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「中期経営計画」の作り方～ビジョンを現場の実行力に変える、失敗しないための３ステップ
「中期経営計画」を、単なる予算編成の延長と思っていませんか？
企業には経営ビジョンがあって、会社はそのビジョンに基づいて経営が行われます。ところが経営ビジョンは大まかな意味での会社の方向性であり、「どれくらいの期間でどうやって目標を達成するのか」を明確に示したものではありません。
そこで必要になるのが、経営ビジョンを達成可能な段階に分解し、具体的な事業戦略や数値目標に落とし込んだ中期経営計画です。長期的なビジョンと、日々の業務をつなぐ「橋渡し」のような役割を担います。
中期経営計画は、ビジョンと現場をつなぐ「経営の羅針盤」
中期経営計画とは、経営理念や長期ビジョンを基盤に、３～５年間で達成すべき目標と戦略を体系的にまとめたものです。
単に売上や利益といった数値目標を設定するだけでなく、「どの事業領域に経営資源を配分するのか」「どの市場で競争力を強化するのか」といった事業戦略の方向性を明確にします。これにより、組織全体で共通の目標を持つことができ、日々の業務や個々の施策が経営戦略と深く結びつきます。
ステップ１：環境分析～すべての土台となる「現在地」を知る
中期経営計画立案の出発点は、自社を取り巻く「外部環境」と社内の「内部環境」を正しく把握することです。
外部環境では市場規模や成長性、競合の動き、技術革新、法規制の変化などを捉えます。内部環境では自社の強み・弱み、組織力、人材構成、財務基盤を整理します。
企業経営における外部環境分析の３要素
- マクロ環境
政治（Politics）、経済（Economy）、社会（Society）、技術（Technology）の変化など、自社ではコントロールが難しい広範な要因を分析します。「ＰＥＳＴ分析」などのフレームワークが用いられます。 - 業界環境（競合環境）
競合他社の数や強さ、新規参入の脅威、代替品の存在、供給業者や顧客との力関係などを分析します。 - 市場環境（顧客・需要）
市場の規模や成長率、ターゲット顧客のニーズや価値観の変化、セグメントごとの動向などを捉えます。
ステップ２：戦略と目標の設定〜目的地とルートを描く
長期ビジョンと現状分析を踏まえ、全社的な方針を定めます。どの分野に経営資源を集中させるかを決定し、例えば「成長市場への投資拡大」や「既存事業の収益性改善」といった大きな方向性を打ち出します。
このとき、数値目標については、売上や利益といった財務指標だけでなく、顧客満足度や従業員エンゲージメント、ブランド価値といった非財務的な視点も加えることで、バランスの取れた計画となります。
全社的な方針と資源配分が決定したら、それを各事業部門の具体的な目標や実行計画へと落とし込んでいきます。
ステップ３：実行と浸透～計画を「絵に描いた餅」で終わらせない
計画を「絵に描いた餅」で終わらせないためには、進捗管理と柔軟な見直しが不可欠です。定期的にレビュー会議などを設け、環境変化に応じて戦略や施策を修正する仕組みを整えましょう。
また、社員一人ひとりが計画の目標を「自分事」として捉え、主体的に取り組めるよう、分かりやすい言葉で共有することも重要です。経営層が自らの言葉で計画の意義や進捗を積極的に発信し、現場と双方向のコミュニケーションを密にすることで、組織全体のベクトルを合わせることができます。
まとめ：会社の未来を創るための一歩を踏み出そう
中期経営計画は、企業のビジョンを実現し、全社員が一体となって未来へ進むための羅針盤です。
- 現状を正しく把握
- 明確な目標と戦略の立案
- 全社で共有し、柔軟に見直しながら実行
この３つのステップを通じて、企業は持続的な成長を遂げることができるのです。
中期経営計画の立て方研修～実務に耐えうる計画策定のノウハウを学ぶ
中期経営計画の役割と策定の意義を理解したうえで、調査・分析から、全社計画の策定、事業別計画の立案、実行と進捗管理までを学んでいただきます。
さらに、「達成すべき目標から逆算して実行すべき活動とその数値目標を決める（ＫＰＩ設定）ワーク」や、「中計の方針と全社・事業別の目標を提示する、マネジメントレター作成のワーク」を行うなど、実効性に重点を置いた内容になっております。
本研修のゴール
- 自社の事業環境を分析・把握する手法を身につける
- 数値目標と実行計画が整った全社中期経営計画の策定方法を習得する
- 全社中期経営計画に基づいた事業別中期経営計画の策定方法を習得する
- 事業計画達成のための行動修正力を身につける
よくあるお悩み・ニーズ
- 中期経営計画を策定するうえで、必要となる考え方や策定方法を知りたい
- 中期経営計画と事業別計画との関連付けについて、再確認したい
- 中期経営計画の遂行と見直しのポイントについて、確認したい
セットでおすすめの研修・サービス
経営戦略研修～勝ち筋を描くフレームワークの習得
本研修は、自組織が置かれた環境を踏まえて、経営戦略を練るための基本的な知識を習得することを目的としています。戦略を立てる前の現状把握から、施策の策定方法、さらには具体的な実施計画への落とし込みという一連の流れを、ワークを通して実践的に学びます。
予算管理研修～計画達成を実現する予算編成と執行管理
本研修では、管理職の皆さまに、企業・組織における「予算」から見た管理職の役割について学んでいただきます。経営計画、年度計画に従って、それぞれの部門の事業運営に伴う予算や、組織全体を管理するための予算に対する正しい理解を得ていただいたうえで、予算編成、予算統制、予算管理のＰＤＣＡサイクルについて学んでいただきます。
【名著から学ぶ】経営戦略研修１～戦略経営プロセスと環境分析
本研修は、経営戦略の基本、市場で競争優位性を確立・維持するための知識を学びます。プランニング戦略の考え方を軸に、外部・内部環境分析の考え方や分析手法の理解、そして、本書の軸になるリソース・ベースト・ビュー（ＲＢＶ）やＶＲＩＯフレームワークについて学びます。最終的には、自社の競争優位性を持続的するために何を行えば良いかについても考えます。
