しましょう。

(4)別室対応時のポイント

大声を出す人を別室対応するときに「周りのお客さまにご迷惑ですから・・・」と言ってはいけません。 「くわしくお話をおうかがいしますのでこちらへどうぞ」とお声かけし、ご案内します。あくまでも、あなたの話をしっかり聞きたいからというニュアンスで別室に誘導しましょう。

また、「態度が気に入らない」と言われてもくれぐれも感情的にならないように気をつけてください。「お気を悪くされたのであれば、誠に申し訳ございませんでした。ただいま改めますので、ご指導ください」と冷静に対応します。

3.「社長を出せ!」一点張りのクレームがきたら

次のような配達の遅れから大クレームになったケースでは、どう対応すべきだったかを考えてみましょう。

【あるケータリング業でのケース】

お客さまから、「食事の配達が遅い。宴会に食事が間に合わない!」というクレームの電話が入りました。 このときのお客さまからの電話は周囲の雑音まじりで大変聞き取りにくく、何度もお客さまの名前の確認をしたことがお客さまの怒りの炎にさらに油を注いでしまいました。

何度も謝罪し、お届け先をお聞きしましたが、「おまえではダメだ。社長が届けに来い。社長に直接文句を言いたい」の一点張りです。その後、なんとかお名前を聞き出せ料理を配達できました。 しかしながら「こんなに遅れたのだからタダにしろ」とおっしゃり、代金はいただけませんでした。

(1)落ち着いて事実確認をする

上記のようなケースの場合には、通常時以上に落ち着いて事実確認をすべきです。叱られてもめげずに、いろいろな角度からお尋ねしましょう。

 「大変申し訳ございません。同じお名前の方がたくさんいらっしゃいますもので」
 「ご住所だけでも教えていただけませんか」
 「弊社の営業担当はどの者でしょうか」

などが良例です。どんなにお客さまがお怒りであっても、事実確認は通常業務と同じようにルールに則ってじっくり行います。 最低限、いつ(When)・どこで(What)・誰が(Who)・何を(What)の4つをヒアリングします。

(2)一定時間対応したら上位者にバトンタッチする

「社長を出せ」のような発言があったときは、10~30分など一定時間一人の担当者が対応したら、上司や別の担当者に交代していきます。 その際、お客さまに同じことを何度もお聞きしないよう、メモをきちんと取ったうえで次の担当者に内容を引き継ぎます。

その過程で、お客さまに「上司にまで対応してもらった」と一種の達成感を味わっていただくことがねらいです。 担当者から係長、係長から課長と連携していくと、課長ぐらいのところでご納得いただけるものです。最初の担当者との間で発生した感情のもつれも併せて忘れていただきます。 こうしてお客さまにだんだんと冷静さを取り戻していただくのです。

4.長期間、同じクレームを受け続けていたら

次のように長期にわたるクレームを植え続けている場合には、どうしたらいいでしょうか。

【ある工務店でのケース】

あるお客さまから「以前修理した外壁が漏水する」と、過去1年雨が降るたびに過去の修理不具合についてのクレームを受け続けています。 担当者がいくら調査をしても、原因も被害の程度もはっきりしません。その担当者は責任感の強いタイプで、お客さまの都合に合わせて何度も深夜作業をしました。 その結果、「もう限界です」と言い残して、ついに入院してしまいました。

(1)担当者レベルでがんばりすぎないこと

上記のケースでは、お客さまからのたびたびの夜間訪問要求や急な呼び出しに現場担当者がたった一人で最大限の誠意を尽くして対応しました。 しかし、現場担当者の対応だけでは限界があります。あまりにも長期間に及ぶクレームには一人で対応しようとせず、上司に支援を要請することが必要です。 同時に周囲のメンバーももこの状況に早く気づき、協力すべきでした。

(2)徹底した調査とクレーム情報の共有を全社で行う

住宅や家電などの耐久消費財の商品を扱う場合には、一定期間が経ってクレームが発生したり、クレーム期間が長引いたりするケースが多く見られます。 対応を長引かせないためにも、早期に調査を実施し、クレームの原因がどこにあるのか、修理の必要性があるのかないのか、修理の責任はどこにあるかをはっきりさせます。 その際には社内の専門家、場合によっては社外の専門家を交え原因を徹底的に究明しましょう。

さらに、クレームの内容やその対応策を記したカルテを作り、クレーム情報を蓄積します。 毎月1回、1時間程度の定期的なクレーム対策会議を開き、ケーススタディとして組織全体で共有すると効果的です。 組織として、同じ轍は踏まない、長引くクレーム事例をつくらないことを目指しましょう。

