企業にとって大きな関心事である消費税の軽減税率制度とインボイス制度が、平成 31 年 10 月 1 日(10%への消費税率引上げ時)から導入されます(消費税率引上げ延期に係る税制改正法が平成 28 年 11 月 18 日に参議院本会議で可決・成立しています)。この軽減税率制度とインボイス制度の導入により、税率ごとの対象品目の区分、請求書の記載内容の変更、消費税額の計算方法の変更とそれらに伴う経過措置の適用など、現行の消費税の取扱いが段階的に、かつ、根本的に変わることになります。さらに、その内容も非常に複雑なものになっています。消費税は、会社のビジネスを構成するすべての取引及び企業活動に係るすべての部門・担当者に関係するものであるため、納税額という税務上の問題を超えて、軽減税率の導入により価格設定をどうするか?軽減税率の適用を値札、パンフレット、カタログ上、どう表現するのか?会計仕訳→消費税額の集計→申告書の作成はどうなるのか?インボイス制度に対応するシステムの見直しはどうするか?軽減税率の導入により契約書の締結はどう変わるのか?業種別の論点にはどのようなものがあるのか?など様々な実務上の問題が生じます。そこで、今回、軽減税率制度とインボイス制度の概要と、それに伴い実務上対応する必要がある問題点について解説します。