医師が耳を傾けるMRの会話設計~30秒で信頼を得るテクニック

医師との面談は、製薬会社のMRにとって短時間で成果を求められる大切な場面です。しかし昨今では、この会話が以前より難しくなったと感じるMRも、少なくありません。
背景には、医療現場の環境変化と業界特有の事情があります。
医師の働き方改革、コンプライアンス意識...MRの医師対応が難しくなった背景
2024年に施行された「医師の働き方改革」などにより、医師のスケジュールは以前より密度が高くなり、短時間で要点を求められるようになりました。たわいもない世間話から時間をかけて距離を縮める従来の営業の仕方は通用しにくくなっています。
またコンプライアンス意識の高まりにより、慎重な言葉選びをする傾向が強まっています。無難な話題に終始してしまい、医師の関心を引くことができず、会話が途切れてしまいます。
こういった背景から、現代のMRには「上司世代の成功体験が再現できない」という悩みが生まれます。かつては「何度も通う」「顔を覚えてもらう」ことで関係を徐々に築けましたが、この方法が通用しません。過去の面談時にドクターが「このMRと話す価値がある」と感じてもらえた一言を自身でもうまく認識できていないため、多くの新人は次の面談で同じような話の展開ができなかったり、別の病院での営業活動に応用できずにいます。
本稿では、現場で即実践できる会話設計のテクニックを整理します。
雑談で終わらせない!最初の30秒で信頼を得るための会話設計
新人MRが、医師との関係構築において特につまずきやすいのは、説明内容そのものよりも手前の「最初の30秒」です。短い時間で相手の注意を引けるかどうかが、その後の会話の質を大きく左右します。
成果を上げるMRは、雑談を「短時間で信頼を得る準備運動」として位置づけています。医師は常に時間に追われているため、最初の一言で「この人は私の状況を理解している」と感じるか否かで、予定通りの面談時間を設けるかを判断します。
よって、相手の状況を踏まえた一言を用意し、今日の面談の要点を冒頭で示すことが重要です。最初の30秒の流れを型として固定し、迷わず実行できるようにしておきます。
すぐに実践できる「最初の30秒」のテクニック
新人MRが現場で迷わず動けるようになるには、次のように行動レベルまで落とし込んだ具体的な手順が必要です。
以下の4つで最初の30秒を設計します。
1.状況の代弁(5秒)
2.要点提示(10秒)
3.反応確認(5秒)
4.深掘り or 要点のみ(10秒)
1.状況の代弁(5秒):相手の状況を「一言」で言語化する
医師の負担を理解している姿勢を示すことで、心理的な壁が下がります。その状況を代弁するだけで、会話の入口が開きます。
例
- 「外来でお疲れのところ、失礼します」
- 「この後の診察が立て込むとうかがっていますので、簡潔にお伝えします」
2.要点提示(10秒):「なんの話か」を提示する
医師の視点では今日の要点、つまり「なんの話か」が分かれば、短時間でも聞く姿勢に切り替えられます。要点を先に出すことで、医師の思考が本題に向きます。
例
- 「先日お尋ねいただいた〇〇の副作用相談が増えている件で、3点だけ共有があります」
- 「新しいエビデンスが出たため、処方判断に関わる部分だけ資料にまとめてまいりました」
3.反応確認(5秒)医師の反応を1つの指標で判断する
抽象的な「反応を見る」ではなく、判断基準を固定します。判断基準が明確になり、その後の会話を迷わず進めることができます。
例
- 資料を見る/うなずく → 深掘りした質問を投げかける
- 時計を見る/資料に触れない → 要点のみ伝えて切り上げる
4.深掘り or 要点のみ(10秒):質問を1つに絞る
質問を増やすと時間を奪うため、複数のことを同時に訊かず、1つに絞ることで医師の負担を減らせます。質問を絞れば短時間でも対話が成立しやすくなります。
例
- 「この症例で気になっている点はありますか」
- 「最近の患者さまの傾向に変化はありますか」
最初の30秒を変えれば、医師対応の質は向上できる
医薬品を取り巻く環境は厳しさを増しています。品質、供給、価格のすべてに説明責任が求められる中で、MRの対話力は企業の信頼に直結するといっても過言ではありません。形式的な訪問ではなく、「この人なら話を聞きたい」と思われるきっかけが増えることで、医師との関係はより建設的なものになります。それは、患者に届く医療の質を高める力にもつながります。
医師との信頼を積み重ねるには、雑談力やヒアリング力、相手に合わせた伝え方など、多様なコミュニケーションスキルの習得が欠かせません。こうした力は経験だけでは身につきにくく、意識的に学び続けることで安定して発揮できるようになります。必要なスキルを戦略的に身につけていくことで、日々の対話に自信が生まれます。
MR向け営業研修~コミュニケーションによる営業力向上編(2日間)
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(新入社員・新社会人向け)仕事の進め方研修~ビジネスゲームで学ぶチームワークとコミュニケーション
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- 目標があることの重要性とその立て方
- 仕事に着手する前の準備の重要性
- リーダーシップの発揮(積極的な発言)
- 時間管理
- 進捗報告
など、仕事におけるコミュニケーションの重要性と難しさをビジネスシミュレーションにより体得いただきます。グループ対抗のゲームでチームで目標を達成することの喜びも知っていたいただけます。






