KPIはノルマじゃない~KSFと組織目標から逆算する、KPI設計法

「KPIと言われると、数字に追われているように感じてしまう」「目標はあるのに、チームが動かずストレスばかりが増える」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。しかし、KPIはただの数字ではなく、目標達成のカギとなる有力なツールです。
KPIは成果をアシストしてくれる「味方」である
「KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)」という言葉を、「達成を強いられる目標値(あるいはノルマ)」と捉えている人が多いかもしれません。確かに、KPIは上から与えられることが多く、「やらされ感」とともに取り組むケースも少なくないと思われます。
しかし、KPIはあくまで「指標」であり「目標」ではありません。「手段」であるはずのKPIを「目的化」してしまうことが、KPIに対してネガティブなイメージを持ってしまう理由のように思われます。
KPIの設定方法~KSFから逆算する
そもそもKPIとはどのように設定されるべきものでしょうか。まず、達成すべき目標があって、そこに到達するためにやるべきこと(これを「KSF(Key Success Factor/重要成功要因)」という)を決めます。このやるべきことがきちんとやれているかどうかを測定するための指標がKPIであり、いわば活動をアシストしてくれるもの、という位置づけになります。
例:KPIとKSFを「ダイエット」で理解する
例えば、「3カ月で5kg痩せる」という目標を達成するために、「摂取カロリーを減らす」ことと「消費カロリーを増やす」ことを「やるべきこと」として決めます。これがKSFです。そして、これらがきちんとやれているかどうかを、「1日の摂取カロリーを2,000kcal以内にする」と「週3日、1時間の有酸素運動をする」という2つのKPIを設けることによって測ることができます。
こうして見てみると、KPIはあなたの「痩せたい」という目標達成をアシストしてくれる心強い味方であることが分かります。それなのに、KPIばかりに目を向けて、本来の目的を見失ってしまうから、苦しい「ノルマ」のように見えてしまうのです。また、KSFが的外れなものであったり、KPIの設定が適切な値でなかったりすると、意味のない活動を強いられることになってしまい、これもまた不興を買うものとなります。
組織目標とつながるKPIこそ成果を生む
成果につながるKPIは、組織や事業の戦略と連動していることが前提となります。
例えば、営業部門で「月間売上○万円」という目標だけを追うのではなく、「新規顧客獲得件数」や「既存顧客のリピート率」といった行動指標を組み合わせることで、チームが具体的に何をすれば組織目標に貢献できるかが見えてきます。
SMARTの法則に基づく良い組織目標
良い目標は、次の5つの要件を満たしています(SMARTの法則)。
- Specific(具体的であること)
- Measurable(測定できること)
- Achievable(達成可能であること)
- Relevant(上位目標と関連していること)
- Time-bound(期限が決められていること)
自組織の目標が、これら5つを満たしているかを見直してみましょう。そして、KPIを設計する際にもSMARTの法則に沿うことで、個人やチームが数字をノルマとしてではなく、組織目標達成につながる行動指針として受け止めやすくなります。
KPIを活かすPDCAサイクルの回し方
KPIは設定して終わりではなく、計画→実行→評価→改善のサイクルを回すことが重要です。ここでポイントとなるのは、評価を「叱責やプレッシャー」としてではなく、「改善と学びの機会」として捉えることです。定期的な進捗確認やレビューを行い、必要に応じてKPIの見直しや調整を行うことで、チームは数字をポジティブに受け止め、主体的に行動するようになります。
また、進捗を可視化するためのガントチャートや定例ミーティングも効果的です。数字だけでなく、行動のプロセスや成功体験も共有することで、KPIへのネガティブな印象を和らげ、チーム全体のモチベーションを維持できます。
KPIをチームの力に変える
よく起きる事例としては、KPIをノルマとして設定した結果、チームが数字追いに偏り、顧客対応や品質が疎かになるケースがあります。一方、KSFに基づきKPIを設計し、定期的なレビューで改善点を共有する組織では、チームの行動が戦略に沿って自然に動き、成果が安定して向上します。
このように、KPIの目的や背景をチームと共有することが成功のカギです。数字をただ追うのではなく、戦略や成功要因に根ざしたKPIを設定することが、成果を出すための近道となります。
組織マネジメント研修~目標達成のためのKPIの設定と管理
組織目標の達成を実現するためには、担当する自部門の活動を計画に落とし込み、数値指標でコントロールすることが欠かせません。そこで重要になるのがKPIですが、その設定の良し悪しでマネジメントの質が大きく変わります。
KPIによるマネジメントにおいて、どの活動を管理対象として選定・指標化し、期中における活動管理においてどのように管理していけばよいかを、本研修では具体的に学びます。
よくあるお悩み・ニーズ
- KPI設定のポイントを知りたい
- KPI管理の仕方について知りたい
- 目標達成のカギとなるKSFの見つけ方を知りたい
研修のゴール
- 目標達成のカギとなる因子を見極め、活動対象に設定する手順が分かる
- 上位目標と整合性のあるKPIの設定の仕方が分かる
- 期中においてKPIをどのように管理していけばいいかが分かる
セットでおすすめのサービス
目標管理研修~目標達成に向けた継続的なマネジメント
組織が存続し続けるためには、常に高い組織目標を持ち、その目標に沿った社員・職員の「成果の積み上げ」が必要です。
本研修では、目標管理の意義、組織・部下の目標設定方法、部下が目標を前向きにとらえる動機づけ、目標達成に向けた継続的なマネジメント方法について学びます。
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コールセンターでの生産性管理や品質管理には、KPI指標を用いることが有効です。本研修では、KPIの意義について再認識し、自部署・部下・業務に適切なKPIを考えます。KPIの設定から分析・評価までをワークを交えて体感いただきます。






