調査

シニア雇用の実情と課題~アンケート調査の結果より

人手不足と言われる現在の企業環境において、高齢者(シニア)の雇用促進は今後も各企業・組織環境で取り組む施策の一つと考えられます。内閣府の令和4年版高齢社会白書によると、令和3年の労働力人口は6,907万人、労働力人口のうち65~69歳の者は410万人、70歳以上の者は516万人となっており、労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は13.4%と上昇し続けています。今後も同様の傾向が続くと見込まれます。

当社は、神戸大学大学院経営学研究科との人的資本経営研究に係る包括連携協定を2023年5月16日に締結し、人的資本経営研究教育センター(インソース創業20周年記念寄附センター)を設立しました。今後、日本企業の人的資本経営実現による経済活性化と、ダイバーシティ促進や働きがい向上などの社会課題の解決に貢献していくことを目指しています。
その一環としてまずは企業・組織での「高齢者雇用の現状」をテーマに、アンケート調査を実施いたしました。
2023年6月に企業・組織の人事・教育担当者向け実施したアンケート調査の結果から一部抜粋してご紹介いたします。

※2023年6月21日~29日までWEBアンケートにて実施、回答企業数108社

目次

60歳以上の従業員の割合は20%未満の企業が約8割

従業員に占める60歳以上の割合は「1~9%」の企業が最も多く54.6%、「10~19%」の企業が25.9%との結果となりました。

【設問】貴社・貴組織の60歳以上の従業員の割合をお教えください。(総数の割合をお答えください、正確な数字でなくてもかまいません)

企業は60歳以上の従業員雇用に積極的な姿勢

60歳以上の従業員を「積極的に雇用したい」、「どちらかといえば積極的に雇用したい」と回答した企業は52.8%と半数を超えています。「どちらともいえない」の割合も40%近くを占めますが、反対に「雇用したくない」と回答した企業は少ない結果となっています。

【設問】現在60歳以上の従業員が働いているかどうかに関わらず、今後60歳以上の従業員を積極的に雇用したいと考えますか。(再雇用・再任用、新規雇用含む)

【参考データ】雇用者側は働く意欲がある
今回の当社アンケートは雇用する側の企業・組織向けのアンケートでしたが、令和4年版高齢社会白書によると、現在収入のある仕事をしている60歳以上の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答とあわせると、約9割となり、高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。また、日本の高齢者はアメリカやドイツ等と比べて収入を得るために働くという意欲が高いとの調査結果も出ています。

企業がシニア人材に期待する仕事とは

「技術の伝承・後輩の育成」、「業務経験を生かした仕事」に分類される回答が多くを占めました。回答のなかには、年齢ではなく個人のスキルや特性による、という回答も見受けられます。

【設問】60歳以上のシニア人材の現在の雇用の有無に関わらず、シニア人材に向いていると考える仕事をお教えください。
以下は自由記述を当社にて分類したものです。

現在60代以上を対象に教育を実施しているか

回答の中では「年齢問わず共通の教育」に分類されるものが最も多い結果ですが、本設問は全体として回答数が少なく、シニア向けの従業員教育は実施が少ない様子がうかがえます。

【設問】現在60歳以上のシニア人材に向けて行っている従業員教育がありましたらお教えください。
以下は自由記述を当社にて分類したものです。

雇用継続の課題は「モチベーション」と「健康」

雇用を継続する際の懸念事項としては「モチベーション」「健康面」に関する意見が最も多くあがっています。その他の意見として、「若年層との摩擦」「新しい人間関係になじめるか」「新しい仕事を任せるのが難しい」「ITスキルをはじめ環境の変化へ対応できるスキルが備わっているか」などが懸念事項としてあがりました。

【設問】現状で60歳以上のシニアの人材を雇用するにあたっての懸念事項、問題となっている点があれば自由にお聞かせください。
以下は自由回答を分類したものです。

アンケート結果からのまとめ

近年、当社でも60代以上のキャリアや再雇用を見据えての研修についてのご相談は増えています。60代以上のシニア人材への教育としては、考え方の柔軟性を養うためのアンコンシャス・バイアス(無意識の思いこみ・偏見)について学ぶ内容や、自身の働き方や現在の役割を改めて考え、働くうえでの意識の変化を促す内容が考えられます。また、これまでのスキルを活かして働くために、知識を伝承していくナレッジマネジメントや、若い世代とのコミュニケーションについて学ぶ教育を実施する場合も多くなっています。

今後、企業・組織はシニア人材の雇用に取り組むにあたり、人事制度等の課題解決とともに、自社・自組織の従業員に長く活躍してもらうための教育も必要となります。シニア世代となってからの教育ではなく、年齢が高くなるまえの世代でのキャリアデザインの教育やITリテラシーを高める教育を実施することが、シニア世代となったときの仕事の幅を増やし、モチベーション低下を防ぐことにつながると考えます。

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