5.「訴える・法的手段に出る」と言われたら

次のように「名誉棄損で訴える」などと言われるケースでは、どのような対応をすべきでしょうか。

【ある自治体市役所でのケース】

お母さまの戸籍謄本を受け取りに来たという50代くらいの男性が窓口にいらっしゃいました。 ご本人でなかったため、代理人の方に戸籍謄本を発行する際は委任状が必要で、ご本人との関係がわからないためにそれが無ければ発行できない旨をお伝えしました。 すると「俺のことを怪しい人間だと思っているのか。名誉毀損で訴えてやる !」とお怒りになってしまいました。

(1)お客さまの言い分と事情をよくお聞きする

まずは冷静になって、お客さまの言い分をよく聞きましよう。お客さまの事情・心情の理解に力を尽くしてください。 応対者のスタンスはこの場合でも、うろたえず話をよく聞くことなのです。冷静かつ真剣に話を聞きましょう。

(2)「悪意のクレーム」なら、妥協しない

もしも悪意のクレームであれば、対応はまったく異なります。悪意のクレームとは、常習的に難癖をつけたり、暴力をともなったりする場合などです。 そういったケースでは、原理原則で回答するのが適切です。誠意を尽くしたうえで妥協せず対応し、その場しのぎのような返答はしてはいけません。 また、どうしても無理なことや受け入れられないことは、お客さまのお気持ちに配慮ながらも、きっぱりと断わる勇気が必要です。

(3)原理原則で対応する

ある時には、うろたえず、次のように毅然とした態度で冷静に対応しましょう。

 「お客さまのご希望に沿いたいのはやまやまですが、法律で決まっていることですので
 どうしようもありません」
 「それでも訴えられるとおっしゃるのなら、いたしかたございません」

6.正当性の主張が激しい方のクレームを受けたら

次のような特許情報の開示を要求されたような場合は、どう対応したらいいでしょうか。

【あるメーカーのコールセンターでのケース】

お客さまから自社開発商品の特許情報についてお問い合わせがありました。その情報は外部に開示できるものではないため、丁重にお詫びしてお断りしました。 しかし、「コールセンターはお客からの問い合わせに答えるのが仕事だろう。特許の分にも我々消費者はお金を払っているんだから、聞く権利がある」と主張し続けていらっしゃいます。

(1)クレーマーという言葉に身構えない

クレーマーやモンスタークレーマーという言葉をよく耳にするようになりました。 しかし、激しくクレームを申し立てている方を、これらの言葉でひとくくりにして身構えてしまうと、お客さまのご事情・ご要望が踏まえられず、納得いただける対応が取れなくなります。

こちらが「不当な要求」だと感じるものでも、本当に不当かどうかはお客さまにくわしく話をお聞きするまでわかりません。クレームはあくまで冷静に手順どおり対応すべきです。

(2)3枚のフィルターをかけて判断する

非常に激しいクレームを申し立てられる方は、正当性の主張がきわめて強いのが特徴です。 この場合の対応は、お客さまの要求・要望の正当性をいかに適切に見分けていくかがカギになります。

実際のクレーム対応では、クレームをおっしゃっている方の話に、次のようなフィルターをかけてみます。

  •  1枚目・・・法にかなっているか?
  •  2枚目・・・理にかなっているか?
  •  3枚目・・・情にかなっているか?

これら3枚のすべてのフィルターから漏れてしまうものは、対応のしようがありません。 その場合は「いたしかたございません」という対応になります。


(3)「情」の部分から対応していく

クレーム対応は上記の3枚目のフィルター「情にかなっているか」から行うことがポイントです。 自分が人として、相手の主張がわかるかどうかをまず確かめるのです。法律にもとづいて仕事をする自治体の職員の方などに特に多いのが、クレームに対してすぐに「その理屈はおかしい」「法律に照らして間違っている」など理・法で返してしまう点です。

情に理・法で返すと、話がこじれてしまいます。情に対しては情で応えるほうが、状況が好転するケースが少なくありません。 情の部分で対応したあとで、次のフィルター、つまりお客さまの話の内容が理にかなっているか、最終的には法にかなっているかというフィルターで対応します。

