アセスメント~組織を支える人的資源の能力開発

予算と時間が限られている中で人材育成を効率的に実施するためには、アセスメントから得た結果(エビデンス)を活用して「エビデンスに基づいた人材育成」を行うことが重要です。これにより、教育の効率化や教育投資の最適化を実現し、多様な人材の能力を活かすことにつながります。

今回は、人材育成におけるアセスメントの活用方法などをご紹介します。ご一読いただき、皆さまが人材育成の見直しをするきっかけにしていただければ幸いです。

※インソースはアセスメントを「事前に定めた評価項目に基づき、組織で働く人々のスキル・意識をアンケートや数値形式によって定義するサービス」と定義しています。

教育投資における予算的・時間的制約

 

アセスメントの活用方法のご紹介の前に、教育投資と生産性の関係や企業における制約について改めて注目してみたいと思います。

(1)能力開発費が増加するほど、生産性が増加する

これまで、複数の調査において「企業の能力開発費が増加するほど、生産性が増加する」という結果が示されてきました。

例えば、内閣府「平成29年度年次経済財政報告」では、経済産業省「企業活動基本調査」のデータを使って、企業の能力開発費と生産性の関係を分析しています。その結果、能力開発費が1%増加すると、全要素生産性(TFP)が0.03%程度増加することが示されています。

▼全要素生産性と1人あたりの能力開発費との関係

全要素生産性と1人あたりの能力開発費との関係より、1人あたりの能力開発費増加は全要素生産性を高める効果が得られる傾向にある

 

出典:内閣府「平成29年度 年次経済財政報告」

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/h06_hz020203.html

また、厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」では、OECD "Science, Technology and Industry Scoreboard 2017"等のデータを用いて、能力開発の実施率が労働生産性の上昇率に与える影響を分析しています。その結果、能力開発全般・OJT限定・OFF-JT限定の各実施率が上位のグループほど、労働生産性が高まる傾向がみられました。

▼能力開発の実施率とその後の労働生産性の増減率

能力開発の実施率とその後の労働生産性の増減率との関係より、能力開発全般・OJT限定・OFF-JT限定ともに実施率が上位グループほど、労働生産性が高まる傾向にある

 

出典:厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/dl/18-1-2-1_02.pdf

(2)一方で、教育予算は限られている

上記の調査結果・分析結果を踏まえると、企業は「できる限り多くの教育投資」を行い、人材育成に努めることが、生産性向上につながるはずです。

しかしながら、人材育成に関する予算は限られている企業の方が多く、厚生労働省「能力開発基本調査」によると、2017年の1社あたりの平均額は545万円でした。

このため、予算の制約がある中で、いかに効率的に人材育成を行うかが重要となります。

(3)さらに、時間的な制約もある

予算的な制約に加えて、時間的な制約(機会費用)も生じます。

内閣府「平成30年版 年次経済財政報告」によると、企業あたりの単純平均では総労働時間の12%がOJT・OFF-JTにあてられていました。これはすなわち、年間の総労働時間を約2,000時間とすると、およそ240時間を人材育成にあてていることを意味します。

企業としてはできるだけ多くの時間をOJT・OFF-JTに費やし、人材育成を行いたいと考えているかもしれませんが、金銭的な予算と同様に機会費用も限られているのが現状です。

(4)人材育成に関する1人当たりの平均的な投資額は約28万円

内閣府「平成30年版 年次経済財政報告」によると、金銭的予算及び機会費用を総合した場合、人材育成に関する1人当たりの平均的な投資額は約28万円となります。企業はこのような制約の中で最大限の効果が出るように育成を行うことが求められます。

企業によっては、実予算及び機会費用を増加させ、教育投資にさらに注力をするという経営判断をする必要もあるでしょうが、このような企業は少数派であると考えられます。

なお、離職率が高い企業は人材育成の時間割合が少ない傾向にあります。この背景には、離職率が高い企業は人材育成に時間的な投資をしてもリターンが少ないことがあり、結果的に「離職率の増加⇒人材育成投資の低下⇒離職率の増加⇒...」という悪循環に陥る可能性があることを示しています。

アセスメントの活用が人材育成の効率化につながる

(1)エビデンスに基づいた人材育成

費用と時間のかかる人材育成をより効率的に行うためには、社員の「現状」や「成長・変化」を把握するための仕組みが必要です。

このような考え方は「エビデンスに基づいた人材育成(Evidence-based Employee Training)」と呼ばれるものであり、これは人材育成の効率化に向けた近道といえます。

(2)アセスメントを通じた人材育成計画の見直し

社員の「現状」や「成長・変化」を適切に把握するためには、アセスメントを活用することが有効です。アセスメントとは「客観的な評価」を意味する言葉で、米国などでは人材育成の分野で活用がなされています。

アセスメントから得た結果(エビデンス)を踏まえることで、「どの種類の研修が必要(不要)なのか」、「どのような育成方法が効果的なのか」、「どのような対象者に教育を行うべきなのか」などが把握しやすくなり、人材育成計画の見直しにつながります。

