インソース・ビジネスレポート
グローバル・タレント育成のためのフィリピン活用について

3.(2)フィリピン英語の奥深さ -インソース・ビジネスリポート(フィリピン英語研修/語学研修レポート)-

1フィリピン人の英語力とその活用

(2)フィリピン英語の奥深さ

前節では、ネイティブ以外の英語スピーカーの中で、フィリピン人の英語能力が最も高い部類に入ることを、客観的にもあきらかであることが見て取れたと思う。

実際、第2 章の韓国のケースのみならず、英語が母国語ではない欧州各国やロシア、最近では他のアジア諸国など、フィリピンへ英語学習のために訪れる外国人は、その数のみならず多様性に広がりを見せている。イギリスやスイスなどに留学するにはまだ及ばないだろうが、フィリピンのグローバル環境は確実に進化しており、単なる英語学習に留まらず、ダイバーシティの観点からもグローバル・タレント育成のための留学地として、その条件を整えつつあるといえる。

一方、ネイティブ・スピーカーの英米人などから見ると、現地語であり英語とともに公用語であるタガログ語※16が混じる通称Tagalishは理解に苦しむことも多いようだ。たとえば、コストの安いフィリピンでの英語学習が注目されていることを報じたBBCニュースを見れば、その現実が良くわかる。

この記事に付録する映像報道の動画を見ると、マニラの名門私立であるデ・ラ・サール大学工学部に留学するロシア人女子学生のインタビューや実際の講義風景などが映し出されている。インタビューではこのロシア人留学生が、他の英米圏の大学へ留学する場合と比較して、学費が4分の1程度で済むことなどを強調している。こうした面ではフィリピン留学のメリットは高そうに感じられる。

この記事に付録する映像報道の動画を見ると、マニラの名門私立であるデ・ラ・サール大学工学部に留学するロシア人女子学生のインタビューや実際の講義風景などが映し出されている。インタビューではこのロシア人留学生が、学費が他の英米圏の大学へ留学する場合と比較して、4分の1程度で済むことなどを強調している。こうした面ではフィリピン留学のメリットは高そうである。

しかし、この動画の途中ではBBCのレポーターがTagalishは理解しづらいと顔をしかめる場面もある。また、この映像には出てこないが、WEB記事のほうにはICE BLoKeと称して何かを販売している奇妙なローカル小売店の写真が掲載されている。

この記事には、上の写真についての詳しい解説がないため、以下は筆者の推測である。

おそらくIce BlockがTagalish化してこうなったものと思われる。Ice Blokeのままだと、イギリス英語なら「冷たい野郎」だが、アメリカ英語のスラングでは「冷製コカイン」と訳すことも可能だ。記事の注釈にもあるように、まさにunexpected outcome(予期せぬ結果)であろう。

さらに細かいことをいうと、「そもそも、Ice Blockとは何だ」ということである。「氷の塊」を意味しているのならBlock IceかBlock of Iceとなるが、Ice Blockが「アイスキャンディー」を意味しているのなら、通用するのはオーストラリアやニュージーランドなど南半球の話となる。「アイスキャンディー」は英米ではIce LollyやLollipopになるからだ。

よって、英国人には間違いの元が何なのかも理解できず、上述のBBCのレポーターが「外国人がここで英語を学ぶのはとても難しい」とコメントしてしまうのも理解できる。

もっとも、これはネイティブ・スピーカーの視点では当然こうなるという話であり、英語話者人口のなかでは圧倒的多数派であるノン・ネイティブ・スピーカーにとっては、大きな問題にはならないだろう。日本国内でも、初対面の津軽人と沖縄人の間で、相手に正確な意味が伝わる会話を直ちに成立させる状況は想像しがたい。同じ言語でもローカル間で壁のある例は枚挙に暇がないのである。

たとえば、アジアではビジネス英語力が最も高いイメージがあるシンガポール人でさえ、話す英語はSinglishと呼ばれる。実際、文末に付ける「lah」「leh」(日本語で「~だよ。」「~だよね。」のニュアンス)が耳に引っ掛かる。また、節操なく短縮形を好み、語尾の最終子音が良く飛ばされる独特の発音は、正直なところフィリピン人の英語よりもはるかに聞き取りにくい。筆者も米系大手銀行に勤めていたシンガポーリアンの友人とクラーク・キーで食事をしながら話していたとき、帰り間際の会話の中で出てきたCar Parkを最初は「カッパッ」としか聞き取れず、かたわらを流れるシンガポール川にも河童の伝説があるのかと真面目に勘違いした経験がある※17

しかし、この程度のことを「笑い話」だと寛容に考えられることは、グローバル・ビジネスの世界で生きていく上では必要な資質でもある。グローバル・タレントとなるためには、異物や派生物に対して違和感を持たないことが、ダイバーシティの観点からも重要だからだ。むしろ、どんなことに対しても貪欲に学ぶ姿勢が、基本的な資質として要求されていると考えるべきである。

  1. タガログ語は首都マニラを含むルソン島南部でおもに用いられている言語。憲法に定められた国語はフィリピン語 (Filipino) と呼ばれるが、実質的にタガログ語と同一と考えて良いようだ。
  2. シンガポールでは国語がマレー語、公用語が英語、中国語、タミル語と複数の言語が共存しており、それぞれの言語のなまりが融合し、Singlishとして独特の英語が話されている。シンガポール政府はこのなまりを無くすことに取り組んでおり、公共放送機関でのSinglish使用を禁止しているほどである。もっとも、TVのニュース・キャスターが話す英語が、英米圏のネイティブとは異なるとの指摘も受けている。

目次

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