2018年5月11日
正社員と同じ職務をこなすパートの時給は、正社員と比較して低いとする事業所が6割超となっている実態が厚生労働省の「パートタイム労働者総合実態調査」で明らかとなった。
「パートを雇用している事業所」は68.8%、「正社員とパートの両方を雇用している事業所」は64.0%、「正社員のみ雇用している事業所」は20.5%となっている。
正社員とパートの両方を雇用している事業所で、正社員と同じ職務をこなすパートの1時間当たりの基本賃金(基本給)を正社員と比較してみると、「正社員より高い」事業所の割合は5.8%、「正社員と同じ(賃金差はない)」事業所の割合は22.2%、「正社員より低い」事業所の割合は61.6%となっている。
正社員より低い事業所での賃金は、「正社員の8割以上」が30.6%と最も高く、次いで「正社員の6割以上8割未満」22.7%、「正社員の4割以上6割未満」7.4%、「正社員の4割未満」0.9%の順となっている
職務が同じ正社員よりもパートの1時間当たりの基本賃金が低い理由(複数回答3つまで)は、「パートは勤務時間の自由が利くから」が49.0%と最も高く、次いで「パートは残業の時間数、回数が少ないから」30.9%、「そういった契約内容でパートが納得しているから」29.5%の順となっている。
賃金を決定する際に考慮した内容(複数回答)は、正社員では「職務(業務の内容及び責任の程度)」が 83.3%と最も高く、次いで「能力、経験」71.7%、「職務の成果」57.8%の順となった。
一方、パートでは「能力、経験」が52.4%と最も高く、次いで「職務(業務の内容及び責任の程度)」45.4%、「最低賃金(地域別・産業別)」35.7%の順となった。
手当等、各種制度の実施及び福利厚生施設の利用状況(複数回答)は、パートでは「通勤手当」が 76.4%と最も高く、次いで「更衣室の利用」58.4%、「休憩室の利用」56.9%の順となっている。
正社員との比較でみると、「給食施設(食堂)の利用」、「休憩室の利用」、「更衣室の利用」などの福利厚生施設の利用については正社員の実施状況との差は小さいが、「役職手当」、「退職金」、「賞与」などでは正社員との差が大きくなっている。
【手当等、各種制度の実施状況】
(社員、パート)
定期的な昇給 71.8%、32.3%
通勤手当 90.4%、76.4%
役職手当 70.6%、7.3%
賞与 84.6%、33.7%
退職金 71.7%、8.7%
給食施設の利用 22.5%、20.0%
休憩室の利用 62.4%、56.9%
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、「パートの正社員転換制度がある」事業所の割合は44.2%、「制度がない」事業所の割合は52.1%となっている。
パートの正社員転換制度がある事業所での転換の基準(複数回答)は、「パートが所属する部署の上司の推薦」が65.6%と最も高く、次いで「人事部門などによる面接の結果」47.0%、「人事評価の結果」42.9%、「(一定の)職務経験年数」33.6%の順となっている。
調査は、2016年9月23日~10月15日、5人以上の常用労働者を雇用する事業所を対象に実施し、1万135件の有効回答を得た。
配信元:日本人材ニュース
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