データ分析に高度な数学の知識は不要!目の前のデータを基本指標で分析し、新たなチャンスを見出す
データを読み解くための基本指標「平均」「標準偏差」「相関」
データ分析と聞くと、高度な数学の知識が必要だと感じて敷居が高いと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ビジネスでは「平均」「標準偏差」「相関」といった基本的な分析手法だけでも十分に活用できます。
本記事では、データ分析における「平均」「標準偏差」「相関」が、ビジネスにおいてどのように活用されているかをご紹介します。ここでは製造業における品質管理を例に見ていきたいと思います。
平均~データの中心を示す最も基本的な指標
平均とは、データの合計をそのデータの個数で割った値です。データの中心を示す最も基本的な指標であり、全体の傾向や基準値を把握する際に用いられます。
例えば、過去1ヶ月間の製品1,000個あたりの欠陥数の平均が5個だったとしましょう。これは現在の標準的な欠陥発生率です。もし新たな設備導入や作業手順の見直し後に平均欠陥数が3個に減少していれば、その改善策が品質向上に寄与した、といった仮説を立てられます。
この平均値は、今後の品質目標設定や設備投資の重要な基準です。平均を把握することで、現在の施策が製品品質にどう影響しているかを定点的に確認し、目標値とのギャップを測ることが可能になります。
標準偏差~データが平均値からどれくらい散らばっているかを示す指標
標準偏差とは、データが平均値からどれくらい散らばっているかを示す指標です。標準偏差が大きいほどデータのばらつきが大きく、小さいほどデータが平均値に集中していることを表しています。
もし平均5個で標準偏差が小さい場合、ほとんどのロットで平均に近い欠陥数が発生しており、プロセスが安定していることを示唆します。一方、標準偏差が大きい場合、欠陥発生にばらつきがあり、製造条件や原材料、作業者の影響で品質に差があると考えられます。
この情報から、「特定の時間帯や作業者で欠陥が増加していないか」「原材料の品質に差がないか」といった具体的な品質改善策を検討できます。標準偏差を理解することで、品質の不安定要因を深く理解し、より効果的なプロセス改善の施策を検討する手がかりになります。
相関~異なるデータの間にある関係性の強さや方向を示す指標
相関とは、2つの異なるデータの間にある関係性の強さや方向を示す指標です。一方のデータが変化したときに、もう一方のデータがどのように変化するかを数値で表します。
例えば、原材料の特定成分の含有量が高いほど製品の欠陥数も増えるという正の相関が見られた場合、「原材料の品質基準を見直すことや、仕入れ先の選定基準を厳格化することが製品品質向上に繋がる」という戦略的な示唆が得られます。この場合、高品質な原材料の調達に投資することが、全体の不良品削減に効果的であると考えられます。
逆に、相関が低い、あるいは負の相関が見られる場合は、それぞれの要素が独立している、あるいは逆の影響を与え合っている可能性があり、異なるアプローチが必要になります。
相関分析を通じて、製品品質に寄与する要因を特定し、効果的な品質管理戦略を立案するための重要な洞察を得ることができます。
まとめ
このように、平均・標準偏差・相関といった基本的な統計手法だけでも、ビジネスにおいて非常に価値のある洞察を得ることができます。高度な数学知識がなくても、目の前にあるデータをこれらの視点から見てみることで、新たなビジネスチャンスや課題を発見し、具体的なアクションに繋げることが可能です。
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