7.要求がころころ変わるクレームがあったら

次のようにクレームの要求が変わった時は、どんな対応をするのがふさわしいでしょうか。


【ある製造業でのケース】

当社では年に1度、工場近辺の草刈りを行っていて地域住民参加型の恒例行事となっています。 ところが、ある住民の方から次のようなお電話がありました。

 「私の家の前だけ草が刈られていない!お宅の会社は住民を差別しているのか!」

上司と相談し、改めて草刈りをする旨をお伝えすると、今度はこちらの非常識さを延々非難されます。

 「もう一度草刈りをしろなどとわがままなことは言っていない! 別の日に草刈りを
  させたことがご近所にばれて、関係が悪くなったらどうしてくれる!」

そのため草刈りは結局実施しませんでした。ところが、その後再び草刈りをしてほしいとのご要望がありました。 そこで、そのお宅のところに草刈りに出向くと、「そんなことは言っていない! 帰れ!」とお叱りを受けました。


(1)書面での対応を考える

上記のケースは、対応する側にとっては、非常に苦しいものです。度重なると、日常業務にも差し障ります。 まず、当方としては誠意を尽くしていることをきちんとお伝えします。 相手のクレームが二転三転するような場合は、相手とメールのやり取りが可能であれば、メールなどの文書の形で確認します。


(2)書面によるクレーム対応の例

以下のような文面を作成し、口頭で対応したあとの確認の意味で書面やメールを送ります。

件名:○○様宅前面の草刈り再実施について

本文:

 (まずはお礼を述べる)
謹啓 △△の候、○○様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
また、日頃は弊社事業および地域活動についてご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 (続いてお詫びを述べる)
さて、○月○日に弊社の地域貢献活動の一環として行いました草刈りにおいて、○○様宅前面の 草刈りが十分になされなかったとのご指摘をいただきました。多大なるご心労をおかけし、 心よりお詫び申し上げます。

 (これまでの経緯と対応策を明記する)
 この件につきましては、弊社において○○様宅前面の草刈りを再実施させていただく旨、○月○日に お電話をいたしました。その折には、近隣の方とのご関係を理由に、実施をお断りされました。
その後の経過を以下にお示しいたします。
 ○月○日 草刈りを再度実施するよう○○様より再びお電話あり。
 ○月○日 弊社社員が草刈りのためご訪問。前回同様近隣とのご関係を理由にお断り。

つきましては、弊社でも○○様のご意向を重く受け止め、○○様宅前の交通量が比較的少ないと 思われる時間帯と、作業時間短縮のため十分な人数で再実施させていただくことをお願い申し上げます。なお、作業の際に弊社の作業着は着用いたしません。

 (最終の解決策を示す)
弊社の勝手を申し上げて誠に申し訳ございませんが、下記の日程のうち、○○様のご都合のよい日を ご指定いただければ幸いです。
 1.○月○日 ○時から○時まで 訪問予定人数○人
 2.○月○日 ○時から○時まで 訪問予定人数○人

○○様には何度もお手数をおかけし誠に恐縮ですが、ご対応のほどよろしくお願い申し上げます。 

                                     敬白


(3)文書でのクレーム対応には注意が必要

文書でのクレーム対応は誤解されることもあり、その書面を盾に取って逆に抗議を受けることもあるので、普通のケースではおすすめできません。 しかし上記のように、「~してほしい」から「~するな」と要求が変わるような場合では書面対応は有効です。

8.法律でしてはならないと定められたことを要求されたら

次のような、対応すると法律に違反する要求をされた場合には、どうすべきでしょうか。


【ケース】

①証券会社での損失補てん要請

 「株が下がったから賠償しろ!」とのお怒りの電話がかかってきた

②自動車運転者からの酒類の提供依頼

 車で来店されたお客さまから「酒をくれ」と言われ、「法律上できない」と伝えた
 ところ激昂された


(1)「あわよくば」の心理には毅然と対応する

法律でできないことを要求してくるお客さまも残念ながらいらっしゃいます。 簡単にはできない、法律に触れることを知っているがあわよくば得をしたい、激昂した姿を見せてなんとか無理を通せないかと考えている本心を隠すために怒る、八つ当たり的に怒りをぶつけているなど、様々なことが考えられます。

いずれの場合も要求をのむことは当然ながら違法ですから、断じてできません。 このようなケースでは、こちらが聞き役に徹しお客さまに話すだけ話していただきます。 その後に矛盾点を指摘したり、疑問点に答えたりします。最後はお客さまに「しかたがない」と納得していただくことが基本です。 あせらず毅然と対応することが大事です。


(2)納得していただけない場合には上司に代わる

どうしても納得していただけない場合は、上司に対応を代わってもらい、お客さまに達成感やこちら側の敬意を感じていただきます。 それでも納得してもらえず暴れる場合などのケースでは、警察への出動要請も検討しましょう。

