2021年2月08日
東京商工リサーチの調査によると、2020年に早期・希望退職者を募集した上場企業は93社となり、リーマン・ショック直後の2009年(191社)に次ぐ高水準となったことが分かった。
2020年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は93社だった。募集人数は判明した80社で合計1万8635人に達し、2012年(1万7705人)を上回り2009年に次ぐ高水準となった。
募集を開示した企業は、直近の本決算で赤字が51社(54.8%)と半数を超え、新型コロナウイルスの打撃で業績が悪化した上場企業が従来型の「赤字リストラ」に着手している実態が浮き彫りになった。
業種別では、新型コロナが直撃したアパレル・繊維製品で18社(19.3%)と約2割を占め、最多となった。次いで、米中貿易摩擦の影響も残る自動車関連と電気機器が各11社(11.8%)、居酒屋チェーンの運営会社を中心に、コロナ禍の影響が長引く外食と小売が各7社(7.5%)、サービスが6社(6.4%)と続いた。
また、2020年は年に2回募集した企業が8社あり、2019年の1社から急増した。ラオックスやアツギ、Success Holders(旧商号ぱど)など、コロナ禍で業績が急激に落ち込んだ業種で年に2度の募集が散見された。
リーマン・ショック直後の2009年は、16社が複数回の早期・希望退職を募集した。当時は情報通信や小売、製造など、幅広い業種で行われた。2020年はアパレル・繊維と電気機器、広告など、新型コロナのあおりを受けた業種に集中している。
2021年に募集を開始する上場企業は1月21日時点で、すでに22社判明した。前年同期(11件)の2倍増のペースで推移している。募集人数は判明分で3490人に達し、前年同期(2220人)から1270人多い。
今後の動向について東京商工リサーチは「上場企業でも長引くコロナ禍で、昨春からの業績低迷から抜け出せない企業は多い。新型コロナ感染拡大の収束が見通せず、BtoCやその関連業種を中心に目立つ。このため、非正規雇用を含めもう一段の人員削減が行われる可能性もあり、今後の雇用情勢の悪化が懸念されている」とした。
同調査は、2021年1月21日公表分までの資料に基づき、希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出している。実施が翌年以降の企業は除く。募集形態は、「早期・希望退職」に加え、退職時に加算金を盛り込む退職勧奨や選択定年も含めた。
配信元:日本人材ニュース
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