管理職研修「意識改革と役割認識｣～マネジメント・経営のコツ

著者：インソースマネジメント研究チーム

記事紹介文

管理職研修が花盛りである。各企業とも、この不透明な経営環境の中での事態打開を組織リーダーに託し、組織活性化や業績向上のためには管理職のレベルアップが最優先課題と位置づけている。ところが最近実施されている管理職研修の内容をみると、通り一遍の内容で、果たして意図する狙いに適っているのかと首を傾げたくなるものが多い。

■管理職研修の目的は何か: 組織リーダーの"やる気"が問題となっており、管理職の意識改革を急務と考え、それを目的として管理職研修を行う企業が多い。
■「やる気」の問題にどう取り組むか: 「やる気」の問題に対処するには、実践的な知識やスキルを習得させることにより、間接的に「やる気」を持たせるべきだと考えてしまいがちだが、実はやる気の問題、つまり「意識改革」は知識やスキルの習得だけでは対応できない。管理職研修の多くは、意識改革そのものを直接テーマとすべき研修なのである。
■意識改革にはどうアプローチするか: 実際のところ、管理職が「やる気」を失ってしまうという問題は、利害関係者との関係、他部署や外部組織との関係の中で生じる軋轢に対処できず、行動を躊躇してしまうことにより生じやすい。そうすると、意識改革を目的とした管理職研修は、利害関係者との間で発生する"軋轢を解決できるもの"を身につけるための研修でなければならないこととなる。
■軋轢を解決する行動の源は"自信": 人は困難な問題に対処しようとする場合、自信がないと行動に移れない。この自信をつけることが意識改革を目的とする管理職研修の主題と考えるべきなのである。管理職の意識改革はこの自信創出をテーマとしなければ何も解決しないのである。

■自信がつく研修内容とは

管理職の行動として最も求められているのは、特に、対外的な利害関係者との軋轢解消である。そして、対外的な利害関係者との軋轢を解消するものとは、自社の商品・サービスに対する自信であり、自社に対する誇りである。組織リーダーたる管理職に対しては、企業の価値観や理念、自社の特徴・強み、自社の提供サービス・商品の目指すものについて、自信が持てるまでに解釈させ理解させることを中心に据えた研修を行う必要がある。

■社内折衝が円滑にいくには

社内他部門との関係においても同様で、部門間の調整行動を円滑に行うには、会社の方針や方向性、戦略目標を互いに共有化する必要がある。また、部下との意思疎通がうまくいかない場合も、会社の価値観、方針、目指す目標や重点施策を堂々と自信をもって説明し、自ら先頭に立って成果を上げることで、部下はついてくるはずである。

■自信がつく管理職研修の実施へ

利害関係者との軋轢に対処できる自信をつけさせ、行動を起こさせるための意識改革を行った上で、管理職としての管理ノウハウと組み合わせた研修を実施すれば、実践的な行動が期待できる管理職研修となるはずである。管理職研修の目的が、行動を起こさせる「意識改革」であるならば、管理職研修は、行動に移せる"自信がつく研修"とすべきである。