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【人事評価制度への不満1】評価される人がどんなひとかが分からないから、頑張りようがない

多くの組織でうかがう評価制度への不満は、評価項目が社員に開示されていないことや、評価項目にはない部分(評価者の好み等)が大きな影響を及ぼしていること、組織全体の売上と勤続年数で昇格や昇給が決まり、本人の成長が全く関係しないことなどが挙げられます。

「評価制度が形骸化している状況そのものと、それを放置している組織」に憤っている従業員は離職を考え、諦めの気持ちでいるメンバーは生産性アップや新事業への挑戦を嫌がり、徐々に楽な仕事ばかりを求めるようになる傾向があります。

ここでは、組織の事業目的を達成することのできる人材になるための成長を促す評価制度と教育を、どのように構築していけばよいのかを語ります。

評価制度を「人材要件」で見直す

制度導入時から20年以上、一度も見直しをしていないという組織では、評価制度への不満が現場から上がってくることが増えてきます。構成メンバーの増減や入れ替わり、社会の変化に応じて、少なくとも10年に一度は何らかのブラッシュアップなされることが望ましいです。

ドラスティックな組織環境、社会環境の変化があったにもかかわらず、人事評価制度が昔のままということは、長期間にわたって、組織が内外にアピールしている従業員行動方針にそぐわないメンバーを生み出しかねない、由々しき事態が起こり始めている可能性があるとも言い換えられるのかもしれません。

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人材要件と評価制度は密接な関係にある

一方で、多くの組織が掲げるこういった目指すべき姿・従業員の行動方針というのは、抽象的に表現されることがほとんどで、「組織が求める姿に近づいているかどうか」を測定するのはとても難しいという現実もあります。

抽象的な「目指すべき姿」を体現するために必要な具体的な能力などを人材要件といい、役職や担当業務に応じて期待されるレベルやテーマ(営業スキル、労災防止リスク管理など)が異なります。評価制度は組織が求める人材要件レベルに従業員個々人が達しているか、どの程度期待に応えた働きぶりができていたかを見える化して判断する仕組みのことを指します。よってこの2つは当然、密接に関係しているはずです。

本ページの冒頭に挙げた、評価項目が明らかにされていない(あるいは分かりづらい)、評価者の評価の仕方に問題がある、被評価者の日々の努力や成果を見ない評価運用がなされていれば、人材要件と評価制度に乖離が生じているということになります。

抽象的な「こんな社員を目指します」の要素を分解

目指す社員像のひとつに「顧客ファースト」を掲げていたとします。顧客ファーストな人とは具体的には?と10人に尋ねたら、お客さまのお申出やご要望に真摯に耳を傾ける(態度・マナーが良い)、ご連絡をいただいたらその日のうちに折り返す(対応スピードが早い)、提示された条件の中で最善の改善策を提示できる(判断が優れている)...などのように多様な答えが返ってくるでしょう。

配属部署によっても、理想の社員像を構成する行動特性・能力や貴ばれる要素は異なります。組織目標の達成のために最も自分たちの部門が大事にすべきことは何か、それを守るためにどんな力が必要か。コンピテンシーを可能な限りたくさん洗い出し、グルーピングと優先順位づけをすることで「目指すべき姿」を体現するための具体的な能力=人材要件が定まります。

人材要件に即した評価項目か、認識をすり合わせる

この評価項目の周知は大変インパクトが大きく、極端な言い方をすると、この項目でしか社員・職員を評価しないと宣言することと同じです。新たな評価項目を提示したのちに時間をおかず、評価を受ける側と評価をする側の双方が認識を合わせる全体ミーティングを設定し、またその後に個々人の前向きな目標設定と期中行動について、1対1面談を実施して、本人の担当業務に確実に落とし込んでいくことが望ましいです。

個人行動のKPIを定めるこの目標設定を目的とした面談は、見直しのタイミングだけではなく、毎期末あるいは毎期首に必ず実施しましょう。

能力=スキル習得だけでは評価されない。実業務での発揮が前提

部下指導のノウハウ・知識をもっているだけでは「部下指導ができる」とはいえません。メンバーの困りごとに適切なタイミングで好ましいアドバイスをしている場面が毎日見られる、指導を受けた若手の業務処理スピードが以前より20%向上したなど、誰の目から見ても明らかな行動実績や成果があること。第三者が確かにそう判断できなければ「部下指導ができる」という項目では高い評価を獲得できないということです。

被評価者に対して「常に組織が望む行動をすること」を語り、同時に評価者に対してもその行動が見られる対象者を確実に評価し、そうでない対象者は評価しないことを徹底させるようにします。普段からよい行動を継続する、その期中の行動を評価者はしっかりと記録に残す。日々の被評価者の努力を上席者や周りがいつも見ていて認めてくれる文化をもう一度育てることが肝要です。

よろしくない行動が見受けられたり、想定よりも成果が下がっているようであれば、適宜面談をしてなぜそうなっているのかを確かめ、その状況の改善を一緒に考えます。

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人事評価制度への不満シリーズ

  1. 評価される人がどんなひとかが分からないから、頑張りようがない
  2. 通常業務ができないくらい面倒!真面目になんてやってられない
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