英語が苦手でも売れる!海外のお客さまに「伝わる」接客の秘訣

観光地でも都市部でも、外国人観光客の姿を見かけることはすっかり日常になりました。
円安の影響もあり、日本は「物価が安く、安心して買い物ができる国」として世界中から注目されています。そんな中で、「もっとインバウンドの売上を伸ばしたい」「外国人のお客さまに選ばれるお店にしたい」と考える経営者や店舗スタッフも多いのではないでしょうか。
しかし、英語さえ話せれば売上が伸びると考えているうちは、残念ながら期待するような効果は上がりません。
英語教育の現場や教材販売を通じて、外国語を学ぼうとする数多くの人々と接していると、ある事実に気づかされます。それは、英語力そのものよりも、相手の文化を理解する姿勢こそが大切だということです。
「空気を読む」には頼らない~訪日客が求める接客とは
最初におさえておきたいのは、外国人観光客のニーズは、日本人のそれとは根本的に違うということです。日本の「空気を読む」文化は世界標準ではないのです。
日本においては察する文化を前提として、過剰な声かけよりも静かな気配りを好む傾向があります。
一方、海外からのお客さまは異なる文化背景を持っています。言葉にして伝え合う文化圏の方も多く、曖昧な笑顔でごまかす接客は、言葉が通じにくい状況では不安や不親切さを感じさせてしまうこともあります。「これは何が違うの?」「どう使うの?」「おすすめはどれ?」 こうした質問に対して的確に答えてくれるスタッフを親切だと感じます。
求めているのは「分かりやすさ」
外国人観光客にとって良い接客とは、丁寧さだけでなく明確さ、分かりやすさでもあるのです。たとえ完璧な英語でなくても、「この商品はこういう人に人気です」「日本の伝統的なデザインです」など、具体的に説明できることが購買行動を後押しします。
POPやメニューも同様で、翻訳だけでなく写真や簡潔な説明、使い方のイメージなどを添えると、売れ行きが大きく変わります。
お客さまは「買う理由」を求めています。その理由を伝えきる力こそが、インバウンド売上を伸ばす最大のポイントです。
伝わらないのは英語が下手なせいではない~言語より大事なこと
「英語ができないから無理」と嘆く前に、自分の態度を鏡で見てみましょう。 無表情、目を合わせない、声が小さい──。英語が使えるかどうか以前に、話しかけられたくないオーラが出ていませんか?
日本人の接客は丁寧で礼儀正しいとされていますが、外国人のお客さまには、表情が硬く淡々と対応していると受け取られることもあります。海外の多くの国や地域では相手の目を見て話すことや、表情やジェスチャー、時にはジョークを交えて会話することが一般的です。感情表現が豊かで、親近感を感じさせる接客が良いとされる傾向があります。
距離感と温度で言葉の壁を超える
大切なのは、文化的な距離感の違いを知ることです。英語を流暢に話せなくても、笑顔や身振り手振り、アイコンタクトを積極的に使うだけで、相手との信頼関係は驚くほど早く築けます。逆に、正しい文法で話していても、無表情で淡々としていたら心は通じません。
英語力ではなく、まずは異文化コミュニケーション力を鍛えましょう。文化の背景を理解し、相手が心地よいと感じる距離感や表現を身につけることが、言葉の壁を越える第一歩です。
ジェスチャーや笑顔で十分通じることも多いのに、「文法が...」と考えて黙ってしまうのは、もったいなさすぎます。正しい英語でも無表情なら意味がない。むしろ文法なんて多少間違っていても、ノリと温度が伝われば勝ちです。
声に出す勇気が信頼を生む~相手に思いを伝える力
英語圏をはじめ海外の多くの地域では、ポジティブな言葉を惜しみません。 "That's great!" "I love it!" 日本人が聞いたら、ちょっと大げさでは?と思うほどです。
英語圏では言葉にして伝えることが非常に重視されます。ポジティブな言葉を日常的に使い、相手に気持ちを伝えることが、人間関係を築く潤滑油になっているのです。日本の察する文化は素晴らしいですが、ビジネスの世界ではただの機会損失になってしまうこともあります。
例えば、「ありがとうございます」に一言添えるだけで、印象は劇的に変わります。 "Thank you for coming today!" "You have a great smile!"
伝える力がビジネスを動かす
この「明確に言葉にする力」は、外国人対応に限らず、国内のビジネスでも効きます。上司に提案を通すのも、チームで意見を共有するのも、結局は伝わるかどうかが勝負です。言葉で伝える力がある人ほどチームの中で信頼され、成果を上げることができます。
異文化コミュニケーションに学ぶべきは、単なる語学力ではなく、自分の意図や思いを相手に届く形で表現する力です。これはすべてのビジネスパーソンに共通する、これからの時代の必須スキルといえます。
まと:売上アップの鍵は「文化理解」と「伝える力」
販売員がインバウンド対応で成果を出したいなら、まず外国人のお客様の価値観を理解すること。そして英語を話すことよりも、伝える勇気を持つことです。英語が下手でも構いません。笑顔、ジェスチャー、明確なひと言。この3つがあれば、文化の壁も相手の心のドアもすぐ開きます。
「伝えようとしない人」ほど売れない。そして「文化を理解しようとする人」こそ選ばれる。これからは、伝える力がある店が勝つのです。
インバウンド対応研修~商業施設向け編(半日間)
インバウンド事業が再び活発化し、訪日外国人観光客が快適に過ごせる環境づくりが進んでいます。
Wi-Fiやキャッシュレス決済などのハード面が整備される一方で、英語力や異文化理解を含む接客対応力の向上が新たな課題となっています。
本研修では、文化の違いを理解し、お客さまの立場で考えることを通じて、「また来たい」と思っていただける体験づくりを目指します。
一つの場面でしか通用しないパターン対応ではなく、どの場面にも応用できる接客の基本を身につけます。また、ワークでは自施設における実際の対応を考えたり、受講者自身が経験したことを振り返ります。
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