データを「使える形」に整える2つのポイント|データリテラシーの基本2

部署ごとにExcelファイルが増え、「どれが最新版かわからない」「顧客名の表記が違って集計が合わない」といったことはありませんか。

本記事はデータ活用や社内教育にそのまま転用できる「データリテラシーの基本」を全5回でお届けするシリーズです。第2回となる今回はデータ活用の前提となる「データ構造とデータベースの考え方」について解説します。データ分析やDX推進に取り組む際の共通認識づくりにお役立てください。

データ分析やDX推進を進めるうえで大切なのは、便利なツールを導入することだけではありません。まずは日々扱っているデータが活用しやすい形で整理されているかを確認することが重要です。ポイントとなるのは、データ構造データ同士のつながりです。

1つのセルには、1つだけ情報を入れる

データ構造とは、データをあとから探しやすく・集計しやすくする整理ルールです。

基本はシンプルで、

  • 1行=1件のデータ(レコード)
  • 1列=1つの項目(顧客名、日付、金額など)

という形です。この形が守られていると、Excelでの並べ替え、フィルター、集計、検索がしやすくなります。

例:データ構造の基本イメージ

顧客ID 氏名 都道府県 購入金額(税込)
00001 山田太郎 東京都 12,000
00002 佐藤花子 大阪府 8,000
00003 鈴木二郎 神奈川県 10,000

一方で1つのセルに複数の情報が入っていたり、表の途中に見出し行や小計行が入っていたりすると、ツールが正しく読み取れず分析前の手直しが増えてしまいます。

Excelの話をしているのに、データベースが出てきてしまう歴史的な背景

Excelといえば、Microsoft社が作った世界的なシェアを誇る「表計算ソフト」です。元々は数値を入力して表を作り、SUM、AVERAGEなどの関数を使って計算したり、グラフを作るための道具でした。IT業界や民間のシステム開発現場では、2010年頃から「ビッグデータ」「データサイエンス」という言葉が流行し始めました。

民間企業は、自社の売上データや顧客データ、あるいは国が公開するオープンデータを使って分析やシステム構築を行おうとしました。「人間が見るための表」だったExcelのデータを、「機械が読み込むためのデータベース」として扱おうとし始めたのです。

当時は紙に印刷するような目的で作ったExcelデータが多く存在しました。文章を打つための方眼紙のようにセルを小さくして記入する「Excel方眼紙」という手法や、見た目重視で機械が読めないデータが多く、エンジニアが前処理に業務時間を奪われる事態が頻発しました。そういったデータはネットスラングで「神エクセル」と呼ばれました。

民間から始まって、国も動いた「データ標準ルール」

2013年に三重大学の奥村晴彦教授が論文『「ネ申Excel」問題』を発表、また、2010年代半ばから、BIツールが普及し始め、2020年に総務省が「統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法」というガイドラインの発表をします。国が示したビジネスデータの標準ルールです。Excelのきれいなデータにはそんな歴史的な流れがあります。

このガイドラインで、「1セル1データとなっているか」、「数値データは数値属性とし、⽂字列を含まないこと」「セルの結合をしていないか」「スペースや改⾏等で体裁を整えていないか」等の基本的なデータの作り方を解説しています。

このガイドラインを守って作れるきれいなデータの目的は、分析やシステム構築をするためです。つまり、データベースやBIツールで扱えるデータです。総務省のルールとは、言い換えれば「Excelをデータベースとして正しく扱うためのルール」です。そのため、きれいなデータを作るには、ガイドラインを直接勉強するか、その根底にある「リレーショナルデータベースの基礎」を学ぶことが、実は最も効果的で近道です。

参考:三重大学『「ネ申Excel」問題』奥村晴彦著(スライド)
https://okumuralab.org/~okumura/SSS2013slide.pdf(最終アクセス:2026/8/4)
出典:総務省『統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法』
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukatsu01_02000186.html(最終アクセス:2026/8/4)

構造が統一されたデータベースを活用し、複数人で同時編集を行う

リレーショナルデータベースを簡単に説明すると、情報を整理した複数の表を、キーになる項目で「つながり」を持たせる仕組みです。世の中の主流はこのリレーショナルデータベースなので、ここではデータベースと呼びます。データベースの特徴として、データが重複しておらず、データ構造が統一されているということが重要となります。

日常業務では、Excelでデータを管理することが多いかと思います。Excelは手軽で便利ですが、データ量や利用人数が増えると次のような課題が出てきます。

  • 部署ごとにファイルが分かれてしまい、最新版がわからない
  • データ量が増えて、ファイルの動作が重くなる
  • 同時編集ができず、入力担当者が多いほどミスや手戻りが増える

このように、Excelでの管理に限界を感じ始めた場面で、安定してデータをまとめて管理・活用する考え方としてデータベースが重要になります。

共通項目を用いて複数表のデータ結合を行う

複数データを一つのデータとして結合する際、共通項目でデータ同士をつなげることによって業務に活かしやすい情報として活用できます。この場合、データ同士のつながりが重要となります。たとえば売上を分析する場合、次のようなデータを組み合わせて見ることがあります。

  • 顧客データ:誰に売ったのか
  • 商品データ:何を売ったのか
  • 売上データ:いつ、いくらで売ったのか

データをつなぐためには、キーとなる「顧客番号」「商品コード」などの共通項目が必要です。

例:データ同士の「つながり」イメージ

例:データ同士の「つながり」イメージ

分析を邪魔する表記ゆれ撲滅のために

Excelで作業する場合は、顧客名や商品名の表記ゆれにも注意が必要となります。たとえば「株式会社○○」「(株)○○」「○○」のように表記が分かれていると、同じ顧客でも別のデータとして扱われ、本来まとめるべき売上が分かれてしまい、「部門ごとに数字が違う」「同じ顧客なのに別扱いで集計される」といった問題につながります。

表記ゆれを予防するためには、入力時点で入力制限を行うか、Excelの「関数」や「フィルター」や「条件付き書式」などの機能を使ってデータクレンジングを行い、分析や集計作業前に整える必要があります。ここまで述べたように、データ活用を進めるうえではデータ構造データ同士のつながりが整っているかが重要です。

日々の業務データは、整理の仕方を少し見直すだけで、組織の判断や改善に活かせる資産へと変わっていきます。

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本研修では、羅列された数字・事象を、手軽に意味ある情報に変換できる「ピボットテーブル」の使い方を学びます。「ピボットテーブル」を使いこなすことができれば、何千というデータを、手軽に情報へ変換することができます。

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本研修の目標

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