2023年4月03日
組織のDX化を推進するためには、社内での人材育成は欠かせません。なぜなら、社内業務に熟知している人材がいなければ、適切な業務効率化や他部署を巻き込んだ改革はできないからです。IT人材が全国で不足している中、自社の人材を適切に育成することが重要視されています。本記事では、DX人材の育成を成功させるためのポイントや注意点について解説します。
経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2015年の段階ですでに15万人のDX人材が不足しており、2030年には最大で79万人の人材不足に陥ると試算されています。
自社に必要なDX人材を確保・育成することは、今後の事業運営に欠かせないファクターとなっています。
自社に適したDX人材を確保するためには、社内での育成がポイントになります。
社内のDXをスムーズに推し進めるためには、複数の部署を巻き込んだ改革が求められます。ある程度の規模感をもって業務のIT化に取り組む場合、外部に委託をするケースも発生します。
その際、社内の人材が積極的に他部署との調整を進めることで、社員からの信頼が得られやすくなります。
DX化を組織内に浸透させるためには、システムに対する共通認識が必要になります。部署ごとに業者へ委託をするケースもありますが、技術的な差が生じるため、部署同士の互換性がなくなる恐れがあります。
業務を理解している社内人材が間に入ることで、無用なトラブルを避けることができ、一貫性のあるシステムの構築につながります。
DX人材を社内で育成することで、自社の業務に合わせた適切な体制の構築ができるようになります。DX推進の基礎は、既存業務の効率化にはじまります。
既存業務の課題や問題点を熟知している人材の方が、より効果的なDX化を推し進めることを可能にします。
独立行政法人情報処理推進機構の「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」にて、DX人材に必要な適正が定義されています。
挑戦する姿勢があり、自ら課題を設定して解決に努めることができる人材が求められます。
組織のDX化を推し進めることは、社内では前例のない取り組みになるはずです。不確実な未来を見据えつつ、目の前の課題に立ち向かう姿勢が大切です。
はじめての試みにはトラブルが付きものです。計画通りに進まなくても、都度方向を修正するなど、臨機応変な対応が求められます。
当初の計画に執着しすぎずに、現状を冷静に分析しながら、目標に向かって歩みを進められる人材が適しています。
組織のDXを推し進めるためには、周りを巻き込んでチームとして行動する必要があります。反発する意見を説き伏せるだけでなく、協力してもらえるよう受け入れる大きな器量が求められます。
外部との交流を自然にできるコミュニケーション力も必要になります。
前例のない取り組みを進める場合、多くの失敗を経験することになります。一つひとつの成果や失敗に一喜一憂せず、目標に向かってすべての事象を糧に成長していくことがDX人材に求められる適正といえます。
DX化を推進するには、マニュアルに従うのではなく、マニュアルを自ら作る姿勢で取り組む必要があります。業務の課題を見つけ出し、自分の言葉で周囲に伝えられるような、主体性のある行動ができる人材が適しています。
DX人材には、使命感や責任感の強さが求められます。なぜなら、前例のない取り組みには多くの困難や試練が待ち受けているからです。
強いリーダーシップを発揮し、常に複数の解決方法を模索するなど、推進力をもった行動ができる人材が必要です。
DX人材を社内で育成するには、人が育つための環境づくりが大切です。
前項でお伝えしているとおり、自社に適したDX人材を育てるには、DX人材が持つべき適正を発見しなければなりません。
すべての要素を一人が持つ必要はありませんので、適正を持った人材を年代や職種ごとに複数人選び出す必要があります。
人選が完了したら、座学での知識習得を通して共通理解を進めます。AIやビッグデータ活用に関する専門的な知識はもちろんのこと、チームで改革を進めるための方法も共有します。
組織に必要なコミュニケーションを学ぶことで、目標に向かって強度のある取り組みをする際に必要なマインドセットが身につきます。
改革に必要な知識を学んだあとは、体験(OJT)を通して実践的なスキルを身につけていきます。
組織体制を一気に刷新するような改革にはリスクが伴いますので、小さな変化を徐々に浸透させていくイメージで、少しずつ任せる仕事を大きくしていくことが大切です。
人材不足とはいえ、DX化に成功している事例は数多くあります。業界の最新情報を取得できるように、社内だけでなく社外ネットワークも構築するとよいでしょう。
自分たちだけでやるには限界もありますから、ときには業界を越えた協力関係をあおぐことも重要になってきます。
前例のない取り組みをする際は、過程の透明性を高めることが大切です。だれが何をしているかがわからなければ、軌道修正をする機会を失ってしまいます。
進捗情報を記録・共有することで、組織全体で課題解決に向けた活動をおこなうことができます。
DX人材のITスキルだけに頼ることはリスクになります。DXは組織改革ですので、DX人材のアイデアを他の従業員にも共有し、協力してもらわなければなりません。
当然ITスキルがあることを前提として、コミュニケーションやマネージメントなどプラスアルファのスキルを持った人材が求められます。
DX化はツールを導入すれば完了するような単純なものではありません。セキュリティ対策なども考慮すると、知識・技術のアップデートは随時おこなっていく必要があります。
DXは、短期間で組織を変革するような動きではなく、小さな変革を組織に浸透させながら、従業員一人ひとりが新しいアイデアを受け入れていくことが理想です。
長期的な視点での育成に取り組み、実績が確認された手法を複数取り入れることが大切です。
DX人材の育成ポイントについて解説しました。社内のDXを進めるには、それぞれの組織に合った人材を確保することが重要になります。本記事でご紹介したポイントを、ぜひ人材育成のヒントとしてご活用ください。
配信元:日本人材ニュース
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