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契約書のチェックを法務部に丸投げしていませんか~取引における契約書の意味を理解し、実務での注意点を知る

取引先とやり取りをする際、「法務部にリーガルチェックを任せているから」と担当者が契約書の内容をきちんと確認しないまま契約を進めてしまうことはありませんか。

契約書は単なる形式的な文書ではなく、取引のルールを明文化したビジネスの憲法です。担当者が内容を理解せずに進めてしまうと、思わぬリスクを抱え込むことになります。取引における契約書の意味や種類、そして実務上の注意点を整理しましょう。

契約書は「お互いに安心して取引を続けるための共通認識」

契約書とは、双方の権利・義務を明確にし、トラブル発生時に判断の基準となる文書です。日本の商習慣では、長年の取引関係や「口約束」に依存する傾向もありますが、時代の変化とともに取引形態は複雑化しています。オンライン取引や海外企業との契約が増えた今こそ、文書によるリスクヘッジが不可欠です。契約書を作成・確認する目的は「相手を疑うこと」ではなく、「お互いに安心して取引を続けるための共通認識を整えること」にあります。

代表的な契約書の種類と、担当者が理解しておきたい要点

契約書には目的ごとにさまざまな種類があります。ここでは代表的な4つを取り上げ、担当者として理解しておきたい要点を整理します。

1.取引基本契約書

複数の取引を長期的に行う場合、全体のルールを定めるものです。あらかじめ共通する内容を「基本契約書」として締結することで、実際に取引が発生する場面では、発注書と請書を交わすことで簡易に手続きが行えます。ここでは、支払い条件・損害賠償・契約解除・知的財産権の扱いなど、紛争時に影響を及ぼす条項を慎重に確認することが重要です。

2.売買契約書

商品や製品を売買する際に締結します。納品日や検収条件、所有権の移転時期、瑕疵担保責任の範囲など、取引の実態に即して明記しておくことが求められます。特に「引き渡しのタイミング」や「支払いサイト」は、トラブルの原因になりやすい項目です。

3.業務委託契約書

外部の企業や専門家などに業務を委託する場合に使用されます。請負契約なのか、準委任契約なのかによって責任範囲が異なります。成果物の著作権の帰属や、再委託の可否なども事前に明確にしておきましょう。

4.秘密保持契約書(NDA=Non Disclosure Agreement)

取引前の打ち合わせ段階で交わすことが多い契約です。開示情報の範囲、利用目的、管理方法、返却・破棄方法を細かく定めておくことが大切です。特に、双方が守るべき義務や、違反時の対応を確認しておくことで、情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。

実務で覚えておくと役立つ3つのミニ知識

1.署名と記名の違い、押印ルール

契約書の署名欄では「署名」と「記名押印」に法的な違いがあります。署名とは自筆で氏名を書くことで本人の意思が明確に示されます。一方、記名とは印字やゴム印などによる氏名の表示で、押印を伴って初めて法的効力が確実になります。電子契約の場合は電子署名が本人確認の代替となります。

2.収入印紙の貼付と負担区分

印紙税法上、契約書の種類によっては収入印紙の貼付が義務付けられています。印紙税の当事者間での負担割合は決められていませんが、どうしても立場が弱いほうが負担するケースが多いようです。ただし、契約書の原本を保管する側が印紙を貼付し、両社で原本を作成する場合はそれぞれが自社分を負担するほうが望ましいと言えるでしょう。

3.印紙税額を確認する方法

収入印紙の金額は、国税庁の「印紙税額一覧表」(公式サイト)で確認できます。一覧表では「契約書の種類」と「契約金額区分」に応じて税額が明示されています。たとえば、1万円を超え100万円以下の売買契約書は200円、500万円を超え1,000万円以下の場合は2,000円など、区分ごとに定めがあります。契約金額が明示されていない場合や複数項目を含む契約など、判断が難しいケースでは、経理部門や税務署に確認することが確実です。

企業間取引で発生する契約の基本を学ぶ研修

「企業間取引で発生する契約の基本を学ぶ研修」では、企業間取引における契約書の意味を解説するとともに、売買契約書や取引基本契約書など、よく使われる契約書の使用例、作成上の注意点などを詳しく紹介しています。さらに契約実務に関しての具体的な注意点などを解説し、企業で契約業務にあたる人向けの実務研修となっています。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 取引先と業務委託契約書を作ることになり、先方から契約書案を送ってきたが、どこを見るのか分からない。
  • 新たな取引先に業務に依頼することになったが、契約書が必要かどうか分からない。
  • 従来の取引先に追加で業務依頼を行うことになったが、契約書を再契約すべきなのか、覚書で対応すべきなのか、分からない。

研修のゴール

  • 契約書の意味を理解し、新たな業務等の発生時に契約書が必要であるかどうかの判断が出来るようになる。
  • 契約書を新たに作成する場合、法務部にリーガルチェックをする前に、自分である程度の内容確認が出来るようになる。
  • 署名、記名、押印などの基本を理解し、具体的な契約行為が出来るようになる。

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