2022年4月25日
人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、瀬野尾 裕社長)がまとめた「決定年収上昇率ランキング(職種版)」によると、2021年の転職決定企業での決定年収はコロナ前の2019年と比べ約3%上昇したことが明らかとなった。
2021年の決定年収上昇率をみると、11のうち8つの職種で、コロナ前である2019年の決定年収を上回った。全体では2.9%の上昇となる。
【職種別 コロナ前後での決定年収上昇率ランキング】
※2019年を100とした場合の推移
1位 クリエイティブ系 106.9(2020年103.5)
2位 販売/サービス系 105.2(同101.9)
3位 技術系(メディカル/化学/食品) 105.0(同100.9)
4位 企画/管理系 102.9(同99.5)
5位 営業系 102.7(同98.9)
6位 技術系(建築/土木) 102.4(同99.8)
7位 技術系(IT/通信) 102.4(同103.1)
8位 事務/アシスタント系 101.1(同102.1)
9位 技術系(電気/電子/機械) 99.0(同100.8)
10位 金融系専門職 98.2(同99.1)
11位 専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)96.1(同93.5)
上昇率1位の「クリエイティブ系」の決定年収は、コロナの影響を受けず約7%上昇しており、右肩上がりの状況が続いている。
その要因についてパーソルキャリアでは2つを挙げている。「1つめは、求人数の急激な増加で人材獲得競争が激化したこと。2つめは、クリエイティブ人材の給与レンジが適正化されつつあること」と推測する。
また、今後については「Webサービスを提供する企業では、年々クリエイティブ人材に求めるレベルが高まっている。今後は、データ分析・活用やデジタルスキルを持つクリエイター人材の決定年収は高まる」と予想する。
2位の「販売/サービス系」は、スキルと経験のある人材の採用に注力したため、決定年収が上昇した。
近年の採用の傾向についてパーソルキャリアでは「コロナ流行以前は慢性的な労働力不足に悩まされていたため、企業は未経験採用を活発に行っていた。しかし、外食・小売・旅行業界がコロナの打撃を受け、2020年以降、"販売/サービス系"の求人数は大きく減少。未経験採用を中断し、即戦力採用へとシフトする傾向が強まった」と分析する。
「また、業績の立て直しが急務になったことで、接客経験に加え、ブランドや店舗の宣伝を行うSNSの運用経験や、店舗運営をするためのマネジメントスキルがある人材を採用する企業が増加した結果、決定年収が上昇した」と推測する。
決定年収が微減した10位「金融系専門職」や、11位「専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)」についてパーソルキャリアは、「2019年までは即戦力や経験者採用が多い傾向にあった。一方、2021年は投資や資金運用・経営コンサルティングのニーズが高まったことで、人員確保が急務に。即戦力採用だけでは追い付かず、次世代育成を見据え、ポテンシャル採用を行う企業が増えたため、決定年収がやや減少傾向になった」と指摘した。
調査は、2019年1月~12月末、2021年1月~12月末までの間に転職サービス「doda」経由で転職に成功した20~65歳の男女正社員を対象に実施した。
※決定年収とは、転職を受入れる企業が採用決定時に個人に提示する年収のこと
配信元:日本人材ニュース
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