eラーニングの限界と上手な活用法~OJTや集合研修と組み合わせる「ハイブリッド型」がカギ
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LMS(eラーニングシステム)が多くの組織で浸透し、今やオンラインで学習することが当たり前になっています。
しかし、教育担当者の中には、「本当にeラーニングって必要?」「現場での業務に活かせていない」「OJTや対面の勉強会で学んだ方がいいでしょ?」と思われている方もいらっしゃるはずです。
ではなぜこれだけeラーニングが普及し、新たな学習方法として定着しているのでしょうか。OJT等、実地学習との比較からお話させていただきます。
知識を理解させたい場合はeラーニングが最適
受講者の習熟度を上げるうえでポイントとなるのは、教育担当者が「実施する目的」や「身につけさせたい内容」を把握することです。
例えば「コンプライアンス研修」や「情報セキュリティ教育」。こうしたテーマは、まずルールや基礎知識を正しく理解しているかどうかが重要です。これらを集合教育で行おうとすると、伝える人によって知識の偏りがあったり、規定や規則文面だけをただ伝える内容になりがちです。
その点、正しい理解を促す、知識の標準化・定着という観点では、eラーニングは非常に効果的です。繰り返し受講できるので、「新入社員」「中堅」「管理職」など階層別の教育にも応用できます。さらに、全国に拠点がある企業では「一度コンテンツを作れば全員が同じ水準で学べる」点が特に重宝されており、教育のばらつき防止に直結します。
「経験を通じて磨かれる力」が必要な領域では補助的に使う
さらに習熟が難しいのは、リーダーシップや問題解決力といった「経験を通じて磨かれる力」です。eラーニングは過去事例やケーススタディを提供できる点で有効ですが、やはり実際の現場で判断を下し、失敗し、振り返るプロセスを経なければ習熟は進みません。
例えば、ある製造業のお客さまの現場で、課長級候補者に問題解決のeラーニングを受けさせた後、あえて小規模なプロジェクトを任せました。すると、eラーニングで学んだ知識を土台にして、現場での課題解決行動を試せるようになり、結果としてトライアンドエラーの速度や充実度が高まりました。製造業の現場では、設備機械の操作や危険物の取り扱いを一歩誤れば事故につながります。ケーススタディはあくまで参考で、現場の状況を把握した上で対応を行わないと真の解決を図るのは困難です。
ですので、eラーニングは「補助輪」としては有効ですが、最終的な習熟は現場経験が欠かせないと言えます。また、こうしたプロセスを組み込むことで、「座学で知った」内容が「自分の血肉となった知恵」に変わり、組織の力として根付いていきます。
eラーニングの3つのメリットと3つの弱点
eラーニングのメリットとデメリットは以下のようになります。
これを誤解して「eラーニングを入れたら、社員が自動的に成長する」と期待すると、ギャップに直面してしまいます。逆に、eラーニングの役割を正しく理解し、「ここまではeラーニングで、ここからは現場で」と設計すれば、教育の効果は大きく高まります。
メリット
- 知識の標準化と反復学習に強い
- 拠点・時間を問わず、受講率を高めやすい
- 法令改正や制度変更に柔軟に対応できる
デメリット
- 実践的なスキル習得には弱い
- 行動変容まで導くには不足しがち
- 学習効果が受講者の主体性に左右される
まとめ:知識はeラーニング、スキルは現場で~最適解はハイブリッド型
つまり、eラーニング導入が成功するかどうかは、eラーニングを「万能薬」と勘違いしないことにかかっています。
- 知識系はeラーニングに任せる(例:コンプライアンス、情報セキュリティ、社内制度など)
- 経験系はeラーニングを補助輪にし、実地経験とフィードバックで仕上げる(例:営業スキル、マネジメント、問題解決など)
導入目的を誤らず、OJTや集合研修と組み合わせて教育設計することで、初めてeラーニングは真価を発揮します。実際に成功している企業は「教育コスト削減」と「成果の最大化」の両立を果たしており、これは単にツールを入れるだけではなく、戦略的に学習プロセスを設計した結果と言えるでしょう。
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