トップページ > 人事のお役立ちニュース > 現役子育て中、働く世代のリアル「その制度、本当に助かっていますか?」~「裁量労働から時短への変更で給与減・モチベーションダウン」30代 大手上場製造業勤務 ハイブリッド勤務
2023年10月20日
従業員のテレワーク実施率は22.2%。
これは2023年7月13日~7月18日調査時点での正規雇用社員のテレワーク実施率だ。
コロナ禍でテレワークを実施する企業は大幅に増加したが、直近では微減しており出社の揺り戻しが起こっているようだ。
子育て世代にとっては、テレワークの普及により出勤時間の削減や時間休の取りやすさから育児がしやすく、テレワークの継続を希望する声も聞かれる。
本連載では現役子育て中の働く男女に取材を行い、働くことと子育てに対しての会社の制度や社会のサポートについて、実際に感じていることをリアルに語ってもらった。
今回は都内で大手上場製造業に勤務する30代の出社と在宅を混ぜたハイブリッド勤務を行う女性に話を聞いた。
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「在宅勤務から出社への揺り戻し有、在宅勤務では出勤時間の2時間分を育児に」
コロナ禍においてテレワーク導入も早く、第1子が生まれてからはテレワーク勤務が基本でした。
2023年4月以降はアフターコロナになり、在宅勤務から出社への揺り戻しがありました。基本私が所属する部署では半分以上出社が原則ですが、私はまだ小さい子供もいるので特例で1~2日出社のみで認めてもらっています。仕事さえしっかりやっていれば出社に関してはあまり厳しいことを言われません。
夫も同じ会社に勤めていますが、管理職という立場上基本は出社するようにしています。 コロナ前のフル出社の場合は、保育園のお迎え時間の関係で時短勤務を行うか又は毎日延長保育の必要性がありましたが、出勤時間の往復2時間がないだけでその必要がほとんど無くとても助かっています。
夫は2020年の第1子出産時は出産直後に2カ月半の間育休を取得しました。当時、夫は管理職ではなかったのも一要因かもしれませんが、周りの協力も得られたため取得に至りました。
2022年の第2子出産時は私の母が仕事を引退しておりサポートが得られる環境だったため、夫の育休取得は第1子の時のように出産直後ではなく後から取得しようかという話をしていました。
話し合った結果、私が仕事復帰する2023年4月辺りで夫の育休を取得しようという話になったのですが...4月時点で保育園の入園が決定している場合、どちらかが育休に入るのであれば入園取消しになることをすっかり失念しており、保育園に入園できなければ私は仕事復帰ができないため、結局夫は育休取得しませんでした。これは私たちの勉強不足でした。
「D&I推進により男性育休取得100%目標、管理職でも育休取得しやすい雰囲気へ」
勤務する会社がダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進する上で一番フォーカスしているのが「女性の働きやすさ」です。そのため第1子出産時の2020年と違い、第2子出産時の2022年は会社としても男性の育休取得100%を掲げており、さらに取得しやすい雰囲気だったと思います。管理職が育休を取得する際は、他の管理職が兼務することで数カ月カバーすることもあるようで、以前ほど取得しにくい雰囲気は無いです。
第2子出産時に育休を取得できなかった際は、会社としては男性の育休取得100%を掲げていますので、強要されるわけではないですが数日でも育休を取得してほしかったようです。
正直、男性の育休取得100%は実態が伴っているかは疑問です。1日でも育休を取得すれば数字上は育休取得100%になりますが、果たして1日育休を取得しても意味があるのでしょうか。政府の方針に従って企業も男性の育休取得を推進していますが、数字だけが独り歩きしている印象です。
子供は2人とも保育園に通っています。月・水は送りが私で迎えが夫、火・木は私が出社のため送りが夫で迎えが私、そして金曜日はできる人がやろうという決まりなのですが...夫は管理職のため夜の会食などもあり、結果として私の比重が重たいです。
私が在宅勤務で融通が利きやすいので、子供が風邪をひいた際の通院も私が行くことが多いです。夫とは同じ職場なので仕事の大変さは分かりますが、その代わり私の負荷も理解しているかという点で喧嘩することも多いですね。会食翌朝になかなか起きてこないのもやめてほしいです。
「仕事量が同じでも裁量労働から時短へ、モチベーションが大幅ダウン」
子供が生まれる前は裁量労働制で働いていて、月20時間分のみなし残業代が加算されていました。当社の裁量労働制ができる社員の条件が「自己解決できる」ことなので、例えば土日勤務や深夜残業、出張ができる人がベースになっています。
しかし子供がいる女性の場合は「働き方に配慮が必要」と言われる立場になるため、この「自己解決ができる」ことが難しいと考えられるので裁量労働制の適応はできず、むしろ時短勤務申請が必要と言われました。
時短勤務申請は、育児・介護・病気療養中の社員など「働き方に配慮が必要」な社員でも柔軟に働き、多様な人材が活躍できるように設けられた制度です。ありがたい側面もありますが、私の場合はフルタイムで働く意欲があるのにも関らず申請を促されました。そのため、仕事内容や量は裁量労働制のころと変わらないのに、時短勤務扱いとなったことで給与が下がり、明らかにモチベーションダウンにつながりました。
特に私の場合は夫も同じ職場にいるため、「親になったのは自分だけじゃないのに母親だから配慮が必要と判断され、私だけが時短勤務申請を促される」という点に納得がいきませんでした。
夫は基本出社ですが希望すれば在宅勤務もできるので、私が仕事をしている時は時間休などで夫が子供を見ることができます。母親だけが時短勤務をするという考え方は時代遅れで、実態と会社の制度に乖離が生まれてきています。
これについては上司との1on1で自分の希望を伝えて上司から総務へ再度相談してもらい、やっと10月から裁量労働制に戻してもらえることになりました。
アフターコロナで出社への揺り戻しがありましたが、私は特例で1~2日出社のみにしてもらっているとお話ししました。これが子供の有無などに関わらずそれぞれが働き方を選べると良いと思います。
出社でも在宅でも、それぞれが効率よくパフォーマンスを発揮できる働き方ができるのが理想です。
D&I推進を掲げる一方、実際の人事制度の内容と乖離が見られる企業は多いのではないか。
今回の場合、せっかくフルタイムで働く意欲のある女性社員に対して、会社の決まりであるからといった理由で時短勤務申請を促しているが、その結果大幅にモチベーションが下がっている。
女性社員の活躍と今後管理職に登用するというロールモデルを作るためには、女性社員が男性社員と同様に働けるように制度内容や運用方法を見直す必要がある。D&I推進には現状の人事制度の見直しと再構築も必須だろう。
配信元:日本人材ニュース
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