インソース 第四営業本部

あいさつをしない若者の、本当の気持ち。やる気がないわけじゃないのかも?

「なぜか日本人の若い子が、全然あいさつしないんです。何回言っても聞かなくて、もう辟易しています」
こう感じている小売店の店長、エリアマネージャーは実は少なくありません。

本ページではその謎に迫り、対策を考えてみます。頭ごなしに叱るまえに、参考にしていただければ幸いです。

無意識にあいさつをしない。あるいは、意識的にあいさつをしない

何度も注意しても改善が見られない場合、単に「指示を守らない」というより、なぜできないのか・しないのかの背景を掘り下げて考える必要がありそうです。

育ってきた環境があいさつをしないことを許し、肯定してきた

ここでは若手=Z世代後期~それ以降の方と定義し、その世代の育ってきた環境の特徴とあわせて整理してみます。

  1. コミュニケーションの中心がデジタル
    • LINEやSNSなど文字・スタンプでのやり取りが主流に
    • 面と向かって声を出してコミュニケーションをとる経験が他の世代より減った
  2. 家庭環境の影響
    • 家族間で形式的な挨拶を交わす習慣が少ない
      (例:「ただいま」「おかえり」を言わない家庭も増えている)
    • 親自身が挨拶を軽視しており、見本がなかった
  3. 学校教育・地域社会の変化
    • 学校で「全員で声を出す」習慣(朝の会で大きな声で挨拶、部活動での号令など)が弱まってきている
    • 地域コミュニティのつながりが薄れ、「近所の人に挨拶する」機会が少なくなっている
  4. コロナ禍の影響
    • マスク生活で声を出すこと自体が減り、挨拶しても相手に伝わりにくい経験が続いた
    • 人との接触を避ける時期が長かったため、「声をかける」習慣が後退した
  5. 「効率」や「成果」を重視する価値観
    • 「仕事は求められた成果が出たり、作業が完了したりすればOK」と考えがちで、挨拶のような形式的な行動を無駄と感じやすい
    • 成果主義や効率重視の環境で育つと、形だけの挨拶を意味のないルーティンと捉えてしまう
  6. 個人主義・プライバシー意識の高まり
    • 知らない人に声をかけるのは「リスク」
    • 「自分のペースで静かに働きたい」という気持ちが強く、声を出す行為自体がストレス
  7. 成功体験の不足
    • 挨拶をしたことで「感じよく思われた」「場の雰囲気が良くなった」といった実感を持った経験が少ない
    • むしろ「声が裏返ってしまってそのことを笑われた」「無視された」などの経験があり、余計に苦手意識が強まる

あいさつはムダ、怖い、失敗したら恥ずかしい

これらZ世代に代表される若者特有の「対面で声を出す機会の少なさ」と「形式的な言葉への違和感」が、挨拶への抵抗感や恥ずかしさにつながっている可能性が高いようです。
こうして見ると、「挨拶をしない=やる気がない」では必ずしもなく、 彼ら、彼女らの文化的背景を理解しながら、ビジネスにおけるあいさつの必要性を納得させ、安心して練習できる環境を作ることが効果的だと考えられます。

店舗でできる、あいさつ奨励や指導のコツ

  1. 「なぜ必要か」を言葉にする
    例:「あいさつをすることで、お客さまが『歓迎されている』と安心するんだよ」「悪いことをしようと入ってきた人って、明るく大きな声で声をかけられると、見られている!って緊張するんだよね」
  2. 見本を見せて、ロールプレイングで実感させる
    店長や先輩が状況にふさわしい挨拶を実践してみせ、その言い方やタイミングを伝えます。お客さま役を体験させるなどで「無言で迎えられる居心地の悪さ」を感じてもらう練習も有効です。
  3. 「恥ずかしい」は自然な感覚だと認めたうえで段階的に練習させる
    「最初は怖いと思うから、小さな声でOK」「でも慣れたら大きな声にしていこう」とステップを設けます。業務の中で挨拶ができたときはすぐに褒めて、自信を持たせましょう。継続ができていることを確認できたら、その都度褒めます。
  4. それでもうまくいかないときは...あいさつを業務のひとつと認識させる
    例:「あいさつはあらゆる仕事の基本で、できないままではこの店舗ではシフトに入れないんだ」「何度か指導したつもりだけど、今後も改善がなされないと困る。どう思っているのか、考えを聞かせて」

ポイントは、「本人にとってなぜ挨拶が必要なのか」を腹落ちさせることと、「練習の機会を与えて成功体験を積ませること」です。君のことをきちんと見ているよ!期待しているよ!というつもりで、店長をはじめ年上のメンバーからのあいさつや声掛けをすることが重要ですね。

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