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アジリティ
アジリティ(agility)とは、「機敏さ」「敏捷性」を意味する言葉です。スポーツ用語として以前から用いられてきましたが、近年ではビジネス用語としてもよく使われています。複雑で予測不能なVUCA時代、環境変化に応じて組織の意思決定を的確かつスピーディに行うことは重要な経営課題のひとつであり、アジリティは「変化に素早く対応する力」を指す言葉として注目されています。
スポーツ分野に、速さを鍛えるための「SAQトレーニング」と呼ばれる方法があります。SAQとは以下3つの言葉の頭文字をつなげた言葉で、それぞれ異なる速さの種類を表しています。
・Speed:速度の速さ
・Agility:判断の的確性と行動の速さ(敏捷性)
・Quickness:物事に対して行動する速さ(俊敏性)
目標到達までの速さ(スピード)や、決定事項に対する機動の速さ(クイックネス)は、ビジネスにおいても重要です。しかし、外部環境の変化が非常に激しい現代では、環境変化に応じた「的確な判断と行動の素早さ」、すなわちアジリティの高さがより重視されるようになっています。
組織のアジリティを向上させるポイントは、以下の3つです。
①経営理念を全社に浸透させる
組織のビジョンが全社に明確に共有されていれば、環境が急変しても一人ひとりがトップと同じ基準で素早く判断し、行動に移すことができます。
②現行の業務プロセスを見直す
大企業ほど複雑な承認ルートを持つため、変化のスピードに適応するのが難しい傾向にあります。業務フローのデジタル化や担当者への権限委譲など、現行のプロセスを思い切って見直し、簡略化することが重要です。
③情報共有を徹底する
素早い判断・行動のためには、組織の内外で起きている変化をタイムリーに把握する必要があります。そのためには、社内のコミュニケーションの活性化や情報共有ツールの活用などがカギとなります。
組織のアジリティを高めるには、一人ひとりの判断力や決断力を強化する教育が効果的です。例えば、米軍の意思決定プロセスとして有名な「OODAループ」を全社で実践できるようになると、個々の判断・決断のスピードが上がり、組織全体のアジリティが向上します。
また、組織がいつでも機敏に動けるよう、下位の社員に責任や裁量を与えることも重要です。命令や義務で動くのではなく自ら判断し、リーダーシップを発揮できる社員が増えると、一人ひとりのやりがいにもつながり、組織全体の成長を促す好循環が生まれます。
皆さまの組織でも、「アジリティの向上」をイメージした経営戦略を打ち出してみてはいかがでしょうか。
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