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管理職の延長で経営層にはなれない?~次世代を託せる人材をどう見極め、育てるか

管理職の延長で経営層にはなれない?~次世代を託せる人材をどう見極め、育てるか

組織の未来を担う人材をどのように育てていくか。多くの企業が抱える経営課題のひとつが、経営層の後継者育成、いわゆる「サクセッションプラン」の設計と運用です。しかし、理想的な後継者育成が進んでいる企業は、決して多くありません。

本コラムでは、特に大企業に多く見られるサクセッションプランの課題を整理しつつ、計画を機能させるための前提条件と、今から取り組める実践的なアクションをご紹介します。

よくあるサクセッションプランの課題

多くの企業で、「サクセッションプランは作ったものの、実際には機能していない」といった声が聞かれます。その背景には、以下のような課題が存在しています。

1.候補者となる人材を見抜けない

実力を持つ若手・中堅人材が社内にいても、「年功序列」や「失敗を許容しにくい風土」などの文化的要因により、抜擢の機会が乏しくなることがあります。日常業務のなかで「この人は次期経営層候補だ」と人事部門が認識できないまま、本人にも周囲にも機会が与えられず埋もれてしまうケースも多く見られます。

2.管理職の延長では経営層になれない

管理職として優秀であっても、経営層に求められる視点や判断軸は異なります。にもかかわらず、多くの組織では「管理職としての成果」をベースに評価が行われ、経営に必要な経験やマインドセットを得る機会がほとんどないという実態があります。次世代の経営層を育成するためには、管理職の延長ではなく「経営層としての成長ステージ」を意識した経験の設計が必要です。

3.属人的な判断とブラックボックス化

後継者選定が一部の役員や経営者の主観に依存しており、選抜基準や評価軸が明確でないケースも多く見受けられます。このようなブラックボックス化は、社内の透明性を損ない、周囲の納得感や信頼を得にくくなります。

成功するサクセッションプランの前提条件

では、こうした課題を乗り越え、サクセッションプランを機能させるには何が必要なのでしょうか。まず取り組むべきは、ポストごとに必要とされる「コンピテンシー(行動・思考特性)」の定義です。

コンピテンシーを明確にすることで、以下のようなメリットが生まれます。

  • 候補者選定の基準が明確になり、公平な判断が可能になる
  • 経営層の中で「求める人材像」の共通認識が形成される
  • 育成のための研修やアセスメント、業務アサインに一貫性が生まれる

このように、コンピテンシーを起点に育成全体を設計することが、戦略的な人材開発の第一歩となります。

経営層経験を「代替」し「見抜く」ための育成施策

「経営層としての成長ステージ」を意識した経験の設計が必要とはいっても、すべての候補者に対してすぐに経営ポジションを与えることは現実的ではありません。そこで重要となるのが、「経営層としての経験に近い学び」を、教育の機会として意図的に提供することです。

具体的な育成施策の例

  • 経営シミュレーション研修
    経営視点で意思決定を行うワークショップ。利益管理や組織運営のリアルな課題に対処する中で、経営層としての視座を養うことができます。
  • ビジネスアセスメント
    一定の役割を想定した演習に取り組むことで、候補者の強み・弱みを可視化。コンピテンシーとの照合を通じて、育成方針を明確にできます。
  • 戦略テーマの社内提案プロジェクト
    経営課題をテーマに自ら構想・提案・実行までを経験することで、実践的な視点を身につけることが可能です。

こうした施策を通じて、周りからは頭ひとつ抜けた、次世代経営層候補人材が徐々に絞られてきます。

そして人数がある程度絞られた段階になってようやく、候補者に実際のポストを与えたり、経営層と近い位置に配置し経営層とのディスカッションの機会を何度も提供したりすることで、「経営者としての視点と覚悟を持つ、次世代のリーダー」を育てていくことができます。

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