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クレーム対応研修上級編を語る

2024/05/21更新

クレーム対応研修上級編を語る

【ニーズ】
最近クレーム対応研修のご依頼が増えています。中でも特に増えているのは、お客様が激昂していたり、理不尽な要求をされたりといった、対応の難しいクレームのお悩み。

社会全体として接遇やサービスの質が上がり、お客様が求める対応のレベルは上がってきました。同時に、お客様が対応者を見る目は厳しくなり、「普通の対応」が「いい対応」に見劣りし、クレームに繋がってしまうのです。「普通の対応」をしたのに、クレームになった。対応者にとってはとても理不尽なことですよね。また、携帯電話やインターネットの普及によってクレームを言いやすい環境が整ったことも、クレーム増加の一因だと言われています。


上記の通り、クレーム数はどんどん増えている一方、多くの組織では人員削減が進んでいます。以前と比べて対応者1人の負担が増え、「ついやってしまった」雑な対応が、解決が困難なクレームに発展してしまったケースも多々起こっているようです。


そして、そうした対応の難しいクレームに実際に対応しているのは、現場の管理職やリーダーの方々です。そこで、今回インソースでは、管理職やリーダー向けのハードクレーム対応研修を「クレーム対応研修~上級編」と名付け、今回新しく開発いたしました。


インソースにはすでに、クレーム対応研修(初級)、クレーム対応研修(中級)がございます。クレーム対応研修(初級)では、クレームを悪化させないための基本スキルを学びます。クレーム対応研修(中級)では、お客様の心情を理解した上で対応する、初級よりも一歩踏み込んだ対応スキルを学びます。


クレーム対応研修~上級編では、初級・中級で学ぶようなある程度型の決まったクレーム対応では対応しきれない、管理職のためのハードクレームの対処法を学びます。


【効果】
クレーム対応研修(上級)では、どんな状況でも応用のきくクレーム対応スキルを身に付けることを目指し、次の3つの力を習得します。

  • 1.【判断力】「どう対応すればよいか」自分で判断する力
  • 2.【適応力】どんな状況でも(例え相手が激昂していても)落ち着いて判断し、対応する力
  • 3.【交渉力】自分が判断して決めた、交渉の"落としどころ"に相手を導く力

≪3つの力を習得する理由≫

今回、これまでにお聞きした様々な業界・業種のクレームに対するお悩みの中から、対応の難しいクレームのトップ3を抽出しました。対応の難しい3大クレームに対処するために、必要なスキルを洗い出したところ、判断力・適応力・交渉力の3つの力が挙がったのです。


≪対応の難しいクレームと3つの力≫

1.「何を言っても納得してもらえない!」

何を言っても納得してもらえない場合、対応者には通常のクレーム対応ではなく、マニュアル以上の行動が求められます。この場合対応者は、自分自身で考え、クレームにどう対応するか、適切に判断を下さなくてはなりません。そのため「判断力」(どう対応すればよいのか自分で判断する力)が求められます。


2.「相手が最初から怒鳴り込んできた」

「怒鳴る」「脅す」といった行為や、長時間に渡る不満を受ける場合、対応者は非常にストレスフルな状況に置かれます。そういった状況で冷静さを保ち、丁寧かつ的確に対応する必要があります。そのため、「適応力」(どんな状況でも落ち着いて判断し、対応できる力)が求められます。


3.「相手の言い分が理不尽!」

相手が理不尽な要求をしてくる場合、それを100%受け入れるわけにはいかない場合もあります。その場合、対応者は、最善の自体の収束に向けて相手と話し合わなければなりません。そのため「交渉力」(自分で判断して決めた、交渉の"落としどころ"に相手を導く力)が求められます。


本研修では、お客様のお悩みをヒアリングする中で導き出した、「判断力」「適応力」「交渉力」の3つの力を習得することをゴールとして、研修を進めます。


【特徴】


1.実際に厳しいクレームを経験してきた講師が登壇

研修には、実際に厳しいクレームを経験してきた講師が登壇します。どんなクレームを受けたか、その時自分はどう対応したか、結局 失敗だった・・・など、経験したからこそ話せる経験談で受講者の共感を呼び、満足度も高まります。


2.一つ学んだら、すぐにワークで実践する研修構成

判断力、適応力、交渉力の3つのポイントを、各章で一つずつ学びます。一つ学んだ後には必ずワークで実践するため、各自で徹底的に考えます。ただ講義を聞いて覚えるよりも、自分で考えアウトプットするため、ずっと研修効果は高まります。


【研修の流れ】


研修の基本的な構成と進め方は、以下の通りです。

1.クレームとは

  • (1)クレームの背景と傾向
  • (2)これまでの困難クレームを振返る
       【ワーク】今まで経験した難しいクレーム対応を共有する
  • (3)何がクレームを困難にしているのか
  • (4)困難なクレームの対応手順

2.クレーム対応に求められる「判断力」とは

  • (1)必要なのは「判断軸」
  • (2)「判断軸」とは何か
  • (3)さまざまな判断軸
       【ワーク】自組織の判断軸を書き出す
       【ケーススタディ】百貨店での不良品交換対応