1~2時間お話ししても納得してもらえない場合は、いったん警察に一報を入れておくのもよいでしょう。 その後は基本的に警察の指示に従います。「もう帰っていただけないでしょうか」とお願いしても居座り続ける、暴れ出すといった場合にも警察に連絡すべきです。

9.お客さまが泥酔していて対応に困ったら

次のように、お酒に酔ったお客さまからのクレーム電話が延々と続く場合にはどうしたらいいのでしょうか。


【ある小売業でのケース】

店員の接客態度についてお客さまから苦情のお電話がかかってきました。 どうやらかなりの量のお酒を飲んでいらっしゃるようでなかなか話が終わりません。 そのうち苦情の内容はほかの問題にまで広がっていき、もう1時間以上も話し続けていらっしゃいます。


(1)一定時間話を聞いたら後日対応にする

泥酔状態のお客さまのお話は二転三転するうえ、事実と異なることも多く、要領を得るのが難しいものです。 こちらの話もなかなか伝わらず、とにかくご自身の意見を通そうとするので、まともに相手をしようとすると疲れてしまいます。 かといって、こちらから電話を切ったり、お引き取りいただいたりすることもなかなかできません。

まずは相手の話を一定時間、10分なら10分と決めてひたすらに聞きます。お客さまはある程度話すと満足して解放してくれる場合もあります。 それ以上に話が長引きそうな場合は、電話番号をお聞きして、翌日ご連絡する旨を伝え、その日の会話を切り上げるように導きます。


(2)お客さまの酔いがさめてから対応する

お酒が入ると普段の自分では考えられないようなことを言ったりしてしまうことがあるのは、想像できる高も少なくないはずです。 自分のしたことや言ったことを忘れることもままあります。このような例からも想像できるように、たいていの場合、お客さまの酔いがさめて冷静になってから説明すると、案外すんなり納得していただけるものです。

翌日にお電話を差し上げ、前日お客さまにいただいたご意見・ご要望と、それに対するこちら側の見解や対策を丁寧にお伝えしましょう。


(3)どうにもならないときはどうするか

お客さまの怒りが激しすぎる場合は、早いうちに白旗を上げてしまうこともよいでしょう。 「大きな声で怖くて対応できません」「私にはもう対応できません」などと伝えることで、お客さまのお怒りのボルテージが下がる場合があるものです。 当然ですがお客さまが酔って暴れる場合などには、警察に連絡し、支援してもらいます。

10.暴力団員をにおわす人からクレームがあったら

次のような暴力団員をにおわす人から高額な補償金を請求された場合には、どうしたらいいのでしょうか。


【ある小売業でのケース】

当社の商品を購入したお客さまから、購入早々、商品が壊れているとクレームの電話が入りました。 電話の口調から、暴力団関係者であるような気がします。ものすごい剣幕で会社まで謝りに来るように言われたので、一人で先方に向かいました。 事務所の中で複数の男たちに囲まれ、罵声が響く中、高額な補償金を要求され、応諾する書面を書かされました。


上記のような場合の対応の基本は次のとおりです。


  •  ①事務所など相手の縄張りに入らない
  •   先方のテリトリーに入らず、自社会議室・応接室で応対します。
  •  ②数で負けない
  •   相手より多い人数で対応し、数で負けないことを心がけましょう。
  •  ③あいまいな返答をしない
  •   正確な返答を心がけ、その場しのぎのあいまいな返答を避けます。
      すぐに返答できない場合は期日を示し、日を改めて回答します。
      どうしても無理なことはきっぱり断るようにします。
  •  ④書類作成、書名・捺印は絶対にしない
  •   相手から要求されても、むやみに書類などを作成したり、署名・
      押印をしたりしてはいけません。
  •  ⑤会話を記録する
  •   記録はできる限り正確に取ります。記録役の人物を立て、会話を録音するとよいで
      しょう。
  •  ⑥冷静に対応!挑発に乗ってはいけない
  •   何を言われても冷静さを心がけ、挑発などに乗らないようにします。
  •  ⑦違法行為には警察と連携
  •   違法行為があった場合は、警察に連絡・相談し連携します。
      どのような理由があっても、相手が金品を要求すれば恐喝罪に問うことができます。

解決を早めようとして安易に金銭的な要求を受け入れると、何度も同じようなクレームと金銭要求を繰り返されるおそれがあります。 自分だけで判断せずに上司や法務担当部署に助けを求め、恐喝まがいの態度を取ってきた場合は、速やかに警察に相談しましょう。


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