「幹事の仕事」に学ぶプロジェクトマネジメントの4ステップ~幹事力を鍛えてビジネスで成果をあげる

「幹事の仕事」に学ぶプロジェクトマネジメントの4ステップ
~幹事力を鍛えてビジネスで成果をあげる

会社組織の慣習として、忘年会や新年会、歓送迎会などで幹事を担当したことがある方も多くいらっしゃるかと思います。

「これって業務外だよね?」「忙しいのに面倒だなあ」「そもそも飲まないのに......」このように、幹事を"めんどうな役割"と感じてしまうと、会そのものも、おっくうになりがちです。

しかし、ビジネスパーソンにとって重要な、プロジェクトの計画・実行に関するあらゆることを学べるのが、実は幹事という役割なのです。

「自分がプロジェクトリーダーになる際不安なことはなんですか?」という質問への回答として、以下のようなお悩みをよく伺います。

・目的やゴールの設定が苦手

・スケジュールや計画の立て方がわからない

・関係部署と綿密な連携(コミュニケーション)が取れるか不安

・重視するリスクがわからない

実はこのお悩み、幹事のお悩みと重なります。

そこで今回は、幹事の仕事に沿って、プロジェクトマネジメントに欠かせない4つのステップ「定義」「計画・実施準備」「実施」「終結」の流れとポイントをご紹介いたします。幹事力を鍛え、プロジェクト管理能力を身につけましょう!

<ステップ1. 定義>
~そもそも、何のために企画するのか? 確認すべき、3つのポイント

プロジェクトがうまくいかない原因に、「目的が不明瞭で、ビジョンが理解できておらず、プロジェクト全体がブレてしまった」というものがあります。

幹事においても、もっとも重要な点は、"その会は何のために開催するのか"について、コンセプトを企画・確認することです。

上司から幹事に任命されたら、まず会の目的・参加関係者について確認しましょう。例えば、歓送迎会は「送る人」「迎える人」が主役です。

・共に協力して働いた仲間を労って(ねぎらって)送り出す

・新しく配属になった方と共通の話題を発見し、親しく感じてもらう

といった目的のために開催します。

裏返して言えば、参加する意義や目的を感じられない会は、ただの飲み会になってしまいます。この点は、あまりにも当たり前すぎて忘れられてしまいがちですが、実は非常に重要な、企画立案の基本中の基本です。出て良かったと感じる会は、必ずコンセプトがしっかりしています。

「お世話になったあの人にお礼を述べたい」

「新しく迎えるあの人に、一日も早く職場に溶け込んでほしい」

このように、目指したいゴールがハッキリしていると、「それならあの人にも声をかけようか」「この人にも引き合わせよう」と企画自体に意味を帯びてきます。

会のコンセプトを考える際、確認すべきポイントは以下の3つです。

(1)何のための会か

(2)その会の主役は誰か

(3)どんな工夫をしたら主役も参加者も楽しめるか

3つのポイントを考えることで、「〇〇会」というプロジェクトの"ストーリーを思い描く"ことができます。ストーリーを思い描くことはプロジェクト進行のモチベーションにも良い影響を与えます。

また、協力者に仕事を依頼する際に、目的を明確に伝えるよう心掛けることはプロジェクト管理にも通じるポイントです。

<ステップ2. 計画・事前準備>
~やるべきことを洗い出す

ではここからは、どういった流れで会を開催したらよいかについてご説明します。ステップ1で「会開催の目的・目標(企画のコンセプト)」を明確にしました。ステップ2では、やるべきことをヌケやモレがないよう徹底的に洗い出します。ここにもビジネスに必要な要素がつまっています。

事前準備やることリスト例

ニーズ調査

□ お酒中心か食事中心か

□ 行きたいお店や好みなどはあるか

人数や年齢層

□ 人数は

□ 年齢層は

時間帯

□ 勤務時間が異なる参加者がいる場合も集まりやすい時間帯か

□ 会は何時間ほどの想定か(参加状況をふまえ、2次会の時間やお店も検討する)

お店の立地

□ 会社から近くか

□ みんなが帰りやすい場所か

□ わかりやすい場所か

リスクマネジメント(予算やお店の選定・下見)

□ 値段は高すぎず安すぎずちょうどよいか(予算の組み方は職場によって慣例を確認)

□ お店の場所や外観・店内の様子を確認したか

報告・承認

□ 概要を報告し、上司・発言力の強い先輩に意見を聞いたか

予約

□ お店に日時・人数・予算・コース・個室かどうかなどを確認したか

告知(進捗報告)

□ 日時・店のリンク先(地図)などの決定内容を参加者にメールなどで告知したか

出欠確認

□ 参加者リストを作成したか(支払の傾斜配分など、会計徴収にも活用)

幹事力で差がつく、ビジネスにつながる要素

【調整力】

プロジェクトの進行には関係者との調整が不可欠です。いろいろな人と関わることで、調整力が磨かれます。

幹事の場合は参加者が楽しめる会にするにはどうしたらよいか、出席メンバーが集まりやすい時間や日程はいつかなどを考えたうえで、上司や発言力の強い先輩に意見を聞いて練り上げることにより調整力が高まります。

【リスクマネジメント】

プロジェクトがうまくいかない原因に、「事前の下調べが足りておらず、プロジェクト進行中や後日トラブルが発生することになった」というものがあります。

幹事の場合、お店の選定にリスクが潜んでいます。最近は、検索サイトで便利にお店を探すことができますが、リスクマネジメントの観点から下見をおすすめします。上級者を目指すならお店の責任者と名刺交換し、会の趣旨を伝えておくと万全です。お店のホスピタリティもわかって安心ですね。(取引先などのお客さまを招いた会の下見は必須項目です)

