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セルフレジ横で「ただ立っている人」から「攻めの価値提供者」へ~ヘルプスタッフ改革の実践法

セルフレジ導入は、慢性的な人員不足に悩む小売業界の強い味方となりました。特にフルセルフレジ(無人レジ)では長い会計待ちの列が短くなり、順番を待たされたことへのクレームや釣銭の受け渡し時のトラブル削減など、大きな効果をもたらしています。

もちろんフルセルフレジにもデメリットがあり、まず挙げられるのは、操作が難しい・苦手だと感じるお客さまが一定数いらっしゃることです。また、不正行為や二重スキャンなどのバーコードトラブルの発生、その処理や対応なども導入によって生まれた新たな課題です。このようなことをカバーすることを目的として、レジ横に操作ヘルプスタッフを配置しています。

本コラムではそのヘルプスタッフにスポットライトを当て「お客さまに安心と付加価値を届ける存在」として輝かせる、具体的ステップを解説します。

セルフレジでもお客さま満足度は上げられる~唯一の接触機会を有効活用

導入から時間が経過すると、多くのお客さまは操作に慣れてきます。それに伴い、徐々に配置されているスタッフにも慣れが生じ、最低限のサポートしか行わなくなることも少なくありません。これでは、お客さまに安心感を与えるどころか「なぜスタッフがここにいるのか分からない」という違和感を生み、セルフレジ本来の利便性や快適さが損なわれることも少なくありません。

レジ業務スタッフが見守るだけではお客さまに安心を与えられない

スタッフからの積極的な声かけやアイコンタクトがないと、お客さまはサポートを必要としている時に頼りにくく感じるだけでなく、「ただ見張られている(疑われている)」という不満や不安を抱くかもしれません。あるいは、操作に戸惑った際にスタッフが視線を合わせずにいる場合、お客さまは「結局自分で解決するしかない」と感じ、利便性よりもストレスが勝ってしまいます。

レジは顧客体験を生み出しうる業務~店舗全体のブランドイメージに影響

接客の印象は顧客体験全体に及びます。限られた人員で運営する小売店舗では、お客さまが店員を見たり接触する機会は、タイミングによってはレジ回りだけということもあります。

買い物の終盤ただ1回のレジでの印象が悪いだけで、「この店はスタッフを立たせているだけで、活かしきれていない」「手が空いているなら案内や補充にもっと人を回してほしい」という評価につながります。結果的に、リピート率や口コミ評価を低下させることになります。

レジスタッフを輝かせる3つの施策~お声がけ基準/ロープレ/評価制度

お声がけのタイミングと基準を明確化する

「お客さまが困っていたら声をかける」というあいまいな業務指示では、お客さまからの申告を待つという受け身の姿勢につながりがちです。

望ましい行動が属人的にならないよう、以下のようなチェックリストを用意すると、誰でも一定水準の対応ができます。

  • 空きレジのご案内時は相手の目を見て「○番レジにお進みください」と発声し、笑顔をつくる
  • 高齢者や子ども連れには、利用開始時に「よかったらお手伝いいたしますので」と一言添える
  • エラー音が鳴った場合はすぐに接近し、速やかに操作を代行する
  • お客さまが商品スキャンに5秒以上つまずいている場合は声をかける
  • 対応が済んで会計が終わったら「ご面倒をおかけしました」「うまくいって良かったです、またお困りの際はおっしゃってください」とお詫びや気づかいの一言を述べる

このように具体的に基準化することで、スタッフが「ただぼうっと立っている」「無駄話をする」といった状況をつくらせず、お客さまに積極的に関与できるようになります。

ロープレで好ましい動きを体得させる~よくあるケースの復習と初めてのケースの検証

単に文章化されたマニュアルを読むだけでは、実際の現場で自然に動けません。実機を使ったロールプレイング教育を定期的に実施し、様々なケースでの声かけや動作を繰り返すことで、身体に染み込ませることが重要です。例えば「お客さまがスマホ決済の操作で戸惑う」「釣銭が出てこない」などのよくあるトラブルや、前の週に起きた初めてのケースについて、対応の練習や意見交換を行い、最適な対応方法を共有することで、スタッフが自信を持って接客できるようになります。

振り返りと評価制度で定着させる

日々の業務に忙殺されると、新しい行動はなかなか長続きしません。定期的な振り返りと評価の仕組みを組み込むことで、意識が定着します。

  • シフト終了後に「声かけ実績」を自己申告する
  • 月ごとに「お客さまからの感謝の声」を集め、各部門やチームで回覧する
  • 適切な声かけができたスタッフを表彰する

このように小さな成功体験を積み重ねることで、単調に感じられがちなレジ業務も、「みんなに認められる良い仕事」「CS向上の役割がある」という自覚が根づきます。

改善を持続させるKPIで行動の見える化し、成果を数値で把握

例として、以下のようなKPIが有効と考えられます。

  • 1時間あたりの声かけ回数
  • お客さまアンケートでの「安心感」評価
  • エラー対応の所要時間
  • クレーム件数の推移

KPIを基に定期的にレビューし、成功事例をチームで共有します。たとえば「○○さんの高齢のお客さまへの最初の一声が好評だった」という情報をするだけでも、現場全体の意識が向上します。

接客のプロフェッショナルとして

たった1回の来店印象を変えることができるのがセルフレジスタッフといえます。スタッフたちにCS向上のスペシャリストとしての役割を追加し、トレーニングを積ませることで、「立っているだけの受け身な従業員」から、価値を生む『攻めの接客ができるプロフェッショナル』へと成長させましょう。

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