経営資源として多様な人材を活用する~「特性」と「スキル・知識」の把握

 

ここからは、弊社が提供する各種アセスメントツールの特徴をふまえつつ、組織におけるアセスメント活用のポイントを解説してまいります。

(1)組織のポイントは「人材の多様性」と「判断軸の共通性」の両立

今後人手不足がますます深刻となっていく中で、従業員が多様化することは避けられない状況となっています。むしろ、経済産業省「ダイバーシティ2.0」が示すように、人材の多様性を経営資源として活用することがより一層求められていくはずです。

しかしながら、人材の多様性を積極的に推進することが、状況判断の主軸を損ねることになってはいけません。多様な人材がともに働きつつも、同様の状況において同様の判断ができるような組織を目指す必要があります。

(2)「特性」を把握し、人材の多様性を確認する

インソースグループでは、人材育成を効率化し、人的資源の能力開発による組織力向上を実現するために、「特性」と「スキル・知識」のそれぞれを把握するためのアセスメントを提供しています。

組織の中で多様な人材が活躍しているかどうかを確認するためには、特性診断ツール「giraffe[ジラフ]」による特性の把握が有効です。

giraffe[ジラフ]を通じてキャリアタイプ志向性や逆境力(レジリエンス)などを見える化することで、以下の点を確認することが可能です。

  • 多様な人材が採用できているか
  • 多様な人材が働き続けられるか
  • 部署によって、人材特性に偏りはないか

(3)「スキル・知識」を把握し、判断軸の共通性を確認する

インソースが提供する「階層別テスト」を通じて「スキル・知識」のレベルを把握することで、判断軸の共通性を確認することができます。

階層別テストとはインソースが提供するアセスメントツールの1つであり、「企業に固有のスキルではなく、ビジネスシーン全般で必要なスキルについて把握するためのテスト」です。

その特徴は、以下の2点です。

  • 意識調査形式ではなく、「テスト形式」でスキル・知識のレベルを把握する
  • 「知識」と「活用力」という2軸構成

(4)分析レポートを活用して組織の強みと課題を明確化する

階層別テストの結果を踏まえた分析レポートを活用することで、各階層のスキルに関する強みと課題が把握できるとともに、必要な研修が明確になります。

例えば、2018年11月までに「若手向けテスト」を回答した2,272名の結果(全国平均)をみると、ビジネス基礎は平均正答率が低い上に、スキル・知識のバラツキ(標準偏差)も大きいことがわかります。このことから、ビジネス基礎については全体の底上げを図りつつ、特に低い層に対しては個別に教育を行うことが有効であると考えられます。

若手向けテスト分析レポートの表。ビジネス基礎は平均正答率が低い上に、スキル・知識のバラツキ(標準偏差)も大きいため、ビジネス基礎については全体の底上げを図りつつ、特に低い層に対しては個別に教育を行うことが有効であると示唆される

※なお、新入社員及び内定者の「スキル」と「不安」の両方を把握するためのツール「新人8大スキルアセスメント」を活用することで、新入社員の育成計画を立案・見直しすることも可能です。

アセスメントの応用・展開

(1)組織再編への応用・展開

例えば、ある部署において論理的思考力が課題であることが明確になれば、論理的思考力が高い人を異動させることを検討することが有効でしょう。

このように、チーム編成やタスクの見直しなどを通じた組織再編にアセスメントを活用することは非常に有効です。今後、ピープルアナリティクス(人材データの分析・活用)などがさらに進展すると考えられることから、エビデンスに基づいた組織再編ができるよう、準備をしておく必要があるでしょう。

(2)採用への応用・展開

例えば、組織としての主体性に課題がある場合には、教育研修等により主体性を向上させるという手段に加えて、主体性の高い人を新たに採用し、組織課題を解決することも可能です。

あるいは、組織内で主体性のバラツキが大きく、主体性の低いグループと高いグループに二極化している場合では、「間を埋める」ような人材を採用し、全体のバランスをとることにも有効です。

※なお、前述のように、インソースの特性診断ツールgiraffe[ジラフ]を活用すると個人の特性を見える化することができるため、どのような人材を採用することが組織にとって最適であるかについて検討を進めることができます。

(3)昇格考課への応用・展開

昇進・昇格の見直しを行う際にも、アセスメントが有効です。どの人材が、どのようなスキル・知識を持っているか、しっかりと把握することで、必要なスキル・知識を持った人材を昇進・昇格の対象とすることができます。

また、昇格候補者のスキル・知識のバラツキが大きい場合には、組織として昇進・昇格の基準を見直すことが必要です。

まとめ

アセスメントを活用することで、人材を見える化することができます。これにより、研修体系の見直しや採用基準の見直し、ひいては多様な人材が活躍する組織の実現につながります。エビデンスに基づいた人材育成を行い、組織の活性化を目指すためにも、「まずはアセスメントから始めること」が重要です。

※なお、インソースグループではgiraffe[ジラフ]と階層別テストという2種類のアセスメントを主軸として、これらの支援を行っています。ご関心がおありの方は、お気軽にお問合せ下さい。

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