また、予算オーバーといったコスト面でのリスクマネジメントも必要です。

傾斜配分など、「職場の慣例」がある場合もあるため、上司と相談し、独断で決めないようにしましょう。参加者リストを使って会費徴収を事前に済ませるとスマートですね。

ミスやトラブルがあった場合の参加者やお店とのやり取りの方法も考えておきましょう。

幹事が急病・遅刻などで不在の可能性も考えて、代理を務めてくれる人との連携などあらかじめ情報共有をしておくのが理想です。

【スケジュール感とコミュニケーション】

プロジェクトがうまくいかない原因に、「納期が短いと、急いでいるためかミスが起こりやすい。コミュニケーションを取る時間も少なくなってしまう」というものがあります。

幹事の場合、年末年始や年度初めは店舗の予約が埋まりやすいなど、時期や立地によって状況が変わること注意を払うことが必要です。繁忙のシーズンは1~2カ月前に仮予約を抑えるなど早めに動くことをおすすめします。

参加者への情報伝達も早め早めを心がけましょう。

お店が取れる前の段階でも、会のコンセプトやお店選びの方針など、固まった内容から順次展開しておくことで、参加者の抱く「会への期待感」を高める効果があります。少々の手間は惜しまず、参加者との事前のコミュニケーションを意識しましょう。

<ステップ3. 実施>
~周囲をまき込み、計画を実行する

プロジェクトでは、計画を立てたら周囲を巻き込みながら実行をします。

幹事の場合も当日を迎えたらあとは実行あるのみです。「やるべきこと」に漏れがないよう、式次第(進行プログラム)も考えておき、全体を見ながら円滑に会を実施しましょう。

当日やることリスト例

会の開始前(朝礼時など)

□ 開始時間と会場の地図を再告知(「18時45分に会社を出ます」など具体的だと◎)

□ 乾杯の挨拶を参加者で最も偉い人にお願いする

お店への移動

□ お店に自分は早めに行くか、先導する

□ 予約時間に遅れそうな場合はお店に連絡する

□ 会計の方法・時間などを確認する

会始め

□ 席への誘導(幹事は下座に座る)

□ 飲みものや食事のオーダーをとりまとめる

会途中

□ 乾杯や挨拶の司会進行

□ 飲み物の追加注文や遅刻者の料理確保

会後半

□ 一言スピーチや花束贈呈などがある場合は司会進行(退出時間をすぎないようにスケジュールを組む)

会終了時

□ 忘れ物がないよう声掛けと確認

□ 全員分の支払い(事前に会計徴収しておき、会の途中にお店の人と最終的な支払金額を確認しておく)

幹事力で差がつく、ビジネスにつながる要素

【進捗の確認】

プロジェクトは計画がスタートしてから終わるまで、あらかじめ定められたステップ通りに進んでいるのか節目節目でチェックする必要があります。

計画はブレが生じるものです。軌道修正をかける意味でも「チェックポイント」を定め、進捗を把握することが大切です。

幹事の場合、お店への到着が遅れたり挨拶が長引いてしまったりが考えられますので、退出時間をすぎないように会の流れを見ながら調整しましょう。

【周りを巻き込む】

プロジェクトを進めるにあたり、すべてを一人で行う必要はございません。

苦手なことは得意な人に頼むことも一案です。いかに負荷を分散できるかがプロジェクト管理のポイントでもあります。

幹事の場合、当日の会の進行や事前準備を含め一人でやろうとせず、同僚などに協力をお願いし余裕を持って進行できるようにしましょう。

<ステップ4. 終結>
~振り返り、フィードバックを行う

プロジェクトは完了するだけでは終わりません。

「振り返りを次のプロジェクトに活かす」といったことも忘れずに行うことが必要です。

幹事の場合も会終了後にやることがあります。

会が終わった翌日は、お世話になった方々に「昨日はありがとうございました」と欠かさずにお礼を述べましょう。

また、ぜひ振り返りを行いましょう!

席次や段取りなど、「あれはまずかったな......」と思う点があれば書き留めておき、次回どのように改善するか考えておきます。プロジェクトマネジメント(幹事)が得意な先輩に意見を伺ってみるのもいいですね。

参加者の忌憚のない感想をフィードバックとして受け止め、次に活かしましょう。

ステップ1~ステップ4でご紹介したように幹事力をあげることで、プロジェクトマネジメントに必要な力も養うことができます。

・企画力

・調整力(関係者との情報共有および合意形成力)

・スケジュール管理

・物事の全体像を見ながら前に進めるスキル   など

なにより良いことは、経験値が増えることです。

幹事をやったことが無い人と、一度やったことがある人ではその段取りの仕方に差が出ます。

業務としてプロジェクトを任される前に、まずは幹事で体験してみてはいかがでしょうか。

的確に会を仕切る姿が、上司の目にとまり、実業務でも大切なプロジェクトのリーダーを任されることさえあるかもしれません。(言い過ぎでしょうか)

それにしても「いきなり幹事は荷が重い」とお感じの方は、ぜひ幹事の方の「お手伝い」を買って出て下さい。幹事力のある「デキる人」の姿を隣で観察し、自分のスキルとして活かせるよう積極的にマネていきましょう。仕事の上達とやるべきことは同じです。

ビジネスでの成功を目指し、幹事力を着実に磨くことをおすすめします!

<関連リンク>

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