なぜ総務が作るカスハラマニュアルは使えないのか

東京都をはじめとする自治体がカスタマーハラスメントのガイドラインを策定したことで、多くの企業や店舗がWebサイトや店頭にカスハラ対応方針を掲げるようになりました。
しかし、方針を明文化することはできても、それをより具体的なルールやマニュアルに落とし込むのは思っている以上に困難な作業です。効果的なカスハラ対応ルールを策定するためのポイントをご紹介します。
カスハラ対応ルール策定が難しい理由~他社のルールは流用できない
業種や組織によって対応が変わる現実
カスタマーハラスメントは業種によって発生環境が大きく異なります。例えば、コールセンターと店舗販売では顧客との接点の性質が全く違いますし、BtoBとBtoCでもクレームの内容や対応方法は変わってきます。
個々の会社や組織によっても微妙に対応は変わるため、他社の対応ルールをそのまま拝借するわけにはいきません。自社の業務特性、顧客層、企業理念に合わせてカスタマイズする必要があります。
「総務部」が作るカスハラマニュアルの問題点
企業においては、総務部がカスハラ対応のガイドラインを作成することが少なくありません。しかし、実際にお客さまと直に接するのは現場のスタッフです。現場の実情を理解していない部署が作ったルールは、実際の対応場面では使いづらく、結果的に従業員を守ることができません。
「法務部」が作るカスハラマニュアルの問題点
一方で、法務部のある企業では、法律のプロに任せてカスハラ対応マニュアルを作成することもあるでしょう。法的な観点で見れば完璧なこのマニュアルが、現場からは「使えない」とすこぶる評判が悪いことが少なくないのです。
必要なのは「現場のリアル」を反映した実践的マニュアル
総務部や法務部が作るマニュアルに対し、お客さまと直に接する事業部門の長が作るマニュアルは、きわめて実用的です。なぜなら、現場の「リアル」を知っているからです。
- 「この時間帯はお客さまが疲れているから、少し配慮が必要」
- 「この商品のクレームは技術的な説明が必要だから、専門スタッフにつなぐ」
- 「この手のお客さまには、この言い回しが効果的」
こうした現場の知見が盛り込まれたルールは、机上の空論ではない生きた対応指針になるのです。
成功するカスハラ対応ルールに必要な3つの要素
では、実際にどのような点に注意してルールを策定すればよいのでしょうか。成功している企業の事例を分析すると、共通する3つの要素が見えてきます。
- 具体性のある判断基準
- 段階的な対応手順
- 従業員を守る仕組み
しかし、これらの要素をどのように自社の実情に合わせてカスタマイズするか、具体的にどのような基準や手順を設ければよいかは、業種や組織によって大きく異なります。また、従業員のメンタルケアや対応後のフォロー体制についても、組織の規模や文化に応じた工夫が必要になってきます。
管理職向けカスタマーハラスメント対策研修~従業員を守るための「判断基準」と「対応策」
インソースでは、管理職向けのカスタマーハラスメント対策研修を提供しております。従業員を守るための具体的な「判断基準」と「対応策」を学び、自組織にフィットしたカスハラ対策を実行に移していただける実践的なプログラムです。
現場のマネージャーとして取るべき具体的手法を身につけたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
よくあるお悩み・ニーズ
- カスハラの定義が不明確で現場での判断が難しい
- 現場責任者としてカスハラに対処することに自信がない
- 最前線で頑張っている従業員を守る方法を知りたい
本研修の目標
- カスハラ対策がなぜ重要なのかを理解する
- 自組織に合わせてカスタマイズしたガイドラインを作成できる
- カスハラに直面した際にマネージャーとして取るべき行動が分かる
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組織のカスタマーハラスメント対応方針に基づくマニュアルの作成から、現場のサービススタッフへの展開・教育まで、一気通貫でご提供いたします。
貴社のカスタマーハラスメント対応基本方針をヒアリングのうえ、クレームとカスハラの判断軸を整理し、行動基準を明確にします。そのうえで、インタビュー・面談・アンケートなどで、現場の意見を収集・整理し、現実に則した行動基準にブラッシュアップします。
カスタマーハラスメント防止研修~正しい知識を味方につける
カスタマーハラスメントに対して適切な対応をするには、個人としてのスキルだけでなく、組織としてどのように対応していくか明確な基準を持つことも重要となります。
カスタマーハラスメントの基礎知識や現場で対応する際のスキル、組織としての防衛策について学んでいきます。
悪質クレーム対応研修~招かれざるお客さま・カスハラへの対応の仕方(管理職・責任者向け)
本研修は、CS(顧客満足)のためのハードクレーム対応ではなく、リスクマネジメントの観点から設計されたプログラムです。
クレームの中でも「問題の解決」を目的とせず、「顧客としての見切りをつけることを含めた対応」が必要なものを対象としています。相手を「自社に損害を与える可能性のある存在」として捉え、どのタイミングで対応方針を切り替えるか、そして具体的にどう行動するかを学びます。


