2019年2月01日
東京商工リサーチの調査によると、2018年に希望・早期退職者を募集した上場企業は2000年に調査を開始以来、最少の12社にとどまったことが分かった。
2018年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は12社と前年の25社から半減し、人員リストラ策は落ち着きをみせている。
これまで希望・早期退職者募集を実施した上場企業は、リーマン・ショック直後の2009年に191社に達したが、円安進行で輸出産業を中心に大手企業の業績が好転した2013年から減少をたどり、2018年は調査開始の2000年以降で最少だった2016年(18社)を下回り、最少社数を更新した。
2018年の総募集人数は4126人で、前年(3087人)から増加した。最多は日本電気(グループ会社を含む)の応募2170人だった。日本電気は中期経営計画に沿って、固定費削減を含む抜本的な収益構造改革の一環として実施した。
次いで、今後の持続的な成長に向け生産性の高い組織構築を進める大正製薬ホールディングス(グループ会社を含む)の応募948人。通信販売事業の収益悪化に歯止めをかけるため、抜本的な事業構造改革に向け更なる合理化の必要が生じたカタログ通販大手の千趣会(グループ会社を含む)の募集280人。2015年に英国の高級ブランド「バーバリー」のライセンス販売契約が終了後、販売低迷が続くアパレル大手、三陽商会の募集250人と続く。
募集人数が100人以上は6社(前年8社)で前年を2社下回った。業種別では、大正製薬ホールディングス、エーザイなどの医薬品と情報・通信が各3社で最も多かった。
東京商工リサーチでは2018年の動向について、「上場企業の希望・早期退職者募集は、調査開始以来で最少にとどまった。"人手不足"が深刻化するなかで当然の結果ともいえる」とした。
また、今後については「希望・早期退職者募集に至ってないものの、"事業の選択と集中"の加速から、不採算事業の撤退や縮小に踏み出す企業や、業績が比較的に好調な企業でも、転籍や配置転換などで人員構成の見直しの動きも出ている。このため、現状は希望・早期退職者募集企業は低水準でも、競争力を高めるための人員適正化と、成長分野への事業展開を視野に入れた人員再配置などに踏み切る企業は今後も変わらず増えていく」と分析している。
同調査は、1月11日公表分までの資料に基づき、2018年に希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出している。希望・早期退職者の募集予定を発表したが、まだ実施に至っていない企業、および上場企業の子会社(未上場)は対象から除いた。
配信元:日本人材ニュース
■関連記事一覧
更新
ジョブ型雇用を形骸化させない人事実務と設計の要点~制度を根付かせるための4つの観点
ジョブ型雇用を導入しても、実際の運用でつまずく企業が増えています。本記事では、日本企業で起こりやすい失敗の構造と、制度を機能させるための実務的ステップを整理します。評価や報酬、育成との連動まで踏み込み、現場が動き出す仕組みづくりを具体的に解説します。
更新
「つながらない権利」~2026年法改正を見据えて人事が今すぐ準備すべき、勤務時間外連絡のガバナンス
「つながらない権利」が注目されています。人事は、業務上必要な連絡の定義づけ、ハラスメントとなる不適切な連絡の線引き、制度づくりと運用ルールの整理を進める必要があります。
更新
【人事評価制度への不満3】評価面談が苦手はただの言い訳。イケてない上司を脱却するマインドセットと準備
上司が評価面談から逃げようとしている様子は残念ながら部下にも伝わり、「自分は正当に見てもらえていない」「こんな人に評価されたくない」「こんな人を昇格させている組織に長く居てはいけない」とエンゲージメントを下げる要因になり得ます。
更新
【人事評価制度への不満2】通常業務ができないくらい面倒!真面目になんてやってられない
評価記録は何を使ってまわしていけばいいの?表計算ソフト、クラウド型評価システム、日報等のコメントフィードバックツール...それぞれを用いた場合のメリット・デメリットを解説します。
更新
「やる気が出ない」とはもう言わせない~部下のモチベーションを高める目標管理術
数値化した目標を部下が自分で立てられるように導きます。明日から使える目標管理スキルが身につきます。
更新
評価のブレを防ぎ信頼を築く!期末に押さえるべき人事評価6つのポイント
期末評価で陥りがちな心理的エラーを避け、公正で納得感のある評価を行うための6つのポイントと、評価の質を高める実践的な方法を解説します。
更新
評価の不満を解消する3つの解決策~人事評価制度の本当の役割は「人材育成」
人事評価に対する上司・部下からの不満には、主に3つの原因があります。これらを解消し、納得感のある公正な評価の仕方を学ぶ「評価者研修~公正な評価のポイントを学び、納得感のある評価を行う」を紹介します。
更新
360度評価
350度評価とは、アメリカにおいて能力開発のツールとして開発された考え方です。
更新
無理して働く疾病就業「プレゼンティーイズム」とは?〜疲弊する現場のケアで休職連鎖を防ぐ
職場内で相次ぐメンタルヘルス不調者の発症を防ぎ、人員不足や職場の士気低下を起こさないための人員管理術、職場環境の改善施策について解説していきます。
■関連研修シリーズ
下記情報を無料でGET!!
無料セミナー、新作研修、他社事例、公開講座割引、資料プレゼント、研修運営のコツ
※配信予定は、予告なく配信月や研修テーマを変更する場合がございます。ご了承ください。
配信をご希望の方は、個人情報保護の取り扱いをご覧ください。
無料セミナー、新作研修、他社事例、公開講座割引、資料プレゼント、研修運営のコツ

登録は左記QRコードから!
※配信予定は、予告なく配信月や研修テーマを変更する場合がございます。ご了承ください。
配信をご希望の方は、個人情報保護の取り扱いをご覧ください。
人事のお役立ちニュース