2026年5月27日
ディスカウントストア大手のトライアルホールディングス<141A>は今後3年間(2027年6月期~2029年6月期)、2025年に子会社化したスーパー事業を展開する西友のPMI(M&A後の統合作業)に注力する。
この間を流通改革に向けた基盤づくりの期間と位置づけ、2030年6月期以降の規模拡大と競争力強化につなげる。
同時にさらなる成長を目指し、新たなエリアでの顧客層の獲得や提携先の拡大につながるM&Aを進め、業界再編の主導役を目指す計画だ。
2026年2月12日に公表した2029年6月期を最終年とする3年間の中期経営計画で、これらの計画を示した。
それによると、西友との統合効果を引き出し、既存事業のもうける力と資金を生み出す力を高め、あわせて西友の店舗を立て直し、収益を上げる仕組みを作るとしている。
具体的な取り組みとして、調達コストの引き下げをはじめ、PB(自社ブランド商品)の強化や商品構成の見直し、システムの統合、物流センターの再編などを挙げる。
調達コストの削減では、両社で異なる仕入条件を精査し、仕入価格を適正化するほか、卸売業者や仕入れルートを一本化する。
PBの強化や商品構成の見直しでは、PBの相互販売や共同開発をはじめ、商品の並べ方や品ぞろえなどを見直す。
システムの統合では、トライアルシステムへの一元化で開発・運用・保守のコストを削減する。また、物流センターの再編などでは、物流網の見直しやデータの活用、組織の統合を進め、全体で無駄のない効率的な運営を目指す。
同時に西友の店舗の改革も進める。西友の大型店(ハイパーマーケット)は「トライアル西友」に業態転換し、中小型店(スーパーマーケット)は改装や売り場の見直しを進め、西友全体の競争力と収益力を高める。
こうした取り組みと並行して、新たなM&Aも検討する。
同社では、新たなエリアでの顧客層の獲得や提携先の拡大につながるM&Aを進めるほか「業界再編の主導者としての台頭」を目標に掲げる。
この目標は、同業の小売企業の買収に加え、資本提携によるグループの拡大や、物流・PBを通じた他社との連携強化を視野に入れたものと読める。
小売業は現在、人口の減少や競争の激化で、企業の統合・再編が進みやすい状況にある。
このためトライアルHDは、西友を買収して規模を拡大する中で、他社を取り込みながら業界の構造変化を主導する立場を目指す。
M&A資金については「デット、資産流動化などを活用する」としており、銀行借入や社債などの有利子負債で資金を調達する方法や、保有資産の売却や証券化などの手法が見込まれる。
今後3年間の全社の資金の配分計画として、同社では新規出店や改装、業態転換、製造、物流拠点の整備などに1300億円を投じるほか、西友の子会社化などによる借入金の返済に1150億円を充てる。
新たなM&Aはこれらとは別枠となる。
トライアルHDは1974年に福岡市で、古物商、リサイクルショップのあさひ屋として開業した。
1984年にトライアルカンパニーに社名を変更するとともに、小売店向けのPOS(販売時点情報管理)システムの開発や、大手コンピューターメーカーの受託にも取り組んだ。
1992年にトライアル1号店を福岡県大野城市に開店(現在は閉店)し、ディスカウントストア事業に参入。1994年に多店舗展開に乗り出した。
1999年からは、会計期間を変更した期を除き、25期連続で増収を達成している。
M&Aは、同社の沿革によると2003年にフランチャイズ店舗の運営会社であるナカヤを完全子会社化したのが最初の案件となる。
その後2009年に精肉を強みとするディスカウント食品スーパーのカウボーイを子会社化するなど、グループ事業を拡大した。
2015年に現在のトライアルホールディングスに社名を変更した後も、M&Aを続け2024年に東急不動産からゴルフ場運営のTGR大分(現ティージーアール大分)と、同TGR阿蘇(現ティージーアール阿蘇)の2社を買収するなど、小売業以外にも事業領域を広げていった。
2025年に子会社化した西友は、食料品、衣料品、住居用品などを取り扱うスーパーを運営しており、関東エリアを中心に駅に近接した好立地の店舗を多く保有している。
PBを中心とした商品力、自社保有の製造拠点、メーカーをはじめとした取引先との強固な関係を持つ。
トライアルHDは九州が基盤で、流通小売事業を中心に、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのデジタル技術を活用し、流通小売業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むリテールAI事業に力を入れている。
西友を子会社化する前の2025年6月期は、売上高8038億2900万円(前年度比12.0%増)、営業利益211億600万円(同10.2%増)だった。
西友子会社化後の2026年6月期は、売上高1兆3225億円(同64.5%増)、営業利益254億円(同20.3%増)と大幅な増収営業増益を見込む。
2029年6月期は、トライアルで1兆500億円、西友で5800億円の合計1兆6300億円の売上高を目指す。
営業利益はトライアルで612億円、西友で180億円を見込んでおり、この合計からのれん償却額152億円を差し引いた640億円を計画している。
西友のPMIを収益改善につなげ、追加M&Aの機会を取り込めるかが、計画達成の焦点となる。
文:M&A Online
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