  • 3.困難なクレームへの「適応力」

    • (1)いかに感情的な昂ぶりを沈静化させるか
    • (2)感情的な昂ぶりを静める3つの方法
    • (3)相手のねらいが「合理的な解決」ではない場合
      【ワーク】2人に分かれてクレーム対応のロールプレイング
    • (4)対応を切り替えなければならない場合
         【ワーク】特別な対応(警察対応等)に切り替える基準を考える

    • 4.クレーム対応における「交渉力」

      • (1)相手のメリットを軸に交渉する
      • (2)ルールの遵守を軸に交渉する
      • (3)伝えにくいことを伝える
      • (4)論点を整理するためのツール
      • (5)交渉時の話し方
      • (6)交渉は連係プレー(2人以上で交渉)

      5.総合演習

      各事例につきクレーム対応の模擬体験をする。

      • 【ケース1】健康食品のアレルギー問題発覚
      • 【ケース2】工事現場付近の雪道で転倒

      ※解説※

      これまでに経験した「難しいクレーム」を振り返る


      研修の初めに、これまでに経験した「難しいクレーム」を振り返ります。そして、なぜそのクレームが「難しいクレーム」だったのかを考えていただきます。


      例えば、「難しい」理由が次のような場合。


      • ・相手が最初から怒鳴り込んできたから
      • ・相手が反社会的勢力の人だったから
      • ・相手の言い分が理不尽だったから

      こういった場合「相手の心情理解」だけでは収束がつきません。さらにもう1歩踏み込んだ対応が必要となります。そこで受講者に、「判断力」「適応力」「交渉力」の3つのスキルの必要性に納得していただき、研修に入ります。


      ◆判断力を培う

      「クレームにどう対応するか」
      この判断は様々な観点から考えられ、下されなくてはなりません。


      「判断軸」の例には次のようなものがあります。


      • ・お客様のお怒り度
        (不満が収まるレベル⇔転じてファンになってもらえるレベル)
      • ・コストとリスク
        (商品交換に応じる⇔慰謝料を払う)
      • ・客観性の高い基準にもとづく判断軸
        (法律・条令をギリギリクリアしたレベル⇔業界で一番高い水準をクリアしたレベル)

      • 難しいクレームに直面したとき、こういった判断軸を、持っているかどうかで、対応は大きく異なります。


        また、似たケースであっても、公的団体と民間企業とでは対応が変わってくるでしょう。公的団体であれば、公共性、公平性が重要視されるため、お客様によって対応を変えるのは適切ではありません。しかし百貨店やホテルであれば、お客様に応じて対応を変えた方が適切な場合もあります。自分の所属する組織風土を理解し、組織としてどこまで対応できるか、どこは譲れないかを、予め自分の中でルール化し、ノウハウを作っておくことが大切です。


        ◆適応力を培う

        クレーム対応を困難にするのはお客様の感情の昂ぶりです。激昂しているお客様をいかに沈静化させるか、これは相手のタイプによってパターン化できます。


        例えば

        • ・激情型(ストレートに怒りをぶつけてくるタイプ)
          ⇒【対応法】お客様側に立って話を聴く

        • ・プレッシャー型(こちらの弱点をついてプレッシャーをかけるタイプ) ⇒【対応法】一貫性のある誠実な対応に徹する

        • ・ねちねち型(同じことを繰り返して責め立て、クレームが長期化するタイプ)
          ⇒【対応法】根気よく相手の主張に耳を傾け、相手への理解を示す

        相手がどのタイプを見極め、最適な対応法を考えた上で、落ち着いて対応することが大切です。


        ◆交渉力を培う

        相手と冷静な話ができるようになると、双方にとってよりよい着地点を目指し、交渉が始まります。交渉力については、それだけで1日間の研修ができるほどの内容ですが、交渉の手法や交渉時の話し方、伝えにくいことを伝える方法など、ポイントを絞ってお伝えします。交渉力は最善の収束へと導くために必要なスキルです。


        【演習】
        本研修は、「クレーム対応の手順を覚える」ものではありません。ワークを通して受講者様に「どう対応すべきか」考え抜き、ご自身で発見していただきます。

        例えば、演習では次のような質問が出されます。


        「理不尽な要求をするお客様に対して、あなたはどのような判断軸で対応すべきでしょうか?」「この場合、避けなければならない言動は?」


        受講者は、自分だったらどう対応しどこに気をつけるかを紙に書き出します。次に、お客様役と対応者役に分かれて、ロールプレイングを行い、最後に講師からのフィードバックを受けます。


        ロールプレイングをすると受講者から、「こんな対応もあったのか!」という気づきの声が聞かれます。他の受講者の対応を見ることで、答えは1つではなく、人や組織によって変わってくるということが実感できます。


        【ひと言】


        クレーム対応研修上級編は、「こんなとき、こうすればよい」といった完璧な答えが見つかる研修ではありません。


        似たようなクレームであっても、組織風土によって対応は変わってきますし、「難しいクレーム」と一口に言ってもレベルや状況は様々だからです。


        本研修は、自らが責任を持って"判断"を下すための道具や知恵、ノウハウを身につけたいという方のための研修です。



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