2026年3月18日
上場企業がかかわる2025年の海外M&Aは230件(適時開示ベース)と前年比2件増の微増ながら、3年連続で最多を更新した。「トランプ関税」、米中摩擦の再燃、記録的な円安などに直面する中、M&Aを通じた成長分野への展開加速や事業の入れ替えが活発化した。
ただ、昨秋以降の日中関係の急速な悪化に加え、足元ではグリーンランド領有をめぐる米国とEU(欧州連合)の対立激化で世界経済の不透明感が増しており、海外M&Aの先行きに影を落とすことになりそうだ。
上場企業に義務づけられた適時開示情報をもとにM&A Onlineが集計したところ、国内、海外を合わせた2025年のM&A総件数はこれまで最多の1344件(前年1221件)。内訳は日本企業同士の国内M&Aが1114件(前年993件)、外国企業との海外M&Aが230件(同228件)だった。
海外M&Aはコロナ禍の影響で2020年~2022年に年間150~160件台に落ち込んだが、2023年に216件に急回復し、2016年(207件)以来の最多を更新。以降、2025年まで最多更新が3年連続となった。
海外M&Aは日本企業が買い手のアウトバウンド(IN‐OUT)案件と、外国企業が買い手のインバウンド(OUT‐IN)案件に分けられる。
2025年の全230件のうち、前者が140件(前年155件)、後者が90件(同73件)。前年より日本企業による買収が1割減ったのに対し、外国企業による買収が2割増えた。これにより、海外M&Aに占めるインバウンド比率は39%と、前年より7ポイント上昇した。
海外M&Aはコロナ禍初年の2020年に153件と前年より25%近く落ち込む一方、日本企業が海外事業の選別を強力に進めた結果、インバウンド比率は跳ね上がった。
それまでは20%台前半で長年推移していたが、2020年は32%に上昇し、21年、22年はさらに41%まで高まった。日本企業による海外買収が復調した23年、24年は各32%に低下していたが、25年は再び上昇に転じた形だ。
年間90件のインバウンド案件のうち、日本企業の現地子会社・事業が対象となったのは58件で、前年45件から3割近く増えた。
世界的な原材料高やトランプ関税に伴う市場環境の変化などを受け、日本企業の間にサプライチェーン(供給網)の再構築や拠点の統廃合を目的に、海外子会社・事業を現地同業者や合弁パートナーに売却する動きが再び勢いを増した。
その所在地も米国、中国、ドイツ、メキシコ、カナダ、インド、ベトナム、カザフスタンなど16カ国・地域に及んだ。
残る32件は日本企業(上場企業本体、もしくはその国内子会社・事業)を直接ターゲットとするもので、うち投資ファンドの関与が19件(前年13件)と6割を占めた。
投資ファンドのなかでも存在感が際立ったのが米国勢。カーブアウト(事業切り出し)やTOB(株式公開買い付け)の大型案件を主導した。
米ベインキャピタルはセブン&アイ・ホールディングスからスーパーなどの非コンビニ事業を約8100億円で買収。また、人材サービス大手のテクノプロ・ホールディングスはブラックストーンによる5000億円規模のTOBを受け入れて株式を非公開化した。
投資ファンドではなく、海外の事業会社が買い手となったのはセンサ―メーカーの芝浦電子。台湾電子部品大手のヤゲオ(国巨)が精密部品大手のミネベアミツミとの買収合戦を制し、芝浦電子を傘下に収めた。最終的な買収金額は1090億円に上った。
海外M&Aを国・地域別にみると、断トツの米国65件(前年73件)に続き、28件(同17件)の中国が2年ぶりに2位に浮上した。以下、英国(バージン諸島などの英領を含む)19件、ドイツ、ベトナム各14件、シンガポール12件、オーストラリア8件などが続く。
上位のうち、他国と事情と大きく異なるのが中国だ。日本企業が買い手の案件は6件にとどまる。残る22件は中国側が買い手の案件だが、中身をみると、その大半(18件)は日本企業が現地子会社・事業を合弁パートナーなどに売却する案件で占め、「チャイナリスク」の警戒感がくずぶる中、対中ビジネスの戦線縮小を如実に物語る。
配信元:文:M&A Online
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