いろいろな視点から要素の切れ目を考える
すぐに実行可能なロジカル・シンキングの極意【5】
すぐに実行可能なロジカル・シンキングの極意【5】
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筆者:上林 憲雄氏(Norio Kambayashi)◇
1981年 (株)三和銀行(現:三菱東京UFJ銀行)入行。
英国ウォーリック大学経営大学院ドクタープログラム修了後、 2005年神戸大学大学院経営学研究科教授、経営学博士。専攻は人的資源管理、経営組織。
MECEの考え方の基本
整理のテクニックとしてのMECE(Mutually Exclusive、 Collectively Exhaustive)について、考え方の基本は、重複や漏れがないように配慮しながら要素を挙げ、説明しようとしている対象にアプローチしていくことにあります。
例えば、前回例示として挙げた成果主義の自社への導入について再び考えてみましょう。もしあなた自身が上司から「我が社も成果主義を導入しようと思うが、そのメリットとデメリットとをまとめてくれ」と指示されたとしましょう。あなたは我が社の事業や内部のマネジメントの現状について情報を収集し,分析しようとするでしょう。その際に,重複や漏れがないように要素に分け,成果主義の我が社への導入の功罪についてまとめていかないといけないのです。
要素の切れ目を考える
例えば、当たり前のことですが、企業やマネジメント(経営者)サイドにとってのメリットだけでは不十分なわけで、それに加え、マネジメントされるサイド、成果主義を実際に導入される従業員の事情を考えてやらないといけません。極めてラフな分け方ですが、経営者サイドとか従業員サイドとかいうのが、ここでいう「要素」にあたるのです。
もちろん、これ以外にも考えるべき「要素」はたくさんあります。他社の状況も考えないといけませんし、財務的な視点からの検討も必要でしょう。ただ、こうしたそれぞれの要素は、ひとまず経営者サイドとか従業員サイドとかいう要素とは、別次元に整理されるべき要素です。これら諸要素をすべて一緒に同列に論じようとすると、部分的に要素が重複してしまい、話がロジカルに進まなくなってしまいます。きっちりうまい切れ目で分けてやらないといけないのです。