今朝は雨が降り出すのを待つような鈍い空が窓を覆う。昨日は木綿一枚の散歩に陽が眩しかった。今日はどうしようかと、空が迷っているような日が続く。間もなく五月、新生活にも慣れて疲れが出る頃か。力が湧かない日は、仕事を忘れてしっかり自分を楽しませよう。
昔、高校の若くはない教師が「僕は教師ですが僕自身まだ学ぶ途上にあるので、教えるのではなく知っていることを伝える、と考えたいと思います」と話をした。私は現実には教えられる立場だったが、教師の「教えること」に対する姿勢に感心した。社会人になって後進ができてから、今もよく思い出している。生きていくうえで、他人と比較して上下に分けるよりも、自分がどうありたいのかが、重要な要だと思える。
■上下の関係
いつの時代も、コミュニケ―ションの良し悪しによって、社会の人間関係は左右されるが、まして上下関係が加われば互いに立場を忖度した遠慮から、かえって齟齬や誤解・曲解を招くかも知れない。または互いが自分の時間をとられることに不満があり、率直に話せないこともあるかも知れない。
役職や階層に関わらず、教える側・受ける側に分かれる場合も、一種の上下関係が生まれる。もちろん教える側は、それなりの見識や技術をもっていて、自他が認める先人である場合が多い。が、教えを受ける側は、必ずしも初めて習う若い新人とは限らない。別のキャリアはもっているがこの件に関しては不案内、または聞いたことはあるが詳しくは知らない年長者である場合も多い。教える側が尊大でいいはずはないが、迎合する必要もない。難しい。
■現場では
国際環境の変化・市場競争の激化・科学技術の進展・雇用構造の多様化などが加速して、ビジネスシーンでも従来の常識に対して迅速な更新を迫られることが増えている。日常業務で多忙な中、新たな情報の習得のために多くの組織が外部の研修会社を利用するが、予算の都合・各組織固有の事情などにより、外部への研修委託が難しいことも多い。
そこで自組織内の経験豊富な上司や先輩が選ばれて、組織内講師として登壇することになる。しかし、普段は一般社員である人にとって「分かりやすい伝え方」「時間コントロールの仕方」「想定外の対処」など、プロの講師のように上手くはいかない。
・受講者の基礎的な知識や業務に係る経験のバラツキが大きく、研修後のアンケートでは「あまり理解できなかった」と回答されることがある。
・伝えたいことを正確に伝えること、平易な言葉で分かりやすい説明をすることが困難。
・想定外の質問を受けると即答できずに考え込んでしまう、活気を出そうとして余談を入れ過ぎてしまう、などで時間配分がうまくいかない。
など多くの社内講師が悩んでいる。
テーマに沿って内容の説明に偏りがないように、参加者が実感しやすい例えを考え、会場の雰囲気を見てすぐに理解度を把握して調整する、不安を与えないように態度に気を付ける、など、プロの講師は鍛錬と準備を怠らない。
研修という限られた時間内で他人を理解に導くことは、誠実だけではかなわないスキルだ。
研修ではテーマ内容の精度はもちろん、人間対人間の信頼感のやり取りが重要になる。素人が一番苦労するのは、人心の掌握かも知れない。
個人的には、組織内講師をする前に、組織内講師のための研修受講をお勧めする。プロのようにはできなくても、研修を司るプロによる話し方・説明の順序・時間の調整・理解度を上げる工夫などを具体的に学び、人心を掴むコツを得ることは、組織内研修の成果を上げ、講師の職務ではなくても今後のビジネスに必ず大きく役立つと思う。
あとは「教えてやる」ではなく「知っていることを伝えたい」という姿勢で誠意を尽くすことが大事な気がする。
2026年4月22日 (水) 銀子




























