管理職

事務リスクを管理するには?(2)

目次

リスク洗い出し・評価に有効な2つの法則

事務リスク考える上で、知っておきたいのが次の2つの「法則」です。労働災害からの事例から導き出された比率ですが、リスクの洗い出しを考える際に大変参考になります。

(1)ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)
労働災害の事例を統計分析した結果、1つの重大な事故の裏には29の軽微な事故があり、さらにその裏には300の事故寸前の「ヒヤリとしたり、ハッとしたりする危険な状態」があるというものです。

(2)パレートの法則(20:80の法則)
重要な20%が全体の方向を決定しているという法則。多数の問題があるなかで、その内の重要な20%を解決すれば、おおよその問題は解決するというものです。

以上の2つの法則から言えることは、突然、大事故が発生するわけではなく、軽微な事故の認識と事故対策が有効であること、また、問題を整理し、重要な対策を打てば、大半の問題が解決することが分かります。この2つはリスク対策を現実的に考える上で示唆に富んだ法則です。

業務を整理してリスク管理する実践的方法

事務リスクを洗い出すためには、前述したとおり、まず、業務を整理することです。
そこで、今回は「業務洗い出し・リスク評価・対応シート」を使って業務の整理を実践的に実施していきます。

洗い出しシートはこちら!⇒【業務洗い出し・リスク評価・対応シート】

(1)日常業務」「注意すべき業務」「特に注意すべき業務」に分ける
まず、仕事の性格を意識しながら業務を整理することが重要です。事務リスク上は、業務を3種類に分けるのが実践的です。

第1は、大半の仕事を占める定型的な日常業務です。一般的に管理者は、業務遂行が円滑に行われているか全体を管理し、個々の業務は担当者にチェックも含め現場委譲しているべきです。

第2は「注意すべき業務」です。管理者が特にチェックをし、業務の品質管理を行うべきものです。例えば、電話営業は日常業務ですが、電話応対でクレームになった場合は、管理者による業務管理を行うべき「注意すべき業務」になります。

第3の「特に注意すべき業務」は「日常業務」「注意すべき業務」に分類できないものです。これを洗い出し、対応策や予防策を考えるのが、リスク管理です。例えば、個人情報漏洩管理などについては、万が一流出し、トラブルになった場合、対応には日常の何百倍もの労力がかかることになります。よって、管理者みずからが日頃マネジメントすべき業務ということになります。

管理者としては、このような業務の整理がされていれば、管理するポイントが明確で、"出たとこ勝負"という最悪の事態にはならずに済みます。

以上を、シートの「割合」欄、「あなたの部署の業務」欄に記載します。

(2)過去のミス・トラブル事例の洗い出し
ここで、業務の整理にあたって、具体的にミス・トラブル事例にどのようなものがあったかを洗い出す作業が重要です。
トラブル事例があらかじめわかっていれば、実際にミスやトラブルが起きたときの対応策は円滑に進みます。ミスが多発しているような場合は、システム化や標準化によりミスを減らす余地が見つかるはずです。
ここまでできたら、業務としてのリスク評価をします。例えば、影響の大きさと発生可能性を勘案して、リスクを大・中・小に分けてみます。

以上を、シートの「過去のミス・トラブル事例」欄「リスク評価」欄に記載します。
業務課題は、この過去のミス・トラブル事例の中から発見することが可能です。

(3)事務リスクの防止対策検討
業務の課題が掌握できたところで、事務リスクの防止策を検討することになります。対策を考える際の代表的なアプローチとしては以下の4つが考えられます。

・仕事の標準化(ルール厳格化、共通の手順化、単純化など)
・システム化、プチ機械化・プチシステム化
・分業化
・集約化

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