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成果のカギを握る「暗黙知」、職場に眠る宝を伝承するナレッジマネジメントとは

みなさんは、「暗黙知」という言葉を聞いたことがありますか。「暗黙」とは「口に出さず黙っている」という意味があり、「知」とは「知識」という意味なので、「暗黙知」とは、言葉で説明できない知識という意味になります。一方、暗黙知と相対するものに「形式知」という言葉があります。「形式」とは「外に現れているかたち」という意味があるので、「形式知」とは、言葉で説明できる知識という意味になります。

暗黙知をもう少し具体的にイメージしてみましょう。例えば、みなさんがよく行くカフェがあって、そのカフェで友人と待ち合わせするために、最寄り駅からの行き方を説明しようとしたら、その場に行けば分かるのに、どこの角で曲がるのかが、うまく説明できなかったという経験はありませんか。

実は、この暗黙知はみなさんがしている仕事にも存在しています。それはどのようなものでしょうか。

成果を高めるための秘訣が「暗黙知」

みなさんが仕事で成果を上げるためには、業務の遂行に必要不可欠な専門知識など、いわゆる文字通りの「知識」が必要なのは言うまでもありません。しかしながら、この知識だけでは、成果を上げることができません。知識以外に必要なのは何でしょうか。

まず必要なのは、仕事の手順や進め方です。仕事の手順や進め方がわからなければ、そもそも業務の遂行はできません。逆に言えば、この手順や進め方さえ分かれば、一応の業務の遂行はできるようになります。この手順や進め方は、マニュアルなどの形で表現することが比較的容易で、先ほどの「形式知」にあたります。

もう一つは、手順や進め方は同じであっても、成果の大きさは人によって差が出るその要因となるものです。例えば、営業を例にとってみましょう。同じような手順や進め方で営業をしても、結果的に優秀な成績を残す営業と成績が伸びない営業に分かれてしまいます。優秀な営業は、手順や進め方に独自の工夫やコツ、ポイントを加えながら業務を遂行するので、人よりも高い成果を上げることができるのです。これらは、文書などの形にはなかなかできないので、先ほどの「暗黙知」にあたり、これが成果を高めるための秘訣となるのです。

「暗黙知」と「形式知」のそれぞれの特徴

暗黙知と形式知を比較してみると、以下のようになります。

暗黙知 形式知
  • ・主観的、個人的
  • ・身体的な勘どころやコツと結びついた技能、経験知
  • ・言語化しえない、言語化しがたい情報
  • ・伝わりにくい
  • ・客観的、組織的
  • ・明示的な方法や手順、事物についての情報を理解するための辞書的構造
  • ・言語化された明示的な知識
  • ・伝わりやすい

「暗黙知」をどう引き継いでいくのか

暗黙知は、属人化してしまっていることが少なくありません。その人が退職してしまえば、業務そのものが立ち行かなくなってしまう危険性があるため、後継者に業務を引き継ぐ必要があります。

暗黙知の伝え方には、2つの方法があります。

①「暗黙知」を「暗黙知」のまま伝える

いわゆるOJTや、チームでの共同体験を通じた教育などで伝える方法が典型的な例です。

例えば、臨機応変な対応の仕方などは、口で説明しようとすると難しいですが、「やってみせること」で相手に教えることは比較的簡単です。

こうした暗黙知を伝えるうえでは、無理に「形式知」化するよりも、暗黙知のまま伝える「場」を用意することがむしろ効果的と言えます。

②「暗黙知」を「形式知」化して伝える

暗黙知の内容が「順列」の性質を持っている場合、比較的容易に「形式知」化することができ、同時に相手にも伝わりやすくなります。典型的なものとして、業務の流れをフローチャートで表現したり、仕事の手順をマニュアルにしたりすることが挙げられます。

一方、暗黙知の内容が「判断や選択の仕方」のようなものの場合は、その時の基準やルールをフレームワークとして表現することで、そのコツやポイントが伝わりやすくなります。

典型的なものとして、チェックシートやガイドラインのようなものが挙げられます。

ナレッジマネジメント研修~暗黙知を伝承する

本記事ご紹介した内容を学べるのが、「ナレッジマネジメント研修~暗黙知を伝承する」です。仕事の成果を高める暗黙知をどのように伝承していくのか、属人化しがちな暗黙知を組織としての財産にしていきましょう。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 業務が属人化しているため、担当者が不在のときに仕事が進まない
  • 世代間・メンバー間の知識に差がある、ノウハウ共有ができていないと感じる
  • ベテラン社員が異動(もしくは退職)するため、業務効率が下がる恐れがある
  • マニュアルが作成・活用されておらず、口頭でノウハウを伝えているため、知識の共有が進まない

本研修の目標

  • 特定の個人が持つ知識を形にすることのメリットを理解する
  • 業務内容を分析し、形式知化すべき暗黙知やノウハウを洗い出すことができる
  • 形式知化した知識をもとに業務マニュアルを作成し、「新たな知識・ノウハウの創出」に応じて更新を行うことができる

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セットでおすすめの研修・サービス

業務フロー作成研修~業務の視覚化で、改善やリスク管理につなげる

業務フローの作成・運用は個別業務の属人化を防ぎ、衆知を集めての業務運用を可能にします。結果、業務改善や知識伝承、リスク管理が運用できるようになり、「業務改善しよう」という前向きな力が生まれます。

本研修では、まず業務フロー作成の意味と作成方法を学びます。その後、特にリスク管理の観点から、実際に業務フローの作成方法を習得していただきます。非正規雇用の従業員の比率が高い職場や社員の異動が多い部署にとっては、特に役立つ研修です。

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論理的で分かりやすい文書の書き方研修

本研修では、論理的で分かりやすい文章の書き方を学びます。読み手にとって必要な情報を明確に伝えるための構成力を、演習を通じて実践的に身につけていただきます。また、文書を手書きで作成するワークを取り入れ、文章作成に必要な思考の整理力や表現力の向上を目指します。

手書きによるワークには、自由度の高さから思考を整理しやすい点や、修正が容易でないぶん内容を慎重に考える習慣が身につくといったメリットがあります。これにより、より深く考えながら文書を作成する力を育てることができます。

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ナレッジマネジメント~業務の標準化と属人化解消のためのノウハウ蓄積と整理

ナレッジマネジメントとは、組織の業務を最適化するために、ハイパフォーマーの仕事のノウハウやコツ、また組織に必要な情報を整理し、全社に浸透させるための段取りや仕組みを構築することを指します。これにより、優れた知見を組織全体で共有し、活用できるようにします。

誰にでも使えるよう整えられたナレッジを伝達することで、知識や技能の向上、業務効率の改善、属人化の解消、新たな知の創出といった効果が期待できます。結果として、組織全体の力を高める大きな手段となります。

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