インソースマーケティング&デザイン室

セールストークの主語を「お客さま」に変えるだけで、営業はもっと上手くいく

「自社の商品には自信があるのに、なぜか売れない」そんな悩みを抱える営業担当者は少なくありません。特に、説明が苦手な方ほど「伝えたいことが伝わらない」もどかしさを感じているかもしれません。

本コラムでは、セールストークの主語を「自社」から「お客さま」に変えることで、営業成果が大きく変わる理由と、その実践方法をご紹介します。お客さまの心に響くセールストークの組み立て方を、具体例を交えて解説します。

「自社」を主語にしたセールストークの限界

新人営業が最初に練習するのは、多くの場合、自社や自社製品の強みを伝える方法です。

たとえば、

  • 「弊社の開発チームが10年かけて完成させた製品です」
  • 「このソフトは業界トップの売上を誇ります」

といったトークは、確かに製品の魅力を伝えています。

しかし、これらはあくまで「自社目線」の話。お客さまにとっては「それが自分にどう関係するのか」が見えにくく、結果として「自慢話」に聞こえてしまうこともあります。

「お客さま」を主語にしたセールストークの効果

セールストークの主語を「お客さま」に変えるだけで、伝わり方は大きく変わります。

  • 「御社の製造ラインのスピードが30%向上する製品です」
  • 「御社の経理担当者が毎月30分早く退勤できる給与計算ソフトです」

このように、お客さまの業務や成果に直結する表現にすることで、「自分ごと」として捉えてもらいやすくなります。営業担当者の話が「自分のための提案」に変わる瞬間です。

お客さまの「聞きたいこと」に合わせて話す

お客さまの関心は一様ではありません。同じ商品でも、アピールすべきポイントは相手によって異なります。たとえば、パソコンを販売する場合でも、以下のように切り口を変える必要があります。

  • コスト重視のお客さまには
    ⇒「昨年モデルより価格性能比が半分になっています。今が買い時です」
  • サポート重視のお客さまには
    ⇒「3年間の長期保証付きで、安心してご利用いただけます」
  • デザイン重視のお客さまには
    ⇒「イタリアの著名デザイナーによる洗練されたデザインです」

このように、お客さまの「聞きたいこと」に合わせて話すことが、効果的なセールストークの基本です。

「買う理由」を3つ用意する

お客さまが購入を決断するには、納得できる「理由」が必要です。営業担当者は、セールストークの中に少なくとも3つの「買う理由」を盛り込むことを意識しましょう。以下は代表的な例となります。

  1. 収益向上・コスト削減
    「このLED照明に替えると、年間1,000円の電気代削減が可能です」
  2. タイミング
    「今なら通常価格より30%オフでご提供しています」
  3. 品質・安心感
    「日本製で5年保証つきです」

このように、数字や実績を交えて具体的に伝えることで、説得力が増します。

「お客さまの言葉」をセールストークにする

最も効果的なセールストークは、お客さま自身が語った「気に入った点」を繰り返すことです。

例1:オフィス向け空気清浄機の営業

営業担当者:「この空気清浄機、どのあたりが気になりますか」
お客さま:「音が静かそうですね」
営業担当者:「はい、実際に稼働中でも図書館並みの静音性です。会議中でも気にならないとご好評いただいています」

例2:業務用ソフトウェアの営業

営業担当者:「この業務管理ソフト、どこが便利そうだと感じられましたか」
お客さま:「画面が見やすいですね」
営業担当者:「ありがとうございます。直感的に操作できるよう制作しております。導入後の教育コストも抑えられます」

このように、お客さまの「気に入った点」や「関心を持った部分」を丁寧に拾い、それを肯定・補足する形でセールストークを展開することで、「自分の気持ちを理解してくれている」と感じてもらえます。これは信頼関係の構築にもつながり、結果として成約率の向上にも寄与します。

まとめ:セールストークは「お客さま中心」に組み立てる

営業活動において大切なのは、「自分が言いたいこと」ではなく、「お客さまが聞きたいこと」を話すことです。セールストークの主語を「お客さま」に変えるだけで、伝わり方が変わり、成果も変わります。

  • 自社の強みを語るだけでなく、お客さまのメリットに変換する
  • お客さまの関心に応じて話す内容を変える
  • 「買う理由」を3つ用意する
  • お客さまの言葉をセールストークに活かす

これらを意識することで、営業の質は確実に向上します。

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